鳳えむが見つめる現実の険しさ
人気リズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」のオリジナルユニット・ワンダーランズ×ショウタイムの楽曲『オールセーブチャレンジ』。ゲーム内イベント「Choices for the future」のために、香椎モイミが書き下ろした楽曲です。
いつも底抜けに明るく天真爛漫な鳳えむが現実と向き合い、理想を叶えるために足掻き奮闘する様子を捉えています。
タイトルの「オールセーブチャレンジ(All Save Challenge)」は、直訳すると「全てを救う挑戦」となります。
どのような想いが描かれているのか、さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。
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子供のまま喚いても
感情は道具にならない
霞む日々から抜け出して
貴方のこと救ってあげる
総じて動じない
恋の完成
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「子供のまま喚いても 感情は道具にならない」という冷静で現実的なフレーズから引き込まれますね。
まだ高校生で子供ともいえる彼らですが、感情のままに喚いても目的の達成には繋がらないと分かっています。
本当に必要なのは行動だから、「霞む日々から抜け出して貴方のこと救ってあげる」と語りかけるのでしょう。
そうすればどのような困難の前でも動じない関係が結ばれます。
ここではそれが「恋」と表現されていますが、夢や目標に向かう一途な想いを愛情と重ねて示していると思われます。
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恋は夢模様
泡のように消えゆくもの
愛は重く圧し掛かる現実に
どこまでも付きまとう
欲しがれば欲しがるほど
遠ざかってしまうもの
諦めたら良い子でしょうか
小奇麗な結果主義ですか
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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恋も夢も、強く心を揺さぶるのに「泡のように消えゆく」儚いものです。
反対に、愛は「重く圧し掛かる現実に どこまでも付きまとう」もので逃れられません。
恋に揺れ愛に縛られていると、本当に自分が求めているものが何なのか分からなくなってしまうでしょう。
しかも「欲しがれば欲しがるほど遠ざかってしまう」から、本音を出すのも怖くなります。
それで「諦めたら良い子でしょうか」と問い、理想を諦めたら認められるのだろうかという疑問を投げかけています。
「小奇麗な結果主義」の人々に「良い子」と見なされるため、何もせずにいるのが正しいことなのでしょうか。
誰も知り得ない自分だけの解を探せ

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どうしてなんで
目前の美談に 意志を奪われて
「もっとが度を越えて」
傷つけ合うのか?
熱量が理解を 食いつぶして行く
それならば!
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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ある人たちは、過去の成功体験に従えば幸せになれると考えます。
しかしその考えを押しつけられる側は、「目前の美談に 意志を奪われて」やりたいこともできなくなるでしょう。
要求ばかりが増えることで苦しみ傷つき、反発して相手のことも傷つけます。
本当はもっと自分の心に従って、自由に生きてみたいと誰もが思っています。
「熱量が理解を 食いつぶして行く」とあるように、時には考えるよりも先に心が沸き立ってした行動が周囲を魅了することもあるでしょう。
それならばまだできることはあるはずです。
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止められない 鼓動響かせて
未体験希望 愛させて
不安感今 拭わせて
描いた指についてきて
知り得ない 誰も知り得ない
そんな解を 提示 切に
祈ってるから
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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彼らは生きている限り、「未体験」に出会うことや自分ならできると信じる「希望」を大切にしていたいと思っています。
心を覆う「不安感」を拭いながらも、自分の指で理想を描きたいと真っ直ぐに願います。
求めるのは正解ではなく「誰も知り得ない」解です。
自分だけの解を堂々と提示するために、祈りで熱量を高めて行動しようとしていることが感じられます。
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「許されたいと願うなら
誰かを許したことはある?」
熱烈なほど見失う
論点 曇天の夜中
悲劇のヒロインは ただ嘆いて、
それで終わりなんでしょう?
愛するもののため それなら
火傷も厭わない
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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「許されたいと願うなら誰かを許したことはある?」というフレーズは、とても深い問いです。
人に何かを求めるときには、自分も同じようにしているべきでしょう。
誰かを許していないのに、自分だけ許されようとするのは傲慢な考えです。
そして、自ら行動しようともしないのに状況が好転することを願うのも同じことです。
ただ嘆くだけの「悲劇のヒロイン」のような人生に、きっと価値はありません。
「愛するもののため それなら 火傷も厭わない」くらいの覚悟と決意を持って突き進むことが大切です。
星も月も見えない「曇天の夜中」のような現実でも、自分の中に信じられるものがあれば進んでいけます。
非力な自分を変えるために進み続ける

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命じて例に 抗って
「無駄」って神が宣えど
変えたいと思った 非力な自分を
一瞬で実った 果実などないと
気づいてから
冷静の「可能」を
磨き抜いた手遣いで
甘えたいこの弱さも
君の前では見せない
「愛してる」という言葉が
陳腐に響かないように
嗚呼!
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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人生が運命によって初めから決まっているものだとしたら、どれほど頑張っても報われない現実を、神が見ながら「無駄」といっているのではないかと感じるしょう。
しかし、彼らは「変えたいと思った 非力な自分を」と歌っています。
「一瞬で実った 果実などない」ように、一瞬で物事が劇的に変わることもありません。
成功するためには、冷静に見つめた自分の「可能」を磨き抜くことが重要です。
そうしている間は、甘えたいと思いながらも「君の前では見せない」と心に決めています。
きっと自分の成長を一番見てほしい相手だからでしょう。
「「愛してる」という言葉が 陳腐に響かないように」全力で行動しようとする心の強さが伝わってきます。
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綻んだ理想 縫い合わせて
失敗も誇り 軽々と
被弾>停滞 期待を胸に
絶対譲れない たった一つ
叶わない なんて 有り得ない
何もかもを、全部、全て⋯
信じてるよ 一生
≪オールセーブチャレンジ 歌詞より抜粋≫
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難しい問題に直面する度、理想は綻んでいくかのようです。
それでも諦めず、「失敗も誇り」にしながらまた縫い合わせて理想を追い求めます。
「停滞」して時間を無駄に過ごすくらいなら、「被弾」した痛みを抱えながらも経験を積む方がいいでしょう。
自分の理想や重ねてきた努力、支えてくれる仲間の全てを信じているから「叶わない なんて 有り得ない」と思えます。
これからも信じ続けて理想を必ず叶えるんだという熱い意志が見えてきます。
全てを救うという大きな成功を成し遂げるには、これだけの覚悟と熱意を持って挑戦しなければならないことが感じられるでしょう。
歌詞のイメージが変わる2つのMVにも注目!
ワンダーランズ×ショウタイムの『オールセーブチャレンジ』は、自分の弱さや未熟さを受け止めて強く前進しようとする想いが垣間見える楽曲です。ワンダショVer.とボカロVer.でそれぞれ異なるMVがあり、同じ歌詞でありながら違うニュアンスを感じられるのも興味深い点です。
ぜひそれぞれの曲とMVの違いを楽しみながら、奥深い楽曲の世界に浸ってくださいね。