定番クリスマスソングは失恋ソングだった!
イギリスのポップデュオ・Wham!(ワム!)が1984年にリリースした『ラスト・クリスマス(Last Christmas)』は、世界的大ヒットを記録した定番のクリスマスソングですよね。
日本でも累計売上100万枚を超え、多くのアーティストによってカバーされてきました。
流麗なメロディから幸せな雰囲気を感じる楽曲ですが、実はその歌詞は失恋した男性の切ない心情を描いています。
さっそく英語詞を和訳しながら、歌詞に込められた想いを考察していきましょう。
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Last Christmas
I gave you my heart
But the very next day you gave it away
This year
to save me from tears
I'll give it to someone special
≪Last Christmas 歌詞より抜粋≫
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サビの冒頭から出てくるタイトルの「Last Christmas」は、最後のクリスマスではなく“昨年のクリスマス”のこと。
その日、主人公は「I gave you my heart(君に愛を捧げた)」と歌っています。
きっとその年のクリスマスは、主人公にとって愛する人と結ばれた忘れられない大切な日となったのでしょう。
それなのに「But the very next day you gave it away(でも次の日には君はそれを捨て去ってしまった)」とあるように、彼の感じた幸せは儚い一夜の夢と化してしまいました。
あれから1年が経ち「This year to save me from tears I'll give it to someone special(今年は泣いていたくないから特別な誰かに愛を捧げよう)」と失恋を乗り越える気持ちになっていることがうかがえます。
本気で君を愛していた
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Once bitten and twice shy
I keep my distance
But you still catch my eye
Tell me baby
Do you recognise me?
Well It's been a year
It dosen'tsuprise me
≪Last Christmas 歌詞より抜粋≫
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「Once bitten and twice shy」は「一度噛まれると二度目は臆病になる」という意味のことわざです。
つまり、人は一度誰かや何かによって痛みを経験すると慎重に行動するようになるということを示しています。
「君」との恋に失敗した主人公は、恋そのものに慎重になっているのでしょう。
とはいえ「I keep my distance But you still catch my eye(君と距離を置いてみたけどやっぱり君は僕の目を奪うんだ)」と、まだ彼女に未練が残っていることを示しています。
「Tell me baby Do you recognise me?(教えてよ 僕のこと覚えてる?)」と心の中で尋ねるのは、彼女の心に自分の存在は少しもないのか確かめたいからだと解釈できます。
もちろん返事はなく「Well It's been a year It dosen'tsuprise me(1年も経つから驚かないけど)」と強がって見せている姿が切ないですね。
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I wrapped it up and sent it
With a note saying
“I love you”
I meant it
Now I know
What a fool I've been
But if you kissed me now
I know you'd fool me again
≪Last Christmas 歌詞より抜粋≫
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幸せの絶頂だったあのクリスマスに「I wrapped it up and sent it(ラッピングして君に贈った)」プレゼント。
「With a note saying“I love you”(「愛してる」のメモを添えて)」彼女に手渡した時の彼の胸の高鳴りが想像できるでしょう。
「I meant it」は直訳すると「僕はそれを意味する」となりますが、本当にそう思って言ったというニュアンスが含まれているので、愛してるというメモの言葉は「本気だった」と伝えていることが理解できます。
「Now I know What a fool I've been(僕は馬鹿だったって今なら分かるよ)」という歌詞は、自分だけが恋に夢中になるあまり彼女の本心に気づかなかったことへの後悔を示しているようです。
それなのに「But if you kissed me now I know you'd fool me again(でももし君が僕にキスしてきたら僕はまた騙されてしまうんだろう)」と、彼女の振る舞いひとつでひどい仕打ちを忘れてまた夢中になってしまう予感もしています。
それほどまでに彼女のことを愛していたことを示す歌詞です。
来年こそ本物の愛を見つけたい
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Crowded room
Friends with tired eyes
I'm hiding from you
And your soul of ice
My God I thought you were
Someone to rely on me?
I guess I was a shoulder to cry on
≪Last Christmas 歌詞より抜粋≫
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「Crowded room Friends with tired eyes(混み合った部屋 疲れた目をした友達)」という歌詞の描写は、今年のクリスマスパーティーの様子を描いていると考察できそうです。
パーティーに参加していながらも、頭の中は彼女のことでいっぱいになっているのでしょう。
出会った頃は「I'm hiding from you And your soul of ice(僕は君と君の冷たい心から隠れている)」状態で、彼女の人となりを知らないでいました。
そして「My God I thought you were Someone to rely on(神様 あなたは信頼できると思ってた)」とあるので、その後の彼女との出会いに運命的なものを感じていたのかもしれません。
しかし残念ながら、あの時彼女が冷たい人であることを目の当たりにしました。
続く「I guess I was a shoulder to cry on(僕は悩みを聞いてくれる人にすぎなかった)」の歌詞は、泣いている彼女を肩で受け止めてあげるだけの都合の良い存在だったことを示しています。
彼にとって彼女は大きな存在でも、彼女にとっての彼は寄りかかるのにちょうどいいその他大勢の中の1人でしかなかったことに気づいたのです。
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A face on a lover with a fire in his heart
A man under cover but you tore me apart
Woo fu…Now I've found a real love
You'll never fool me again
≪Last Christmas 歌詞より抜粋≫
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「A face on a lover with a fire in his heart(心に情熱の火を灯した恋する男の顔)」は主人公自身のことでしょう。
彼女に恋をして、愛の火を心に灯していた彼の表情はきっと幸せいっぱいだったはずです。
しかし「A man under cover but you tore me apart(隠していた想いを君は引き裂いた)」という言葉の通り、彼女の行動で深く傷つけられてしまいました。
2人がお互いに本気で恋をした末に訪れた別れであれば納得できますが、彼女の思わせぶりな態度に騙された彼にとっては受け入れがたい結末です。
そして彼は「Now I've found a real love You'll never fool me again(今僕は本物の愛を見つけた もう君に振り回されたりしない)」と宣言します。
本当に新しい恋を見つけたのかどうかは分かりません。
どちらかと言えば、もう彼女に未練なんてないのだと示すためのただの強がりのように聞こえます。
とはいえ、彼女との間にはなかった「本物の愛」を今度こそ見つけたい、もっと素敵な恋愛をしたいという気持ちが垣間見えます。
今年のクリスマスまでは彼女への未練を断ち切ることができなかったため、来年のクリスマスは本当に愛し合える人と過ごしたいと願う彼の想いが成就してほしいですね。
「ラスト・クリスマス」で幸せな恋を引き寄せよう
Wham!の『ラスト・クリスマス』は振られた女性への未練と寂しさが消えない失恋ソングでした。洋楽の中でも特にメジャーな曲ですが、歌詞に描かれている本当のストーリーは知らなかったという人も少なくないでしょう。
切ない内容ではあるものの、次の恋へと踏み出そうとするリスナーの心をきっと励ましてくれますよ。