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淡谷のり子「別れのブルース」歌詞の意味とは?朝ドラ「ブギウギ」でも話題になった歌謡曲を考察!

1937年(昭和12年)にリリースされ大ヒットを記録した淡谷のり子『別れのブルース』。朝ドラ『ブギウギ』に登場したことで再び大きな話題を呼んだ不朽の名曲です。今回は、そんな大ヒット歌謡曲『別れのブルース』の歌詞の意味を考察します。

服部良一作曲、昭和の大ヒット歌謡曲


東京ブギウギ』や『銀座カンカン娘』などで知られる服部良一が作曲を手がけた『別れのブルース』。

歌手・淡谷のり子が「ブルースの女王」と呼ばれる最初のステップとなった、1937年(昭和12年)リリースの大ヒット歌謡曲です。

2023年11月には朝ドラ『ブギウギ』で流れたことでも世間を沸かせ、菊地凛子演じる茨田りつ子(淡谷のり子をモデルにした人物)の粛々たる存在感とともに大きな話題を呼びました。

今回は、そんな不朽の名曲『別れのブルース』の歌詞の意味を考察します。

さっそく冒頭の歌詞から見ていきましょう。

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窓を開ければ 港が見える
メリケン波止場の 灯が見える
≪別れのブルース 歌詞より抜粋≫
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「メリケン波止場」は、外国船が出入りする船着場のこと。

『別れのブルース』の主人公は、窓を開ければ港や灯台を一望できるような場所にいるようですね。

ちなみにここでの「港」については、作詞者・藤浦洸が創作のために赴いた横浜港であるという話もあります。

実際、横浜港にある大さん橋は「メリケン波止場」とも呼ばれていました。

哀愁や異国情緒を感じさせる昭和の港を舞台に、『別れのブルース』の始まりです。

「踊るブルースの切なさよ」


続きの歌詞はこちら。

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夜風 潮風 恋風のせて
今日の出船は どこへ行く
≪別れのブルース 歌詞より抜粋≫
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恋風」は、身に染みる風に恋の切なさをたとえた言葉です。

夜風や汐風(しおかぜ)をまといながら、恋の切なさを乗せて出港する船。

どことなく寂しげな空気が感じられますね。

行き先が気になる「今日の出船(でふね)」のどれかに、もしかしたら主人公の恋の相手が乗っているのかもしれません。

続く歌詞も見てみましょう。

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むせぶ心よ はかない恋よ
踊るブルースの 切なさよ
≪別れのブルース 歌詞より抜粋≫
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窓から見える景色に思いを馳せながら、主人公は悲しみに暮れている様子です。

「むせぶ心よ はかない恋よ」というフレーズからは、思いっきり泣くを堪え、込み上げる悲しみを自分の中に押さえ込んでいるような雰囲気が伝わってきます。

そして締めは「踊るブルースの 切なさよ」。

ともにブルースを踊った束の間の思い出に、我が恋のはかなさを重ねているのでしょうか。

うたかたの恋の哀調が染みる1番ですね。

「二度と逢えない心と心」


続いて、2番の歌詞を見ていきます。

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腕にいかりの 入れずみほって
やくざに強い マドロスの
お国言葉は 違っていても
恋には弱い すすり泣き
≪別れのブルース 歌詞より抜粋≫
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腕にいかりの入れ墨を彫っている「マドロス(オランダ語で “船乗り” )」。

「いかり(錨)」の入れ墨は海軍や海兵隊などの海で仕事をする人に好まれ、まっすぐに立ち向かう強さや勇気の象徴だといわれています。

主人公が知る「マドロス」は、入れ墨のとおり「やくざに(=無駄に)強い」腕っぷしだったようですね。

また、続く歌詞には「お国言葉」が違うとあるので、彼は主人公とは異なる土地で生まれ育った外国人だったとも考えられます。

ただ、生まれ育った環境や言葉が違っても「恋に弱い」という点は二人に共通だったのでしょう。

主人公も彼も、別れなければならない運命に静かに涙した様子です。

さらに続く歌詞はこちら。

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二度と逢えない 心と心
≪別れのブルース 歌詞より抜粋≫
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「逢えない」という表現には「二度と彼に会えない」という意味のほか「二度と彼のような人には出会えない」といったニュアンスも読み取れますね。

背格好も出身地もまるで違う二人が通じ合ったわけなので、身を切るような別れの悲しみも彼らにとってはいっそう強く感じられたことでしょう。

最後の歌詞には、1番と同じフレーズが続きます。

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踊るブルースの 切なさよ
≪別れのブルース 歌詞より抜粋≫
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「ブルース」は、19世紀半ば、奴隷制下のアメリカにおいて黒人たちの労働歌として生まれました。

その成り立ちから、悲しい気持ちや嘆き、不運など、抑圧のなかで味わった個人的な感情や境遇をテーマにした歌が多かったようです。

これを踏まえると「踊るブルース」は、それぞれが異なる人生を生き、異なる苦労を抱えてきた二人の「不遇の恋愛模様」が投影されているとも解釈できます。

切ない運命をゆく二人のラストダンスは、他でもない「ブルース」でなければならなかったように思えてなりません。

哀調を帯びた「別れのブルース」

今回は、淡谷のり子『別れのブルース』の歌詞の意味を考察しました。

哀愁ただよう情景描写、はかない恋の悲しみや切なさが心に染みる歌詞でしたね。

ひとたびフルの音源を聴いたら、芯がありながら情感ゆたかに響く淡谷のり子の独特の歌声に誰もが胸を打たれることでしょう。

また『別れのブルース』以外にも、『雨のブルース』や『君忘れじのブルース』など、淡谷のり子が歌い上げる日本のブルースは数多くリリースされています。

朝ドラ『ブギウギ』の今後の展開と合わせて、「ブルースの女王」が歌うこれらの楽曲もぜひチェックしてみてください。

この特集へのレビュー

男性

KG小林

2024/04/18 11:01

「やくざに強い」は,弱い者からみかじめ料を取ってなりわいとする割に親分やエライ人にはヘコヘコする「ヤクザ」と,港町の酒場でいさかいになっても腕っぷしは遥かに上で,しがらみもないマドロスは,ヤクザをこてんぱんにしてくれる,という好感をもって描いている歌詞だと思い込んでいました.やくざに=無駄に,とは考えてもおらず,感心しました.

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