TVアニメ「平家物語」のあらすじは？
『光るとき』の作詞作曲は、羊文学のボーカル・ギターである塩塚モエカが担当しています。
TVアニメの主題歌書き下ろしは、羊文学にとって初の試みですが『平家物語』の世界観に合っていると話題です。
まずはアニメ『平家物語』について簡単に説明します。
『平家物語』は鎌倉時代の軍記物語である“平家物語”をもとにし、栄華を極めた平家が源氏との戦を経て滅亡していく様子を描いたアニメです。
主人公は未来が見える目を持つ琵琶法師の少女で、平家が滅亡することを知っている状態で、平家の人々と生活を共にします。
視聴者も歴史として平家が滅亡することを知っている状態で、物語を追うことになるため、主人公に近い視点を持って楽しめるという仕掛けになっているといえるでしょう。
今回は、このあらすじを踏まえて歌詞を考察していきます。
「平家物語」の冒頭にリンクする歌詞
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あの花が咲いたのは、そこに種が落ちたからで
いつかまた枯れた後で種になって続いてく
君たちの足跡は、進むたび変わってゆくのに
永遠に見えるものに苦しんでばかりだね
≪光るとき 歌詞より抜粋≫
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楽曲『光るとき』は「あの花」という歌詞から始まります。
“平家物語”の冒頭で「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。」という有名なフレーズが登場することを踏まえると「あの花」は「沙羅双樹の花」を指していると考えられそうです。
「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。」とは「どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものだ」というメッセージが込められた言葉です。
「君たちの足跡は、進むたび変わってゆくのに 永遠に見えるものに苦しんでばかりだね」という歌詞と重なりますね。
栄華を極めた平家が滅亡したように、永遠というものは存在せず、私たちが永遠だと思っているものは、きっと永遠のように見えているだけなのでしょう。
最終回のストーリーを知る主人公の思い
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最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても
今だけはここにあるよ 君のまま光ってゆけよ
≪光るとき 歌詞より抜粋≫
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「最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても」という歌詞が出てきます。
この歌詞は平家が滅亡することを知っている主人公や視聴者の視点を表現していると解釈できそうです。
YouTubeには『平家物語』の映像と『光るとき』の音楽を組み合わせて制作されたオープニング映像が公開されていますが「今だけはここにあるよ」という歌詞と同時に、主人公が平家の人々と笑い合う映像が流れます。
「今だけはここにあるよ」という歌詞には、平家が滅んでしまうことや大切な人々が戦で亡くなってしまうことを知っていながら、最終回が来るそのときまで、笑い合える“今”を大切にしたいという主人公の思いが表現されているのではないでしょうか。
『平家物語』に漂う悲しみの感情に寄り添った歌詞だといえるでしょう。
羊文学が「光るとき」に込めたメッセージ
楽曲の最後は以下の歌詞で締めくくられます。
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いつか笑ってまた会おうよ
永遠なんてないとしたら
この最悪な時代もきっと続かないでしょう
君たちはありあまる奇跡を
駆け抜けて今をゆく
≪光るとき 歌詞より抜粋≫
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『平家物語』は平家が滅亡に向かうストーリーであり「永遠なんてない」という儚さや切なさを主人公の視点から丁寧に描いたアニメです。
平家の人間は「永遠なんてない」ということを嘆いたことでしょう。
しかし「永遠なんてないとしたら この最悪な時代もきっと続かないでしょう」という歌詞は「永遠なんてない」ということを前向きに捉え直しています。
良いことも永遠ではないかもしれないけれど、悪いことも永遠ではない。
今、苦しい状況にある人の希望になる歌詞だといえるでしょう。
このあたたかい楽曲で、鎌倉時代と現代が結びつけられたことに嬉しさを感じます。
