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Vaundy「走れSAKAMOTO」の歌詞の意味を考察!アニメ「SAKAMOTO DAYS」のオープニングテーマ

本楽曲は2025年1月11日(土)に放送されたテレビアニメ『SAKAMOTO DAYS』のオープニングテーマとなっています。楽曲の配信リリースはテレビ放送後の1月12日(日)で、アニメを観てVaundyの魅力を知った人はすぐにでも聴ける流れになっていました。そのためか、タイトルにはタイアップとして非常に分かりやすい「SAKAMOTO」という言葉が入っていますね。それでは、歌詞を見てみましょう。

坂本の生き様と今の信念

まずこの楽曲を聴いて、アニメ『SAKAMOTO DAYS』の世界観と主人公・坂本太郎の生き様を音楽で表現した楽曲のように思いました。

▲TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』ノンクレジットオープニング│Vaundy「走れSAKAMOTO」│SAKAMOTO DAYS Opening

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坂道を見ていたせいで
眼の奥が痛む
風を受け止まったせいで
足首が痛む
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞からは、平穏な日常を選びながらも、坂本が感じる不安や過去の影響を暗示しているようでした。

歌詞では”痛み”にフォーカスを当てていますが、「坂道」や「風」という自然の要素は、これまでの険しい過去を象徴していると考えられます。
痛みはその瞬間に絶え間なく感じるものですが、それはいずれ傷となって身体に残ってしまうものもあります。

身体に残ることで、その痛みが反芻され、心身に刻まれた「過去の爪痕」として普通の生活を選んだ現在でも完全には癒えない、過去と繋がりを象徴しているように感じました。
そうした癒えない傷に今もなお苦しめられていることを通して、「人間の弱さ」を表しているようにも思えます。

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時折夜道が怖いなら
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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ここでも先ほど考察したような「人間の弱さ」を明確に端的に表していますね。

最も特徴的なフレーズで、一気に、坂本という人間とこの世界観に惹き込まれたといえる部分です。

きっとどんなに強い人・強いと思われるような人でも、「静まり返った夜道が怖い」と言われれば人間味溢れる感覚に陥ることでしょう。

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指差し
踏み出し
肩を鳴らせ
今だ
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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しかし、ただ怖がるだけではなく、恐れや不安を抱えながらも行動を起こす「強さ」こそが坂本の核心であり、それがこの楽曲のテーマに繋がっていると考えます。
実際に坂本は、家族や自分自身に何かが起こる前に、きちんと対策や対処をして平和に暮らすことを第一に望んでいました。

「指差し」は、明確に目標や進むべき方向を指し示す「決断」の行動です。
坂本にとっての「指差し」の意味とは、目の前の敵や課題を見据え、それに立ち向かうための第一歩を示していると解釈しました。

「踏み出し」は、先ほど決断した目標への具体的な行動ではないかと思いました。
坂本の人生において、かつて殺し屋として活躍していた彼が家族を守るために再び戦いに身を投じる姿を想起させます。決意を固めた後、迷わず行動に移す坂本の実直さや勇気がこの言葉から感じ取れます。

「肩を鳴らせ」は、戦いに備えて心身を整える「準備」の様子を象徴しています。
緊張をほぐし、覚悟を決めて挑む前の瞬間を描いており、坂本の静かな闘志や高揚感が込められていると考えられます。
この動作は、坂本が戦う理由を改めて胸に刻み込み、全力で向き合う準備をするルーティンのようにも捉えられます。

最後に「今だ」とは、行動を起こす最適なタイミングを計り、その時が訪れ「実行」することを示しています。
躊躇せず、全力で突き進む瞬間を表しており、坂本の決断力や瞬発力を象徴しています。
また、「今だ」という短い言葉には、迷いや恐怖を振り払い、覚悟を持って前に進む強さが凝縮されています。

これらの一連の流れは、「決断」「準備」「実行」という、人間が数多の選択をしてきた「人生」のプロセスを端的に表しているように思えました。

平和な日常を勝ち取る坂本の人生


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真っ赤になるまでアクセル踏み込んで
それじゃ足りないまだ
クタクタになれ
きっと航路に立っている
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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そしてサビになりますが、「真っ赤になるまで」という歌詞から作品の血みどろな雰囲気が漂ってきますね。実際にアニメの第一話の冒頭でも、若かりし坂本によって多くの人間が殺されていました。ですが、単純な血の色では無く、この「赤」とは坂本の決意の表れといった情熱の火の色に思えました。

坂本の体がどれほど疲弊しても、その情熱と決意は揺るがないことを示しており、彼の内面的な強さと愛する者への深い思いが滲み出ていますね。

次に「アクセル踏み込んで」という歌詞では、彼がどれだけ厳しい状況にあっても、全力で立ち向かう意思を表しています。

アクセルを踏む行為は、「進む」ことへの強い意志と勢いを象徴しており、「それじゃ足りないまだ」という歌詞からも、坂本の人生の信念である「家族を守るために進み続ける」という主題に当てはまるのかもしれません。

そして「航路に立っている」からは、坂本が進むべき道を見つけ、それを歩み続ける覚悟を表していると解釈できます。
既に生きる道を心に決めた坂本にとって「航路」という言葉は、目的地に向かう道筋を象徴しており、坂本にとってそれは「家族を守るための人生」と言えるでしょう。どれだけ過酷な状況に直面しても、その道を進む彼の決意と信念が、この歌詞から感じ取れます。

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真っ赤になっても涙を飲み込んで
もう気にしないでいよう
睨んでいよう
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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「真っ赤になるまで」は先ほどと同じですが、以降の歌詞は変化していますね。

「涙を飲み込んで」という歌詞は、悲しみや辛さを外に出すことなく、自ら内に秘めて進む姿を描いています。坂本という人間を見ると、かなり無口で自身の辛さや苦悩を表立って話すタイプではないように思います。そうした人間性も含めて、坂本の家族を守るための覚悟、そして犠牲を厭わない強さが強調されています。

「もう気にしないでいよう」は、過去の葛藤や迷いを振り払い、目の前の使命に集中しようとする決意を表していると考えられます。

坂本は自身の敵となる存在(例:第一話でのシンなど)に、現在進行形で命を狙われています。その組織の人間たちは坂本の過去の行動を咎める画策していますが、きっと坂本にとっては過ぎた過去のことで、今後の坂本の人生に価値の無いことなのでしょう。

そうした坂本の人生において、殺し屋としての過去を悔いるのではなく、現在と未来に目を向けて家族を守るために生きています。もしかしたら、自分を縛る過去や弱さから解放されるための宣言なのかもしれませんね。

「睨んでいよう」にて出てくる「睨む」という行為は、恐れや困難に直面しても逃げずに立ち向かう姿勢を象徴しているようです。坂本の冷静で揺るがない強さや、家族を守るためにはどんな敵とも戦う覚悟が、この短い言葉に凝縮されています。

また、「睨む」とはただの挑戦ではなく、自分の信念を守るために周囲の状況や脅威に目を逸らさない態度を示しているようにも感じられます。

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飛び出して
走れ
SAKAMOTO DAYS
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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「飛び出して 走れ」では、坂本がそうした過去を振り向かず、全身全霊で前を向いて、全てを賭けてでも行動するという瞬間を描いているようです。

ためらいや迷いを完全に振り払って、目的のために全力を尽くすことを表現しているのでしょうか。

そして、アニメタイトルでもある「SAKAMOTO DAYS」という歌詞で、象徴しているのは、坂本が選んだ日常である「家族との平和な生活」を守るために繰り広げられる戦いの日々のように考えました。

変わった見た目と変わらぬ強さ


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殺伐を溌溂で刺す店長に勝つ策略を
否デブに説法
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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「殺伐」「溌溂」「刺す」「勝つ」「策略」と、この一文でかなりの韻を踏んでいることが分かりますね。とてもメロディアスで聴いていて心地が良い部分です。

打って変わって、ローテンションでダウナーな歌い方ですが、用いている言葉が特徴的でとても惹かれました。ここで出てくる単語は、血生臭い「殺伐」と明るくエネルギッシュな「溌溂」という対照的な言葉で、坂本の過去と現在の二面性を表しているようです。

彼はかつての殺し屋としての「殺伐」とした冷酷で無慈悲な面を持ちながら、現在の家族を第一に考えて未来に向かって突き進む「溌溂」とした姿を家族や商店の顧客に見せています。

「否デブに説法」は一見面白く軽快な表現ではありますが、坂本のキャラクター性や物語の裏にある深いテーマに繋がる箇所だとも言えます。「デブ」という言葉は、坂本の現在の幸せ太りか中年太りをして、全盛期とは変わってしまった風貌を指していると解釈できます。

初めはシンにも、長年憧れだった坂本の見た目が大きく変わってしまったことに、期待を裏切られた嘆きがありました。ですが実際は、どこも衰えてなんかいなく、むしろ家族という守るべき対象が出来たことで、さらに強くなった気さえもしました。

見た目で人を判断する固定観念への挑戦を表していると捉えることができます。坂本は見た目こそ冴えない中年男性ですが、その実力は誰もが驚くほど卓越しており、単なる「デブ」ではなく、圧倒的な経験と知識を持つ存在です。この歌詞は、「外見に惑わされず本質を見よ」というメッセージを内包していると考えられます。

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限界は超えてきた
と彼の頬が言っていた
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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「限界は超えてきた」とは、坂本がこれまでの人生で何度も自分の限界を乗り越えてきた経験を象徴しているようです。

伝説の殺し屋として数々の修羅場をくぐり抜け、危険や困難を乗り越えてきた彼の姿が浮かび上がります。坂本にとって、「限界」は単なる終点ではなく、成長や進化のための通過点なのではないでしょうか。

「彼の頬が言っていた」でも、坂本の無口な人間性が現れています。彼が「限界を超えた」などの弱音を吐くことは誰にも無さそうですよね。

頬は顔の一部であり、笑った時には笑顔になり引き上がり、悲しい時には零れた涙が伝う道筋でもあります。そうした人の感情が最も現れやすいパーツの一つだと考えています。

彼自身が言葉にしなくても、その「頬」だけで伝わる深みや重みを持っています。これは、坂本というキャラクターが「語らずとも語る」魅力を持つことを強調しているとも言えるでしょう。

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振り切ったものは全て
心の中に宿る
ここでは涙も強さだと
≪走れSAKAMOTO 歌詞より抜粋≫
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「振り切った」というのは、坂本が殺し屋としての過去を「振り切った」ものとして描きつつ、その経験が完全に消えるわけではなく、今も彼の中に宿り続けていることを表していると考えられます。

坂本は過去の所業を全て否定するのではなく、それを糧として受け入れ、現在の家族を守るための強さに変えています
捨て去ったはずのものが、彼の心の中で形を変え、彼の決断や行動を支えている。これは、人間が過去の経験や痛みをどう活かして生きていくのかという普遍的なテーマを反映しているとも言えます。

「ここでは涙も強さだと」では、一見涙と聞けば「弱さ」の象徴とも思えるものが、坂本の文脈では「強さ」に転じるという逆転の視点が描かれています。
坂本は、家族を守るために戦い続ける中で、涙を流すことさえも強さの一部として捉えています。
ここでの涙は、感情の表れであると同時に、彼が戦いに込める覚悟や人間らしさの象徴です。涙を否定せず、それを糧として昇華させた上で前に進む姿は、坂本が持つ内面的な強さを象徴しているように思われます。

無口な人間の葛藤と表現

本楽曲を聴いて、主人公・『坂本太郎』の内面的な葛藤や成長を象徴的に表現しているように思いました。

特に、無口な人間であるからこそ「強さ」や「弱さ」が頬から伝わるものという表現方法には、深く感銘を受けました。また、所々でユニークな言葉が使われているなど、聴いていて飽きない、非常に楽しい楽曲となっています。

この曲は、坂本の強さだけでなく、彼の人間らしさや弱さも含んだ深みのある物語を描き出しています。過去の痛みを抱えながらも、家族と共に生きるために戦い続ける坂本の姿が、聴く者に強い印象を与え、共感を呼び起こす作品となっています。

Vaundy(バウンディ)。アーティスト 24歳。 作詞、作曲、アレンジを全て自分でこなし、デザインや映像のディレクション、セルフプロデュースも手掛けるマルチアーティスト。 2019年春頃からYouTubeに楽曲を投稿開始。 「東京フラッシュ」「不可幸力」など、耳に残るメロディーを持つ、···

この特集へのレビュー

女性

ノノサクラ

2025/03/29 19:11

流れてきた曲に思わずテレビに向かい、なんだアニメか!と思いながらもそのままアニメを見続けることに。少ないアニメ視聴数ながら、ドラマを含め放送を待ち遠しく思えたのも初めてでした。日常の中で主題歌がぐるぐる。歌詞の意味するもの具体的に知りたい~~と、叶うとも思わず検索してしまいました。
御コラムのおかげで歌詞の背景などが想像でき、レビューとやらをしたことない自分が思わす感謝の投稿をしています。
助かりました。ありがとうございます。

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