「鏡に恋して」で歌われる鏡が意味するものとは
礼賛は、CLR(ラランド・サーヤ)、晩餐(川谷絵音)、簸(木下哲)、春日山(休日課長)、GOTO(foot vinegar)の5人組からなるバンドです。それぞれが別の名義ですでに活躍しているメンバーを集めた、存在感抜群のバンドが、新曲『鏡に恋して』をリリースしました。
この楽曲は、2枚目のアルバム『SOME BUDDY』に収録されたリード曲。
カラフルな衣装と、鏡のようなステージ。
双子のようにそっくりなダンサーが踊る、まさに鏡の世界を表現したような世界観が魅力的です。
身だしなみを整えるために使われる身近な鏡。
鏡に映る姿は自信やプライド、コンプレックスなど、人によっても心の有り様によっても様々変化します。
恋してしまうほど鏡を見つめたくなる先に映っているものとは一体なんでしょうか?
とても身近でシンプルなタイトルだからこそ奥深い、この楽曲の魅力を掘り下げていきます。
自己肯定感MAXのパワフルな歌詞

----------------
尋常ないくらい
一生ないくらい
鏡に恋していたいのです
無礼なクレームも効かない
クヨクヨ似合わない
私が好きでたまらない
≪鏡に恋して 歌詞より抜粋≫
----------------
鏡に映った姿に自信を持てる人は、どれくらいいるでしょうか。
コンプレックスを見つけてしまう道具にもなりうる鏡で、誰よりもハッピーな気持ちに包まれる「私」。
恋してしまうくらい、これ以上ないくらいに自分のことが大好きだなんて、こんなに幸せなことはありません。
否応なしに自己肯定感を上げられる、ポジティブな楽曲です。
----------------
ぞんざいな扱いでツライなんて弱音吐かない
高い高いプライドだがしかし同時にナイーブ
そんな自分も超可愛い
なんておどけちゃったら良い
日々皮肉にさらされ育った筋肉がピクピク
≪鏡に恋して 歌詞より抜粋≫
----------------
人からどんな扱いをされても、時に皮肉を言われても気にしない。
「私は私」を貫こう、という非常にポジティブな歌詞ですが、「だがしかし同時にナイーブ」と告白してもいます。
強いフリしてるけど強くない、けれどそんな自分も愛してしまおう。
自分の弱さを認めた上でのポジティブ思考は、聴いている人の心も強く元気づけているようです。
----------------
舐めた態度 愛想悪くても
かわしちゃうぬらりひょん♪
痛くも痒くもないよって塩対応
柔軟に でも空間に 強く残り香漂わすように
存在感だけでもかます
魅了したいな星の数
≪鏡に恋して 歌詞より抜粋≫
----------------
態度の悪さも愛想の悪さも気にしない。
「ぬらりひょん」は家人になりすまして人の家で好き勝手に過ごす妖怪ですが、人の目など気にせず自由気ままに振舞ってしまおう、という気持ちを妖怪で表しているところに遊び心を感じます。
自分という存在感を強く放ち、多様性の時代と言われながらも個性を出す難しさもある矛盾した時代を、強く生きていこうとする意思が伺えますね。
----------------
懲りずにBPM 打つ打つ打つ
また燃えてきちゃってるこの頭ん中が沸沸沸
目尻落ちて幸せのサイン
私の才・彩・宰
感じてくださいこの際
文句があるなら出てってください
≪鏡に恋して 歌詞より抜粋≫
----------------
文句を言われるような人生でも、自分が大好きで仕方ないなら、ワクワクもトキメキも溢れているでしょう。
人目を気にしてばかりでは疲れてしまうから、自由になって自分を愛して人生を謳歌しよう。
「文句があるなら出てってください」
批判やクレームなど、何かと息苦しい世の中。
文句を言う輩を一蹴する強気な心構えが心地よい歌詞です。
前を向きたい人に寄り添うポジティブソング

----------------
すぐに出る杭になる
から打たれ強くもなる
綺麗事は目立つけど
口にしない粋がある
明日には晴れるでしょう
ふりほどいて
≪鏡に恋して 歌詞より抜粋≫
----------------
存在感のある人や個性溢れる人が持て囃される一方、出る杭は打たれるというのも日本の社会ではよくあることです。
散々もてはやして起きながら、ある日突然、見向きもされなくなることもよくあること。
そんな社会を力強く生き抜くためのヒントが、この曲にはちりばめられています。
綺麗事も愚痴も、あえて言わずにやり過ごす粋な生き方。
「自分最高!」と言い聞かせながら、自分で自分の機嫌を取って生きていくのが、この複雑な現代社会を楽しく生き抜くコツなのかもしれません。
「鏡に恋して」というタイトルの意味
この楽曲は、『鏡に恋して』と言いながら、「鏡に恋していたい」という願望を歌っています。自己肯定感高めのパリピが主役の物語かと思いきや、人の目が気になったり批判されて傷ついたりした先に、今の強い自分がいる。
ここで歌われているのは、自分大好き人間ではなく、どうにか自分を好きでいようとする、等身大の人間です。
強気で我が道を突き進んでいるようでいて、実はプレッシャーやコンプレックスを抱え、苦しみ、傷ついてきた人。
だからこそ、「自分も変われるかも」と思わせるパワーがあるのでしょう。
現実を見ることも、人に合わせることも大切ですが、時には自分を全力で肯定し、誰よりも受け入れて、褒めてあげてみてはいかがでしょうか?
強くなくてもいい。
強いフリをして、少しだけ前向きに生きていくことが出来たら、人生はもっと明るい方向へ変わっていくのかもしれません。