降りる駅を変えて、咲いた小さな誇り
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今晩は降りる駅を変え
僕の心に咲いていた
小さなプライドの行方を探した
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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この冒頭の歌詞には、静かで切ない心の旅の始まりが描かれています。
「今晩は降りる駅を変え」という一行は、普段と違う選択をすることで、自分自身と向き合おうとしているように感じられます。
日常の中であえて「いつもと違う道」を選ぶとき、人は心の中にある何かの答えを探しているのかもしれませんね。
そして「僕の心に咲いていた 小さなプライドの行方を探した」というフレーズが印象的です。
ここでの「小さなプライド」とは、自分自身を支えていた小さな「自信」や「誇り」のようなものだったのかもしれません。
「探している」という点から、日々の中で見失ってしまったそのプライドをどこかに置き去りにしてきたのではないかと、自分自身に問いかけているようにも思えます。
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ずっと気づけなかったんだ
僕の心がどうにも
あの聴きなれたリリックで
涙を流し出すまで
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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この歌詞からは、自分の心の奥にあった本当の気持ちに、なかなか気付けずにいた「僕」の姿が見えてくるようです。
日々を懸命に生きる中で、自分の弱さや寂しさ、疲れた心にふたをしてしまうことは、誰にでもあるのではないでしょうか。
けれど、いつもすぐそばに寄り添ってくれている「聴きなれたリリック」が、閉じ込めていた感情の扉をそっと開いてしまった。
音楽が持つ不思議な力が、まるで心の奥深くに響いたような場面がこの一節から感じられます。
涙を流すという行為は、弱さではなく、本当の自分に気づいたときの強さや素直さの表れなのかもしれませんね。
この瞬間、「僕」は自分の心とようやく向き合うことができたのではないでしょうか。
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今どうにか言い訳探して
目をそらしてみようが
きっと
僕以上に、僕以前に、僕よりも
僕のことつくってる
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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けれども、この歌詞からは自分自身と向き合うことを恐れ、何とか理由をつけてその痛みから目をそらそうとする「僕」の弱さが伝わってきました。
しかし、どれだけ目を背けようとしても、逃げ切れないものがあります。
それが、これまで出会ってきた音楽や言葉、経験の数々です。
「僕以上に、僕以前に、僕よりも 僕のことつくってる」というフレーズには、そうした音楽や過去の出来事、思い出が、今の自分をカタチ作っているという気付きが込められているのかもしれません。
どんな迷いや弱さがあったとしても、過去のすべてが現在の自分を支えてくれている、そんなことが語られているようです。
きっと多くの方が経験されたことがあるのではないでしょうか。
辛いことや苦しいことに直面したとき、好きな音楽や大切な人の言葉がそっと心を支えてくれた、そんな瞬間です。
音楽や言葉は、たとえ忘れようとしても、私たちの心の奥底に寄り添い、決して消えることなく生き続けているのだと思います。
モノクロが照らす心の風景

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僕にはどうしてわかるんだろう
迷える日々が
これとない味のエッセイ
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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このフレーズは、迷いや不安を抱えながら歩んできた日々を、ただの苦難としてではなく、唯一無二の「味わい深い物語」として受け止めているように感じられます。
「人生の中で迷う」ことは決して無意味ではなく、むしろその経験こそが、自分だけの色や味を持つ「エッセイ」となって、かけがえのないモノへと変わっていくのかもしれません。
迷いながらも進む日々が、やがて自分を形づくる大切な一章となっている、そんな優しい気付きを教えてくれる一節です。
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僕にはどうしてわかるんだろう
挫折の日々は色づくため
全部モノクロ
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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ここでは辛く苦しい挫折の日々も、ただの暗くて単調な時間ではなく、未来に向けて色づいていくための大切な過程だと受け止めているように感じられます。
「全部モノクロ」という言葉が示すのは、まだ色づいていない未完成の状態のようです。
だからこそ、その時期の経験や感情は鮮やかな彩りを放つために必要な、貴重な土台なのかもしれません。
挫折を恐れず、その中にこそ自分を変えていく力があると気づかせてくれる、力強くも優しいメッセージが込められているように思います。
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今晩は歩く道を変え
僕の心に撒いていた
小さなプライドの香りを辿ったが
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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「今晩は歩く道を変え」という一節は、冒頭の「今晩は降りる駅を変え」というところから少し先の未来の話かもしれません。
降りた先でも、あえていつもと違う道を歩くことで、また改めて自分の心の奥にそっと蒔いていた「小さなプライド」の存在を探そうとしている様子が伝わってきます。
これは、過去の自分と向き合いながらも、未来へ進む決意や希望が感じられる瞬間とも言えるでしょう。
続く「香りを辿る」という表現からは、その「プライド」というものが目に見えるものではなく、感覚的に感じ取るものであることを表現している可能性があります。
これは、自分の中のささやかな誇りや自信を見失わないよう、丁寧に確かめながら進もうとする繊細な心の動きとも言えるでしょう。
色なき景色に宿る揺るぎない軌跡

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時は真夏
荒天と海神
蒼炎際立つ
骨相青に溶け
モノクロは焦シアン蒼白へ
言葉足らずでいつも見失うの
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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このフレーズは、強烈な自然の力や激しい感情の波が押し寄せる、激動の時期を描いているように感じられます。
「荒天と海神」や「蒼炎際立つ」といった言葉が、自然の力強さをイメージさせると同時に、心の中に渦巻く混乱や葛藤、そして時には恐れを象徴しているのかもしれません。
「骨相青に溶け」とは、まるで身体の芯まで染み渡るような深い痛みや冷たさを表現しているようです。
「モノクロは焦シアン蒼白へ」という表現は、単調だった世界が青みを帯びた冷たさや緊張感を伴って色づき始める様子を描いているように思えます。
また、「言葉足らずでいつも見失うの」というフレーズからは、自分の感情や状況をうまく伝えられず、もどかしさや孤独感を感じている心情が伝わってきます。
この部分は、言葉にできない複雑な感情を抱えながらも、必死にその意味を探ろうとする「僕」の姿が浮かび上がる、深く詩的な描写ですね。
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悲しみは言い訳の数で
目を閉ざしてみようが
ずっと
僕以上に、僕以前に、僕よりも
僕のことつくってる
まぶたに映った映画
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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この一節は、悲しみを抱えながら、どこかでその理由を探し、言い訳を重ねてしまう自分の弱さに気づいている姿が浮かびます。
目を閉ざしても、過去も今も、そのすべてが心の奥でずっと自分をカタチ作り続けている。
そんな揺るぎない事実を、まるでまぶたの裏に映った「あの頃の映像」のように、何度も思い出しているのかもしれませんね。
どんなにつらい過去であっても、それは決して消せるものではなく、自分の一部として生き続けている。
そんな切なくも優しいメッセージこそが、この楽曲の主題なのではないかと感じさせられます。
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僕にはどうしてわかるんだろう
全てのことが
走馬灯、胸に残っている
僕にはどうしてわかるんだろう
全てのことが
色で満ちていたモノクロ
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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続くこの歌詞からは、人生のさまざまな出来事の、嬉しかったことや苦しかったことが、まるで走馬灯のように胸に鮮やかに刻まれている様子が伝わってきます。
当時はどん底で、苦しくて、モノクロのように色のない景色に見えていた日々も、今振り返れば、あの頃だって確かに色彩を持ち、自分の心をそっと彩っていたことに気付きます。
だからこそ、「色で満ちていたモノクロ」という、一見矛盾したようでいて美しい表現が生まれたのかもしれません。
誰だって、その渦中にいるときには色さえ見えなくなるものです。
けれど、後になって振り返れば、その思い出もまた、自分をカタチ作る大切な色味となり、人生を豊かに彩ってくれているようです。
そんな優しいメッセージが、このフレーズには込められているように感じます。
夜明け前の静寂に響く、翡翠の鼓動

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あの港から光を手繰って
ここまで来たんだ
じっと
鼓動を聞いていた
「僕たちは、翡翠の軌跡を生きている」
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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ここでは”翡翠の奇跡”というワードが特に印象的です。
全体を通して感じられるのは、暗闇の中でもわずかな光を信じ、手繰り寄せるようにして歩んできた、そんな静かで力強い決意です。
「翡翠の軌跡」という言葉は、決して真っ直ぐでも完璧でもないけれど、どこか神秘的で美しい、私たち一人ひとりの歩んできた道のりそのものを示しているようです。
困難の中で耳を澄まし、自分自身の鼓動を感じながら、ただ誠実に生きてきた。
そんな想いがそっと胸に響いてくるようです。
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僕にはどうしてわかるんだろう
全てのことが
走馬灯、胸に残っている
僕にはどうしてわかるんだろう
全てのことが
まるで明くる前のよう
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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この一節からは、過去の記憶や出来事がまるで走馬灯のように鮮やかに胸に残り、忘れられないものであることを静かに語っているように感じられます。
「まるで明くる前のよう」という表現は、夜明け前の静けさと、一切の光も見えない暗さ、そして不安が入り混じる、あの少し肌寒い特別な時間の空気を思わせます。
そして「夜明け前が一番暗い」というイギリスのことわざが示すように、苦難の終わりがけが最も苦しく、その後には必ず良いことが訪れるのだと、信じたいものですね。
「必ず夜明けはやってくる」という言葉を胸に、どんなに過去が遠くなっても、そのひとつひとつの出来事や思いが今の自分の中に静かに生き続け、胸の奥でそっと光を放ち続けているようです。
Vaundyのこのフレーズには、そんな温かさと切なさ、そして前を向いて歩き出すための優しい力が込められているのではないでしょうか。
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僕にはどうしてわかるんだろう
全ての日々が
これとない味のエッセイ
僕にはどうしてわかるんだろう
全ての景色が
思い出すためのモノクロ
≪僕にはどうしてわかるんだろう 歌詞より抜粋≫
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ラストフレーズは、これまでの日々の経験がまるで世界に一つだけの味わい深いエッセイのようだと表現しています。
そして、過去の景色や記憶は「思い出すためのモノクロ」として色褪せて見えるかもしれませんが、それは色のない過去ではなく、懐かしさや切なさを伴う特別なフィルターがかけられているからこそのモノクロなのかもしれませんね。
私たちの人生の中で起こる様々な出来事は、一見モノクロームのように淡く感じられることもありますが、それらがあるからこそ、今の自分があり、その積み重ねが人生を豊かに彩っています。
この歌詞は、過去を振り返りながらも、そこに宿る唯一無二の味わいを大切に受け止めることの大切さを優しく教えてくれているように思えます。
モノクロの軌跡にそっと色を探した夜明け前
この歌詞は、人生の困難や迷いを翡翠のような神秘的な軌跡に例え、暗闇の中でも希望の光を信じ歩む決意を描いているようです。過去の色褪せたモノクロの思い出さえも、実は今振り返ってみれば、温かく特別なフィルターを通した大切な宝物であることを教えてくれました。
夜明け前の最も暗い時間こそ、新たな始まりの兆しであり、すべての経験が今の自分をカタチ作っています。
切なさと優しさが共存するこの詩は、前を向く力をそっと与えてくれるのかもしれません。