「ひとりごと」はアニメ「薬屋のひとりごと」に書き下ろされた楽曲
Omoinotakeの『ひとりごと』は、大人気アニメ『薬屋のひとりごと』のために書き下ろされた楽曲です。『薬屋のひとりごと』は、架空の国の後宮(こうきゅう:后妃などが住む宮殿)を舞台に、薬師の少女・猫猫(マオマオ)が毒見役として、さまざまな難事件を解決するエンターテインメント作品。
『ひとりごと』の歌詞では、たいせつな人を失った悲しみ、日常にあった会話が「ひとりごと」となってしまった喪失感が描かれています。
物語とリンクするかのような歌詞をOmoinotakeが創作し、エンディングとピッタリの世界観が表現されています。
聴く人によってさまざまな「別れ」を想像させる

『ひとりごと』は、たいせつな人との「別れ」が描かれた楽曲です。
たいせつな人を失った悲しみや後悔がつづられています。
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いつもの 場所に 今年も
あなたの好きな 花が咲いたよ
並んで 耳を 澄ませた
あの虫の音も 鳴りはじめたよ
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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「今年も」という歌詞に、たいせつな人との別れから、時間が経っていることが想像できます。
季節がめぐりその時々の花が咲き、虫が鳴く度にたいせつな人を想う悲しみは深くなるでしょう。
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わたしの 小さな声も
耳寄せて 拾ってくれたね
宛先は 変わらないままで
宙に消えてく 声は どこへ届く
相槌だけで いいから 聴かせて
優しく頷く 笑顔に逢いたい
どんな言葉も あなたがいないと
ただのね ひとりごと
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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「ひとりごと」という言葉に深い喪失感があります。
いつも自分の言葉にやさしく顔を寄せて聴いてくれていた人が、今はもういない。
あなたに向かって話しているのに、ただ、宙に消えて行ってしまう。
あなたがいないと、私の言葉はただの「ひとりごと」でしかない。
耐え難い悲しみが描かれていて、苦しくなります。
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あの日あなたの 隠れた気持ちに
気づけていたら いまもね
ふたりごとの 世界に いれたのかな
万能薬の 笑顔が
消えても呼吸は 続いていく
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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あなたの隠れた気持ちに気づけなかった自分・・・後悔が感じられます。
もし、あの時こうだったら、こうしていたら、一緒にいられたのかもしれない。
そんな世界を「ふたりごと」という言葉に置き換えているところがとてもせつない。
万能薬という言葉で、歌詞の世界と『薬屋のひとりごと』の世界とをリンクさせています。
『薬屋のひとりごと』の主人公・猫猫(マオマオ)の仕事は薬師。
『ひとりごと』の歌詞では、たいせつな人の笑顔が自分の万能薬、と書かれています。
この部分の歌詞にとてもセンスを感じ、上手くリンクさせていると思います。
『ひとりごと』で描かれる「別れ」は、聴く人によってさまざまな別れを想像させます。
失恋の別れ、離別、あるいは死別、さらに、愛する人は異性だけとは限りません。
家族や友人、パートナーなど聴く人によってさまざまな相手を想像することができます。
誰もがたいせつな人を失った悲しみを、自分の事として置き換えることができるのではないかと思います。
悲しみを乗り越えて「明日」を信じる

『ひとりごと』は、たいせつな人を失った悲しみが描かれたせつない歌です。
しかし、悲しみだけでなく、それを乗り越えようとする主人公の姿が描かれています。
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癒えきることは ないけど
思い出たちを かさぶたにして
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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あなたの笑顔を失っても、私の呼吸は続いていく。
悲しみが癒えることはないけれど、前を向いて立ち上がろうとする主人公の姿が描かれています。
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足りない足音ばかり
探してた 月日を越えても
夜行性の 泣き虫だけは
今も上手に 飼い慣らせずいるの
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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「夜行性の泣き虫」がキーワード。
この歌詞では月日が経っている事が伺え、夜になるとあなたを想い、涙をこぼす様子が描かれています。
おそらく、生活の中で日中の間は、涙をこらえることができているのかもしれません。
しかし、夜には泣き虫が現れる。
でも、少しずつでも悲しみを乗り越えて行く様子が感じられます。
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おんなじ明日が 平等に また
降り注ぐだなんて 思い込んでた
嘘のつけない あなたが 「またね」と
手を振った姿 信じ続けてる
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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平等に訪れなかった「明日」。
でも、主人公は「またね」と手を振ったあなたにまた逢えることを信じています。
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「さよなら」だけは 言わずに待ってる
苦しくっても いつかね
ふたりごとの 世界で あなたへ ただ
「おかえり」って 目を見つめ 贈りたいから
≪ひとりごと 歌詞より抜粋≫
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そして「さよなら」だけは言わずに待っています、また逢えると信じて。
『ひとりごと』は、聴く人によってさまざまな別れが想像できる曲だと推測しました。
また逢えるのは現世でしょうか、それとも違う世界でしょうか。
いずれにしても、今は辛いけれど、「さよなら」は言わない。
あなたのいる「ふたりごとの世界」で、あなたへの「おかえり」を贈るために主人公は生きています。
またいつの日か逢えると信じて。
そんな少しの希望が悲しみの中にも感じられるのではないでしょうか。
Omoinotake「ひとりごと」は悲しみと希望が描かれた曲
Omoinotakeの『ひとりごと』は、たいせつな人を失った悲しみが描かれたバラードです。実際に、悲しみを体験した人にとっては、聴くことが辛い部分もあるかもしれません。
しかし、悲しみだけでなく、希望も描かれています。
悲しみを乗り越え「ひとりごと」の世界で生き、いつの日か「ふたりごと」の世界でたいせつな人に逢えることを。
『ひとりごと』は悲しさの中にも、希望が感じられる楽曲です。
誰かの悲しみにそっと寄り添ってくれる、そんな1曲かも知れません。
Omoinotake 島根県出身。中学からの同級生同士が2012年に東京で結成した藤井怜央 / レオ(Vo,&Key.)、福島智朗 / エモアキ(Ba.)、冨田洋之進 / ドラゲ(Dr.)の3人からなるピアノ・トリオバンド。 繊細ながらも情感を揺さぶるヴォーカルと歌詞が、「踊れて泣ける」グルーヴを生み出し、幅広い世···
