蜷川実花×RADWIMPSのコラボが実現
世界中で絶大な人気を誇る「ONE PIECE」。
その漫画100巻&アニメ1000話を記念して、2021年8月30日より、記念ムービー”WE ARE ONE.”が公開されました。
この作品は5本立てのショートドラマで、登場人物はいずれも「ONE PIECE」を読みながら成長してきた若者たちです。
監督を務めるのは、写真家・映画監督の蜷川実花。
また、自身も「ONE PIECE」ファンいう高良健吾を筆頭に、飯豊まりえ、福士蒼汰、杏花など、豪華出演者が登場します。
RADWIMPSと言えば、アニメ映画「君の名は。」の音楽制作を担当したことが記憶に新しいでしょう。
主題歌の『前前前世』や、挿入歌『なんでもないや』『スパークル』等が社会現象を引き起こすほどの人気ぶりを見せました。
今回は、そんな彼らが新曲『TWILIGHT』を書き下ろし、この記念ムービーに華を添えています。
自分の弱さと、それを乗り越えるための強さを「ONE PIECE」から学んできた若者たちの背中を押す楽曲に仕上がっています。
『TWILIGHT』は2021年11月23日発売の新アルバムにも収録予定ですので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
主人公の未来に対する希望的観測
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光りたいしひっ掻きたい めんどくさい僕らが手にしたい明日は
儚くて他愛なくて離したくなくなる かけがえない淡いトワイライト
≪TWILIGHT 歌詞より抜粋≫
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「twilight」という言葉に、漠然と光源のイメージを持っている方も多いと思いのではないでしょうか?
正確な意味合いとしては「薄明り、ぼんやりとした明るさ」など、不明瞭な明るさを意味する言葉です。
この楽曲では、主人公の夢見る気持ちと自身の中に湧きおこる現実的な考えが交錯しています。
自分の諦めの悪さを自覚しながらも、どこかで大切にしているものを手放したくない気持ちが湧き上がっているようです。
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壊れちゃったっていいのに一回いっそのこと
洗いざらい流してまっさらな大地に
何を今さらしがみついてさ あれだけ愚痴ばっか言ってたクセに
≪TWILIGHT 歌詞より抜粋≫
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主人公は上手くいかないのならば、いっそのこと全て壊れて無くなってしまえばいいのにという自暴自棄な想いも抱えています。
その一方で、愚痴をこぼしながらも、ずっと諦めることが出来なかった自分のことも自覚しているのです。
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何もないよりか とんでもないことが 起きたらいいのにな なんて考えてた
それが今ならば 抱きしめにいくから ねぇ未来
≪TWILIGHT 歌詞より抜粋≫
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平凡な日常に飽き飽きしている主人公。
「なにか刺激的なことが起こればいいのに」という想像ばかりが膨らんでいます。
未来が自分の都合の良い展開になれば頑張ろうかなという優柔不断な意識とわずかな期待が入り混じります。
自分で希望する未来を掴みに行くという能動的な姿勢よりも、何か面白いことが起きたらなあという受動的な姿勢が強いように感じられますね。
決意から生まれた根拠の無い自信
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たった一人ぼっちで生まれてきて たった一人ぼっちで消えゆくのに
そのわずか刹那に意味を産む 我ら人類の儚さ祝う
≪TWILIGHT 歌詞より抜粋≫
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全ての人類が1人で生まれ、1人で死んでいきます。
人生というわずかな時間に、意味を見出そうとすること自体が儚いことなのかもしれません。
しかしそれと同時に、限りある時間の中で何かを成しえようともがく事は、とても尊いことであると言いたいのではないでしょうか。
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「永遠」なんかにはさ できやしないことが 俺らん中で今 飛び跳ねてんだ
渋滞起きた奇跡 両手広げ待っててよ未来
≪TWILIGHT 歌詞より抜粋≫
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もし尽きることのない命を得て、持てる時間が無限になったとしたら、人は何をやるにしてもいつでも出来ると考えて、逆に何もしなくなるかもしれません。
この一瞬に燃える勢いがあるからこそ、爆発的なエネルギーが生まれるのではないでしょうか。
その爆発力があれば、奇跡を起こすことすら容易かもしれません。
主人公の価値観や考え方が変わった瞬間から、あれほど諦めの色が濃かった未来が、突然光輝いて見えるのです。
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「俺たちならいけるさ」なんて グラッグラな星ではしゃごうか
分かってるそんな甘くないって 「だからなに?」って言える今を
「アイス」
どんな不味そうな明日だってさ 頬張ってみるから
ズタボロの覚悟も決意も まだ息はしてるから
≪TWILIGHT 歌詞より抜粋≫
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このパートは不安定で不完全な自分だからこそ、意味があると思わせてくれます。
現実的な厳しさも理解した上で、それでも困難を吹き飛ばしていこうとしているのではないでしょうか。
「アイス」は、恐らく「愛す」とかかっており、根拠のない自信をもって突き進める今この瞬間を愛したいという想いが読み取れますね。
どんなに不利な状況だとしても、とにかく試してみるという前向きな気持ちが感じられます。
どんなにボロボロになっていたとしても、主人公の中に「覚悟」や「決意」の炎が息づいていれば、彼が挫けることはありません。
不完全さから生まれる魅力を武器に
1度でも「ONE PIECE」に触れたことがある方は分かるかもしれませんが、この作品はただの冒険漫画ではありません。
それぞれのキャラクターが自分の弱さと向き合いながら、成長していく過程がとても丁寧に描写されている作品です。
RADWIMPSの『TWILIGHT』は、不完全だからこそ生まれる個性を魅力に換えて闘っていこうという決意の歌ではないでしょうか。
まさに能力やアイデンティティで戦っていく「ONE PIECE」にピッタリな楽曲です。
逆境に打ち勝つためのモチベーションは人それぞれに異なるでしょう。
自分の夢をかなえたいから、仲間との時間を大切にしたいから。
きっかけは何でもいいのです。
この楽曲は何らかの理由でやりたいことに後ろ向きになってしまっている人に、ぜひ聞いてほしい楽曲です。