「謎解きはディナーのあとで」とリンクする「MONTAGE」の世界
『MONTAGE』は、中島健人が所属グループSexy Zone脱退後、初のシングルとして2025年5月21日にリリースされる楽曲です。中島は、2024年3月31日にSexy Zoneを脱退し、翌4月1日にグループはtimeleszと改名、メンバーと別々の道を歩き始めました。
『MONTAGE』は、人気アニメ『謎解きはディナーのあとで』の主題歌。
王子様キャラで知られる中島が表現する、怪しく謎めいた歌詞の世界と、ダンサブルでありながら、どこか浮遊感漂うメロディーが魅力的な楽曲です。
歌詞は、『謎解きはディナーのあとで』とリンクするかのような世界を醸し出しています。
登場人物の執事兼専属運転手・影山のミステリアスな雰囲気とピッタリです。
歌詞は、中島とcAnON.の共作。
中島は、ドラマ『謎解きはディナーのあとで』のファンで、アニメも全話視聴。
影山の丁寧に暴言を吐くキャラクターを意識して歌詞を書き、切り取った写真や証拠を組み立て謎解きをすることから『MONTAGE』とタイトルをつけたとの事。
影山と『謎解きはディナーのあとで』を意識して創られた歌詞は、まさにアニメとリンクする世界観です。
「MONTAGE」に散りばめられた謎解きワード

『MONTAGE』は、一聴すると「いったい何を歌っているのか?この歌詞の意味はなんなんだろう?」と、不思議な感覚をもたらすかもしれません。
実は、歌詞には『謎解きはディナーのあとで』を彷彿とさせる歌詞がたくさん出てきます。
原作やアニメを見て聴くことで、より『MONTAGE』を楽しめるかもしれません。
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口が減らない態度もデフォルト
It's just a detective game 劈く即答
幸か不幸か その目は節穴
持て余した過度な迷宮
相変わらず不機嫌なTV show
Not that big a deal 悩ましい表情
めくるめく欲望
掻き立てる その高潔なオーダー
≪MONTAGE 歌詞より抜粋≫
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Aメロは怪しげで浮遊感が漂い、歌詞も少し意味不明に感じられます。
しかし、アニメや原作を知っていると、歌詞の世界は影山をイメージして創られている事がわかります。
超お嬢様で刑事の主人公・麗子のわがままで高飛車な態度に、決して取り乱さず丁寧な言葉で暴言を吐く慇懃無礼の影山。
「口が減らない態度もデフォルト」「It's just a detective game(ただの推理ゲームだよ)」「過度な迷宮」「高潔なオーダー」などのワードが謎解きを加速させます。
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Turn the tables, but it's up to you
炙り出すモンタージュ たったひと匙で
Turn the tables 夜明け待たず
その Question mark 晴れるまで
≪MONTAGE 歌詞より抜粋≫
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浮遊感漂うAメロからサビは一気に加速し、ダンサブルで疾走感あるナンバーへと変化。
「Turn the tables(形勢逆転)」「Question mark」「モンタージュ」など、謎解きワードが盛りだくさん。
影山が真実をあぶりだしていく展開のような歌詞は、まさにアニメ『謎解きはディナーのあとで』とリンクしていると感じずにはいられません。
恋愛のかけひき、謎解きを描いた歌詞

しかし『MONTAGE』は『謎解きはディナーのあとで』の主題歌を意識して創られただけでなく、人間の内面を描き出しているのではないかとも思うのです。
アニメや原作を知らない人にとっては、影山や麗子の存在は関係ありません。
そういった事を踏まえると、人間関係や恋愛関係における内面的な「謎解き」を描いた歌詞、と言えるのかも知れません。
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或いは三文小説なみのスクリプト
It's not so attractive fame ナンセンスな葛藤
嗅ぎつけた結論は語らずに
溜め息まじり焦らす冷遇
浮かび上がる 不都合な真実も
Not that big a deal いじらしい程
止み難く不意に口をつく
そっと丁寧に暴言
≪MONTAGE 歌詞より抜粋≫
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「三文小説なみのスクリプト」「ナンセンスな葛藤」「不都合な真実」などの言葉が登場することで、主人公の心の揺れや葛藤などが感じられます。
そして不意に出てしまう丁寧な暴言。
心の中で思っている事、あるいはまったく思っていない事が口をついて出てしまう・・・主人公の心の複雑さが描かれているのかもしれません。
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Turn the tables, but it's up to you
炙り出すモンタージュ たったひと匙で
Turn the tables 夜明け待たず
その Question mark 晴れるまで
≪MONTAGE 歌詞より抜粋≫
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前述では、1コーラス目のサビの歌詞に、影山が真実をあぶりだしていく様が描かれていると考察しました。
しかし、2コーラス目に以下の歌詞が追加。
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Yes, my lady
お望み通り
ディナーのあとで Cracking a mystery
Listen, lady
呼吸する様に
解き明かす 忌憚なき Lies
≪MONTAGE 歌詞より抜粋≫
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「lady」が出てくる事で、恋愛のかけひきが描かれているのではないかと考察します。
「Turn the tables, but it's up to you(形勢逆転 それはあなた次第)」という言葉に、どちらかが主導権を握り、それが行ったり来たりしている様が見てとれないでしょうか。
ここで登場するディナーはデートでのディナーでしょう。
「ディナーの後、2人の恋の謎解きをしようじゃないか、その嘘を遠慮なく解き明かすよ」と言う、ミステリアスな恋の行方を感じるのです。
原作やアニメでは「謎解きはディナーのあとにいたしましょう」という影山の言葉で、事件の推理が始まります。
そのディナーと2人の恋愛におけるディナーとを掛け合わせた、素晴らしい展開ではないでしょうか。
「炙り出すモンタージュ」には「あなたの断片を1つ1つ組み合わせて、あなたを理解するよ」と言う意味があると考察します。
お互いのQuestion markを1つ1つ晴らし、「より深くわかりあいたい」という意味があるのではないでしょうか。
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今夜もまた走る 適当なルート
答え求め彷徨うあなたが 辿り着くまで
I'd like the order
Turn the tables, but it's up to you
炙り出すモンタージュ たったひと匙で
Turn the tables 夜明け待たず
その Question mark 晴れるまで
≪MONTAGE 歌詞より抜粋≫
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そして繰り返されるサビ。
サビ前の「I'd like the order」。
この言葉には「私は~をしたい、~を希望する」と言う意味があります。
レストランでのオーダーにも使う言葉です。
主人公は、女性ともっと深い関係を希望しているのだと思います。
「あなたの事を1つ1つ知って、あなたの神秘な部分に触れたい、真実に触れたい」。
事件解決につながるモンタージュと、恋愛のかけひきや謎解きを重ね合わせて描いたであろう歌詞がお見事だと感じます。
中島健人が創る「MONTAGE」の素晴らしき世界
中島健人の『MONTAGE』は、アニメ『謎解きはディナーのあとで』を意識して創られたため、歌詞の世界とアニメの世界とがリンクしていて素晴らしいと感じます。しかし、それだけではなく、歌が進むにつれ「恋愛のかけひきや謎解きを描いているのでは?」と思わせるところが秀逸です。
日本語と英語が絡み合うように散りばめられた歌詞、ダンサブルな楽曲を中島健人が見事に表現しています。