「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」時を越えて再脚光
『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』は、1988年3月5日に発売されたTM NETWORK13枚目のシングルで、彼らの代表作のひとつ。映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の主題歌として書き下ろされた楽曲で、TM NETWORKファンのみならず、ガンダムファンからもとても人気の高い楽曲です。
日本テレビ系「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」第11話の挿入歌としてサプライズ放送されると、たちまち話題に。
これを機に『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)-2025Version-』が6月18日にデジタルリリース&配信開始となりました。
ライブでも人気のスケールの大きな楽曲『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』。
その歌詞の意味を考察します。
歌詞で描かれる「メビウスの輪」とは

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You belong to me
サヨナラ言えなくて
いつまでも
抱き締めたかった
I belong to you
張り裂けそうになる
この胸を君に差し出して
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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「サヨナラ」を言えないまま、別れを迎えた様子が描かれています。
いつまでも抱きしめていたかったのにそれが叶わない。
せめてこの胸をあなたに差し出して、想いをわかってほしい、という切実な気持ちが伺えます。
「You belong to me(あなたは私のもの)」、「I belong tou you(私はあなたのもの)」という歌詞に、それぞれが相手を心から愛していることがわかります。
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We belong to Earth
遥かな宇宙のもと
コバルトに光る
地球がある
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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この愛は、宇宙規模の大きな愛であることがわかります。
宇宙を舞台としたガンダムの主題歌として制作されたので、個人の愛よりもさらに深い壮大なスケールの普遍的な愛ともとらえることができるでしょう。
コバルトに光る地球(ほし)という言葉に、なんとも言えない美しさを感じます。
この地球に悲しみも愛しさもある、人類はみんなこの地球の生き物なのだ、ここに帰るべきなのだという深いメッセージを感じます。
ガンダムは地球と宇宙との戦いがテーマ。
人類の故郷として、地球が描かれた部分だと言えます。
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ああ メビウスの輪から
抜け出せなくて
いくつもの
罪を繰り返す
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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「メビウスの輪」とは、テープやリボンを1回転ひねってつなぎ合わせたもの。
終わりと始まりがなく、無限のループが発生します。
この歌詞では、いくつもの罪がメビウスの輪のごとく繰り返される様子が描かれています。
メビウスの輪は、永遠の愛や終わりのないつながりなど、よい意味で使われることが多いです。
この部分の歌詞では、繰り返される争いへの警鐘として使われていることがわかります。
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平和より
自由より正しさより
君だけが望む
全てだから
離れても変わっても
見失っても
輝きを消さないで
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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歌詞に出てくる「君」は、自分にとってとても大きな存在。
平和、自由、正しさを超える存在として「君」がいます。
この「君」は、特定の個人として捉えることもできますが、信念や理想、普遍的な愛など抽象的なものとしても解釈できるのではないでしょうか。
時には正しさを打ち破ることが、たいせつな何かを得るために必要なのかもしれない、と考えさせられるフレーズです。
そして、どんなに困難な時でも、生きていくために希望を捨てないで、という強いメッセージを感じます。
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You can change
your destiny 時の向こう
You can change
your future 闇の向こう
We can share
the happiness
捜してゆく
許し合えるその日を
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』は、全体的にスケールの大きい歌詞が特徴。
悲しみや別れ、争いなどを想像させるフレーズが多くあります。
その中で、希望にあふれた歌詞がこの部分です。
あなたは運命を、未来を変えることができる、そして幸せを分け合うことができる。
「捜してゆく 許しあえるその日までを」は、ガンダムの世界と通づる部分であり、現実の世界ともリンクし、多くの人の共感を得るフレーズではないでしょうか。
希望を感じる歌詞が、聴く人の心を揺さぶるのかも知れません。
過ちの中にある希望・メビウスの宇宙を超えて

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夢という風に導かれて
あやまちの
船に揺られてく
We belong to Earth
生きてゆけるのなら
いつかまた
戻れる日がある
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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自分の理想を掲げるあまり、間違った方向に向かってしまう事は誰しもあるのかもしれません。
「夢という風に導かれて あやまちの船に揺られてく」の歌詞は、そういった誰もが人生の行き先を間違ってしまうことについての、言葉のチョイスがとても素晴らしいと感じます。
TM NETWORKの作品ではおなじみの作詞家・小室みつ子は、ガンダムを見て歌詞を創ったそう。
ガンダムの世界と現実の世界で人々が過ちを犯してしまうこととをリンクさせ、心に残るフレーズを創ったことに感嘆します。
ガンダムの世界では、戦いながらも「私たちは地球のもの」として、いつかまた地球に戻ることを夢見ます。
もし、間違いが起こったとしても、また元に戻ればい、一から始めればいいのだ、という希望のメッセージでもあると思います。
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ああ メビウスの輪から
引き寄せられて
いくつもの出会い
繰り返す
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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1番では、メビウスの輪を罪として描いていましたが、2番では、出会いとして描かれています。
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ああ メビウスの輪から
引き寄せられて
いくつもの出会い
繰り返す
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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たくさんの出会いの中で、君と愛し合ったあの日を捜してゆくという、壮大な歌詞。
宇宙規模の時間の中で、人との出会いは奇跡。
離れてしまったあなたともう一度出会えるのだろうか。
それでも捜してゆく。
運命を、未来を信じて。
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ああ もう一度 君に
巡り会えるなら
メビウスの
宇宙を越えて
Beyond the time
≪BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 歌詞より抜粋≫
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宇宙は無限でメビウスの輪の様に終わりがない。
だからこそ、もう一度君に出会えるのかもしれない。
そんな可能性を感じさせます。
時を越えて終わりのない宇宙を漂う、君にもう一度巡り会うために。
『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』の歌詞は、宇宙を軸に過ちや絶望、希望が描かれています。
最後に登場する「メビウスの宇宙を越えて」というサブタイトルと同じ歌詞こそが、希望の象徴ではないでしょうか。
1988年から40年近くたった今も、地球上で争いは無くなっていません。
それでも、未来を信じて生きていくしかない。
愛する人を守ること、そんな身近な一歩が平和のためにできることなのかもしれない、と考えずにはいられません。
1988年から2025年へBeyond The Time・・・まさに時を超えて再注目されている楽曲。
『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』は、時代をつなぐメビウスの輪のような奇跡の名曲ではないでしょうか。
「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」輝き続ける奇跡の名曲
TM NETWORKの『BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)』は、時代を越えて今も輝く名曲です。TM NETWORKファンのみならず、ガンダムファンからも支持される楽曲。
歌詞の世界を通して、争いの愚かさや勇気や希望を感じとれるのではないでしょうか。
1人1人が目の前の人を愛することで、醜い争いから脱却することができる。
そんな当たり前のことに気づくことが出来れば、美しい地球を手に入れられるのかもしれません。
小室哲哉(Key)、宇都宮隆(vo)、木根尚登(g)によるユニット。 前身のSPEEDWAYを経て、1984年「金曜日のライオン」でデビュー。 圧倒的なパフォーマンス、シンセサイザーを多く導入した前例のない音楽性、歌詞表現、ミュージック・ビデオに人気が集まる。 小室が渡辺美里などに楽曲提供···
