桑田佳祐のソロデビュー曲!
日本を代表するロックバンド・サザンオールスターズのボーカルとして、またソロとしても活躍するミュージシャンの桑田佳祐。彼のソロデビューシングルが、1987年10月6日リリースの『悲しい気持ち』です。
今から30年以上も前の曲ですが、2021年にTVCMで流れたことで再注目。
曲を聴いて当時を懐かしむ人や、初めて聴く若い世代にも広く受け入れられました。
本作の魅力はなんといっても夏らしい明るいメロディと、大切な人と別れた男性の気持ちを表した歌詞でしょう。
いったいどのような内容なのか、さっそく歌詞の意味を考察していきます。
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夏の女神に
最後の Kiss を
抱き合うたび溶けそうな
瞬間にお別れ Wow oh…
夢で逢えたら
あの日に帰ろう
夜空に舞う星に
願いをこめて
≪悲しい気持ち (Just a man in love) 歌詞より抜粋≫
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曲は別れを予感させる歌詞から始まります。
「夏の女神に最後のKissを」とありますが、きっと女神のように眩しく美しく、多くの思い出をくれた女性だったのでしょう。
なぜ別れたのかは言及されていませんが、全体の歌詞を見る限り別れたくて別れたわけではないようです。
もしかしたら仕事など、やむを得ない事情があったのかもしれません。
「夢で逢えたらあの日に帰ろう」という歌詞からも、男性が女性との別れを惜しんでいる様子がうかがえます。
Just a man in love
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Just a man in love
Oh yeah… 涙に濡れて
Just a man in love
Oh yeah…
心に咲く花は君の香り
≪悲しい気持ち (Just a man in love) 歌詞より抜粋≫
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サビに登場する「Just a man in love」は「恋する男」という意味です。
まさに曲全体を象徴する歌詞ではないでしょうか。
1人の女性と出会い、恋する喜びも別れる辛さも知った男性。
そこには「カッコつけたい」「自分を強く見せたい」といった見栄はなく、ただただ女性との別れを悲しむ男性の素直な気持ちが表現されています。
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やがて誰かと
恋におちても
胸に残る言葉は
消えないままに Wow oh…
泣くのはやめて
愛しい女性よ
君のことを今も
忘れられない Mm…
≪悲しい気持ち (Just a man in love) 歌詞より抜粋≫
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「泣くのはやめて愛しい女性よ」とあるように、女性側も別れを惜しんでいたようです。
このことからも、お互い別れたくないのに別れなければならない状況であったと解釈しました。
「胸に残る言葉」とは、もしかしたら別れ際に交わした最後の言葉なのかもしれません。
そう考えるとより一層、寂しさが込み上げてくるのではないでしょうか。
何よりも大切な愛しい人
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Anyone
would be holdin'on
夏は終わり
夜風に身を病んで Mm…
I won't lose
if I just have you
いつ いつまでも君は
My sweet babe
≪悲しい気持ち (Just a man in love) 歌詞より抜粋≫
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「Anyone would be holdin'on」は「誰だって頑張っている」、「I won't lose」は「私は負けない」、「if I just have you」は「もしあなたがそばにいてくれたら」という意味になります。
まとめてみると「あなたがそばにいてくれるなら負けない、頑張れる」という意味になりますね。
男性にとって女性は心の支えであり、かけがえのない大切な存在だったのでしょう。
しかしその相手と別れたことで、男性の心には穴が空いたかのような寂しさを覚えます。
まるで夏の夕暮れにひぐらしの声を聴いているような、はたまた夏祭りが終わった後の静けさのような、過ぎ去ってしまった時間に対する物悲しさを感じていたのではないでしょうか。
「夏が終わり夜風に身を病んで」という歌詞が、夏の終わりと恋が終わったことへの寂しさを表現していると解釈しました。
そして「My sweet babe」とは「愛しい人」という意味。
「babe」は「赤ちゃん」を意味しますが、恋人やパートナーに対し愛情を込めて呼ぶ場合にも用いられます。
この歌詞からも男性が心から女性を愛していたことが分かりますね。
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またいつか逢えたなら
Hold me close to you
≪悲しい気持ち (Just a man in love) 歌詞より抜粋≫
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最後の「Hold me close to you」は「私を抱きしめて」という意味です。
「close」には距離が近いこと・親密さを意味し、「close to you」は「あなたのそばに」「寄り添って」というニュアンスで使用されます。
この歌詞からも分かるように、別れてしまっても女性への愛情が変わらない様子が伝わりますね。
男性にとって別れた女性は、キラキラと輝く夏の思い出のようにいつまでも心に残り続けるでしょう。
失恋のほろ苦さが伝わる名曲!
桑田佳祐の『悲しい気持ち』は、別れた後も相手を愛し続ける男性の気持ちを歌った曲です。失恋ソングでありながら聴いた後に爽やかな気分にさせてくれるのは、明るいメロディによるものでしょう。
作詞作曲を担当した桑田佳祐のセンスが光る曲と言えますね。
過去の失恋を思い出したとき、あるいは失恋から立ち直れないとき、きっとこの曲が心に寄り添ってくれるはずです。
時代を超えて愛される名曲をぜひ聴いてみてくださいね。