アルバム「the meaning of life」をリリース
令和を象徴するアーティストの1人となりつつある『yama』。未だ素性のほとんどが謎に包まれている中、自身初となるCDアルバム『the meaning of life』をリリースしました。
今回ご紹介する『希望論』は、同アルバムに収録されている楽曲。
横浜流星らが出演する映画『DIVOC-12』の主題歌に起用されており、リリース前から話題になっている一曲です。
ちなみに、同曲の作詞作曲を務めたのは『ADA』。
『希望論』にはどんなメッセージが込められているのでしょうか。
----------------
正解なんて無いからね
わざと大きい声で叫ぶ世界
大体代替品世代 故の存在証明を今
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
こちらは冒頭兼サビの歌詞ですが、この部分だけでは何を歌っているのかよくわかりませんね。
同作品についてyama本人は「正解か不正解かではなく、自分だからこそ見える景色を作品として残し続けることが存在証明であり真実」とコメントしています。
それを踏まえて考えると、ご紹介した部分には「周りの人にとらわれず自分の価値観や思い(=作品)を残していこう」というメッセージが込められているのかもしれません。
----------------
冷えた缶ビールの季節です
汗で張り付いたTシャツが言う
ここで自爆テロの速報です
ビルに張り付いた画面が言う
梅雨は明け快晴が続くでしょう
モヤがかかったアスファルトが言う
歩道を舞った新聞紙が言う
ところで貴方は誰
イヤホンから流れ出す いつも通りの音楽が
僕を嘲笑ってるように感じてしまったんです
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
続いて歌われているのは、様々なものが自分に向けてそれぞれの意見を主張してくる様子でしょうか?
毎日これだけのメッセージを受け取っていたら、自身の心の内側にある思いが揺らいでしまったり、そもそも自分の思いを見失ってしまったりすることがあるかもしれませんね。
----------------
正解なんて無いからね
わざと大きい声で叫ぶ世界
大体代替品世代 故の存在証明を
言葉にすり変わる前の
怒りによく似たこの希望を
忘れないように旗を立て
いつか再びここで落ち合おう
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
「大体代替品世代」というフレーズに関して明確な解説はなされていませんが、言葉の意味どおりに解釈すると「ほとんどのものがいつかの時代の類似品」という意味。
大まかな思考や感情に大きな違いはないからこそ、自信を持って自分の思いを述べ、存在を主張していくことが大切だと教えてくれているのかもしれません。
また、溢れた感情が言葉になるころというのは、すでに気持ちが落ち着いていることが多いものです。
後半部分では「落ち着く前の感情を忘れないようにしよう」というメッセージが発せられているようですね。
フラストレーションを抱える日々
----------------
横たわった日々の怠惰
何もない とは敗北のよう
何もない って笑い泣いたら
可愛がられた 歯軋りがした
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
2番の冒頭では、楽曲の主人公の怠惰な様子が歌われています。
ここで注目すべきは「歯軋りがした」というフレーズ。
敗北を感じ自暴自棄になる姿を周りは可愛がってくれているようですが、そんな生活に苛立ちを感じていることがわかりますね。
----------------
明日の夜またここでお会いしましょう
塗装の剥げた古ベンチが言う
路傍に朽ちた週刊誌が言う
君に興味はないよ
だって金にもならないし
サラリー振り込みの通知 写り込む安堵した顔こそ
僕が画用紙に描くべき「みらいのぼく」だったんです
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
主人公は夜になると古びたベンチに座り、路肩に落ちている週刊誌を横目に黄昏ていたようです。
なにか悶々とした思いを抱えていたのでしょう。
これまでの流れから考察すると、後半の2行はやや自虐的な意味であると推測されます。
幼少期「皆さんの夢を画用紙に描いてみましょう」というシチュエーションで素敵な夢を描いていたのかもしれませんが、今の自分は毎月の給料にただただ安堵する日々。
だったらあの時にこんな醜い自分を描いておけばよかった、という自虐的な後悔が表現されているのかもしれませんね。
そんな主人公のフラストレーションは、続くサビでも表現されています。
----------------
問題は山積みだね
本当うるさい声で笑う世界
大々的開幕次第 僕の憂鬱は無しになって
言葉にしないと分かんないよ
何度も言われたその指導論
頷きながら爪を立て
いつかなんていつまで待てばいいの
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
「言葉にしないと分からないよ」と言われ続けたものの、言葉にしたところで叶うわけではない。
むしろ周りの目が気になってうまく言葉にすらできない。
「希望論」というタイトルではあるものの、ここでは主人公が希望を見いだせていない様子が伝わってきます。
この歌だけ本当の僕
続くCメロでは、主人公の強い気持ちが歌われています。
----------------
うだうだ色々考えたら
どいつもこいつも喋り出して
肝心な事は分からない
結局一つも言えやしない
何も言えやしないけどこの歌だけ僕の本当だ
なんて強がりじみても大真面目に歌いたいです
将来なんて知らないよ
僕が僕で無くても廻る社会
橙色に染まる街 個々に在る証としての影
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
注目したいのは「この歌だけ僕の本当だ」というフレーズ。
yamaはこのフレーズこそがこの歌に込められたメッセージだと語っています。
自分の思い、夢、周りの主張、評価、これからの生活など気に病むことはたくさんあるけれど、それも込みで自分。
「正解・不正解ではなく、こんな自分だからこそ見えるものを主張し続けていく」という冒頭のメッセージにも繋がりますね。
最後のサビでは、主人公が自分の思いを主張する様子が歌われています。
----------------
正解だってあるはずだ
僕が僕であるなら見える世界
散々だった過去の枷
全て引きずって尚歩くよ
言葉にしたけど伝わるかな
怒りによく似たこの希望論
忘れたフリだけ上手い僕ら
再びここでまた会おうね
言葉にしたけど伝わるかな
怒りに良く似たこの希望論
≪希望論 歌詞より抜粋≫
----------------
『希望論』とは「本当の自分を主張し、自分自身を創り残していくこと」なのかもしれません。
みなさんもぜひ『希望論』から、自分の思いを伝える勇気をもらってくださいね。
映画『DIVOC-12』も要チェック!
『希望論』は各種音楽ストリーミングサービスの他、アルバム『the meaning of life』で聴くことができるのでぜひチェックしてくださいね。
主題歌に起用されている映画『DIVOC-12』も要チェック。
同映画は「COVID-19を乗り越えよう」という思いのもと、12人の監督によって作られた作品です。
映画の制作背景や内容を踏まえて『希望論』を聴くと、より深く楽曲の世界観を楽しめるかもしれませんよ。