ゆずの新曲MVにKōki,が登場
今年、デビュー25周年を迎える「ゆず」。長年に渡って愛され続ける彼らが、2022年6月29日に通算17枚目となるアルバム『SEES』を発売します。前作のアルバム『PEOPLE』からわずか3か月ということで、本作はゆず史上最短でのリリースとなりました。
元々『PEOPLE』と『SEES』は、1枚のオリジナルアルバムでリリースされる予定でした。
しかし、ここに至るまでの年月を1枚に詰め込むにはどうしても収まりきらないと感じ、あえて2枚のアルバムに分けたそうです。
今回ご紹介する『君を想う』は、新アルバムに先駆けて6月15日より配信開始されたリード曲。
作詞・作曲を務めたのは、ゆずの北川悠仁。そして、蔦谷好位置が共作曲で参加しています。
蔦屋はSuperflyの『愛をこめて花束を』や、Official髭男dism の『宿命』『イエスタデイ』、米津玄師の『アイネクライネ』といった人気作の編曲を担当してきました。
ゆずと何度も共作曲してきた蔦屋は、2013年に「最優秀アルバム賞」を受賞した11thアルバム『LAND』でもプロデュースに携わっています。
6月16日には、ゆずの公式YouTubeチャンネルで『君を想う』のMVが公開され、モデルのKōki,がメインキャストを務めたことでも話題となりました。
『君を想う』というタイトルを元に、”強さを持ちながら等身大の自分も表現できる女性”という理由でKōki,が選ばれました。
監督を務めたのは、映像作家の柿本ケンサク。映画やテレビCMの他、Mr.ChildrenやRADWIMPS、ONE OK ROCK といった人気アーティストのMVを数多く手掛けてきました。
本作は、過去から現在そして未来へと時間が交錯する中で、1人の女性がすべてを受け入れながら前へ進んでいくといった内容。抽象的な表現とKōki,の凛とした強さが見事に融合した美しい作品に仕上がっています。
さっそく『君を想う』の歌詞の意味から、ゆずならではの魅力を探っていきましょう。
ありのままを尊重する「僕」
----------------『君を想う』は「君」と「僕」という2人の登場人物によって紡がれていきます。
君が想い描くような 僕じゃないけど
君は僕を不思議なくらいに 強くするんだ
誰かがイメージするような 君じゃないから
僕といる時くらいは ありのままでいいんだ
≪君を想う 歌詞より抜粋≫
----------------
この楽曲の魅力的な所は「君が想い描くような 僕じゃないけど」や「誰かがイメージするような 君じゃないから」のように、お互いの人間性を断定しすぎないところではないでしょうか。
「僕」は君が思い描くような完璧な人間ではなかったかもしれません。しかし、僕にとって「君」は、その存在だけでポジティブなエネルギーを与えてくれていたことが分かります。
「僕」にとって、自分らしくいられることはとても重要なことなのでしょう。「君」に対しても同様で、誰かの制限の中で生きるのではなく、ありのままの「君」でいてほしいと思っているようです。
----------------眠れずに、1人朝焼けを迎える様子が美しく描写されています。
眠れなくて 時間ばかり過ぎてゆく
窓の向こう 朱色の空 羽ばたく鳥のシルエット
≪君を想う 歌詞より抜粋≫
----------------
「窓の向こう」と「羽ばたく鳥のシルエット」からは、器用に生きられない自分と自由に羽ばたく鳥の対比を指しているのではないでしょうか。
しかし「シルエット」と歌われていることから、主人公が思い描いている理想は非常にぼんやりとした願望のようなものなのかもしれません。
----------------「君」に対して優しく、そしてやや心配そうに問いかける主人公。
君が必要としてた 僕じゃないかな
君は僕を臆病者に変えてゆくんだ
疲れ果てて ため息ばかり ついていた
夜の向こう 黄色の月ぼんやり 一人見上げる
≪君を想う 歌詞より抜粋≫
----------------
「在りたい姿で在ろうとする自分」と「君に嫌われたくない気持ち」の狭間に生まれた戸惑いのようなものが感じられます。
人が共に過ごすということは、もちろん良いことばかりではありません。
時に分かりあえず、辛い夜を孤独に過ごした日々の回想が描かれています。
過去の思い出が今を生きるエネルギーに
----------------ふと記憶をたどると、思わず帰りたくなるあの頃。
君を想う 会いたくなる
わかりあえない日々も
その全てが僕らを創ってる
かけがえのない ありふれた物語
≪君を想う 歌詞より抜粋≫
----------------
恐らく「僕」と「君」は、すでに別れて離れ離れになっているのではないでしょうか。
それでも主人公は、過去の経験があったからこそ、今の「僕ら」がいると断言しています。
客観的に見るとありふれた話に感じるかもしれませんが、彼らにとってはとても大切な日々だったことが伝わってきます。
----------------
君を想う 泣きたくなる
忘れられない日々を
胸に抱いて僕ら歩いてく
光と暗闇が交錯する明日へ
もう翼なんていらない
ここにいるよ
笑いたけりゃ笑えばいいさ
愛しくちっぽけな 僕らの歌を
≪君を想う 歌詞より抜粋≫
----------------
サビでは、幸せも辛さも経験した君との”忘れられない日々”が、今の自分に確実に繋がっていると言いたいのでしょう。
明日がどうなるか分からなくても、羽ばたく鳥に憧れていたかつての気持ちはもうありません。なぜなら今の僕には、羽根が無くても自分の脚で未来へ歩み続けられるという確信があるからです。
その自信をくれたのは、他でもない「君との思い出」でした。
同じ時間を共有した彼らだけが「愛おしくちっぽけな 僕らの歌」の価値を分かち合うことができます。それらを大切に携え、今日もまた生きていくのでしょう。
「斬新さ」と「ゆずらしさ」の融合
『君を想う』を聴いて感じられるのは「斬新さ」と「ゆずらしさ」の融合です。楽曲の雰囲気やメッセージソングといった面は「ゆずらしい」のですが、北川と岩沢がそれぞれに主旋律とハモリを織り交ぜたメロディーを奏でていく構成はとても「斬新」です。
過去を共有した「君と僕」が、相手を大事に思いながらもそれぞれの道を歩んでいくという楽曲のコンセプトに重なるのも非常に興味深いです。
現在開催中のアリーナツアー「YUZU ARENA TOUR 2022 PEOPLE -ALWAYS with you-」では、すでに『君を想う』が披露され、大反響を呼びました。
8月にはアリーナ・ツアー追加公演「YUZU ARENA TOUR 2022 SEES -ALWAYS with you-」の開催も決定。
ライブを通してどんなパフォーマンスを披露してくれるのか、ますます楽しみですね。