YOASOBIが「〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン」主題歌を担当
YOASOBIが2024年7月1日に配信リリースした『UNDEAD(アンデッド)』は、2010年代を代表する人気作「〈物語〉シリーズ」最新作の『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』の主題歌です。今作では「〈物語〉シリーズ」を手がける西尾維新自らが原作小説『なでこパスト』と『しのぶフューチャー』を書き下ろし、その作品を基に楽曲が制作されました。
過去と未来についての思いがそれぞれ語られる内容から、楽曲も過去と未来に対する見方を考えさせられる歌詞となっています。
どのようなメッセージが込められているのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
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UNHAPPY?
悩める人の子よ
UNLUCKY?
人成らざる者も
BE HAPPY!
弛まず目指せよ
生きているんだし
目を逸らした過去も
退屈な未来も
カウンセリング
やれやれ
古今東西
ピースピース
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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1番冒頭で主人公は、「UNHAPPY」と語る「悩める人の子」や「UNLUCKY」とぼやく「人成らざる者」の言葉を聞いています。
そして、彼らに対し「BE HAPPY!(幸せであれ!)」と力強く告げています。
「弛まず目指せよ 生きているんだし」というフレーズから、状況を嘆いて諦めてしまわず生きている限り自分が幸せでいられるように努力し続けるべきだという考えが伝わってきますね。
彼らの「目を逸らした過去」や「退屈な未来」をカウンセリングしながらピースを振りまく様子に、もっと気楽に楽しめよと言われているような気がします。
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ねえ何だかどうして
戦ってるようなそんな気がするの
触れられない 触れたくもない
過去の自分自分自分自分と
もうとっくに死んでる
透明な亡霊と対決
幼気で痛い記憶の奥
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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過去に囚われている人は、過去の自分と戦っているような気がしていると語っています。
自分にとってはもう「触れられない 触れたくもない」「幼気で痛い記憶」ですが、他人にとっては過去の自分の方が馴染みがあるということも少なくありません。
そのような見方と遭遇する度に「もうとっくに死んでる透明な亡霊と対決」しているかのように感じ、手応えもなくどうしていいか悩んでいることが読み取れます。
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残念? もう居ないのに
あれ? そっちが良い? アイロニーね
透かされているのは現在の自分?
ナンセンス
消えないレッテル
Yes! 要はコンプレックス
取り憑かれているみたい
巻き付いたまま
まだ離れない
在りし日の自分
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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本人にしてみれば努力して今の自分に変わったのに、過去の自分を惜しまれたり「そっちが良い」と言われたりすると傷つくものです。
「透かされているのは現在の自分」で、周囲はもういない過去の自分を見ていると思うとつらくなります。
変化したことでコンプレックスから解放されたと思ったのに、未だ「在りし日の自分」に取り憑かれているかのようで別の苦しみに悩まされています。
幸せになろうとしないなんて卑怯だ
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UNDEAD
死んじゃいない
お前とお前の連鎖
生きていることとは変わり続けることだ
不幸に甘んじて
満足するなよ
幸せになろうとしないなんて卑怯だ
この世この世は
奇怪奇怪ファンタジー
次は鬼が出るか蛇が出るか
出会って遭ってやっと始まる物語
さあ人か化物か
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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タイトルの「UNDEAD」は完全には死んでいない存在のことを指す言葉です。
過去の自分はもはや死んだ亡霊のように思えても、実際は過去と現在は連鎖していて切り離せないものなのでしょう。
「生きていることとは変わり続けること」であり、生きているからこそ人は変化します。
だから不幸だからといって変化することをやめてはいけません。
「幸せになろうとしないなんて卑怯だ」という言葉からも、幸せのために行動し続ける必要性が伝わってきます。
何が起こるか分からない「出会って遭ってやっと始まる物語」なのだから、色んな自分と出会って物語を作っていくことが人生なのではないでしょうか。
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Past & Future
can't change the Past
Past & Future
run for the Future
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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この英語詞では過去と未来についての事実を明らかにしています。
「can't change the Past」とあるように、どれほど足搔いても過去は変えられません。
だから「run for the Future」の言葉通り、未来に向けて走る必要があります。
現在で立ち止まっていては生きていないも同じです。
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カットイン
何だかどうして
未来になんぞ
何の希望もない期待出来ない
ような気がして
もう随分生きている
既視感とテンプレで食傷
素敵な出来事の気配もない
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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ここからは未来についてのぼやきが記されています。
「もう随分生きている」ため「既視感とテンプレ」ばかりの似通った毎日に飽き飽きし、未来に「何の希望もない 期待できないような気がして」いると語っています。
「素敵な出来事の気配もない」から、これからの未来が楽しくなるとは思えないようです。
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残念
積んだ経験の因果
形骸化された神話と退屈な進化
要は刺激が欲しいんだ
飽きちゃった
慣れちゃった
なんて
整っていくガイダンス
増えるコンプライアンス
蓋されていくみたい
吸い尽くして
あれもこれもどれも
同じ味がする
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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それは「積んだ経験の因果」で、形だけが残った過去の栄光と緩やかにしか進化しない世界の生温さに飽きているだけ。
主人公は「要は刺激が欲しいんだ」と見透かしています。
「ガイダンス」が整っていくほど「コンプライアンス」が厳格になっていき、自分の可能性に蓋がされていくように感じるのです。
どこを見ても同じ形式に縛られた世界の様子の味気なさのせいで、未来に魅力を感じなくなっていることを明らかにしています。
生きている限りハッピーエンドを目指せ
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UNDEAD
死んじゃいない
お前とお前の連鎖
何時の世も
過去も未来も現在にあるんだ
生きていることを
愚直に果たせよ
目指せハッピーエンド
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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この部分では、周囲に影響されて自分の歩みまで止めないように忠告しています。
「何時の世も過去も未来も現在にあるんだ」という言葉の通り、過去や未来に目を向ける前に現在と向き合う必要があるでしょう。
「生きていることを愚直に」果たしていれば、未来はよいものになっていくはずです。
「ハッピーエンド」を目指して自ら行動することこそが重要だと奮い立たされます。
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UNDEAD
死んじゃいない
お前に言っているんだ
幸せを諦めてしまうな
人で在れ
ただ苦しみに慣れて
耐えているだけじゃ
死んでいるも同然
屍のアンデッド
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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「お前に言っているんだ」のフレーズから、リスナー一人ひとりに語りかけていることを感じ取れますね。
「幸せを諦めてしまうな」、諦めたらその瞬間人でなくなってしまうと訴えかけてきます。
「ただ苦しみに慣れて耐えているだけじゃ死んでいるも同然」です。
命ある限り人として活動を続けることに、人の価値はあります。
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不幸に浸るも
幸せになるのも
そう全部全部お前だ
古今東西
一切合切
森羅万象
ピースピース
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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「不幸に浸るも幸せになるのもそう全部全部お前だ」という言葉が力強いエネルギーを放っています。
人は不幸になるか幸せになるかを選べます。
自分ではどうしようもない状況に思えても、行動をやめたら幸せになるのを選択することすらできません。
どこに住んでいるかやどんな立場にいるかに関係なく、誰しも自分の幸せを目指して生きる大切さを教えてくれます。
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人の在る所に何時も憂い事
生き抜けこの化物ばかりの物語
≪UNDEAD 歌詞より抜粋≫
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人がいる限り、世界のどこにでも「憂い事」は存在します。
しかしその中でも幸せになることは可能です。
幸せになることを諦めた「化物ばかりの物語」で、楽な道に逃げずに自分の人生を「生き抜け」というメッセージに力づけられるでしょう。
心に訴えかけてくるメッセージソング!
YOASOBIの『UNDEAD』は、過去や未来に縛られず現在を精一杯生きるよう奮い立たされるメッセージソングです。タイトルからも“お前はまだ死んじゃいないから諦めるな”と励まされているように感じられます。
「〈物語〉シリーズ」や自分自身の人生と重ねながら、歌詞に込められた思いを受け取ってくださいね。