「まなざしは光」はアニメ「薫る花は凛と咲く」の主題歌
キタニタツヤの『まなざしは光』は、2025年7月6日にリリースされた配信限定シングルです。アニメ「薫る花は凛と咲く」の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
登場人物の凛太郎と薫子の関係性に紐づけて創られた『まなざしは光』。
2人の関係性を「分厚い雲を突き抜けてくる陽光のようなあたたかな存在」とキタニはコメントしています。
光と影をモチーフに描かれた『まなざしは光』の歌詞の意味を考察します。
心を閉ざし影の中にいた僕

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雨降り、小さな傘に身を隠す僕に
薄明かりがひとすじ
≪まなざしは光 歌詞より抜粋≫
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雨降り、小さな傘は閉ざした心の比喩表現でしょう。
自分の周りの世界はいつも雨。
光なんてない世界。
いつも傘に身を隠している自分。
そんな僕に現われた小さな明かり。
暗い影に身を潜めていた自分に、光が訪れた希望の瞬間です。
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またひとつ諦める、身体は軽くなる
足元に引いた線の向こうから手を振る人
≪まなざしは光 歌詞より抜粋≫
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諦めることで心が軽くなるのは、初めから期待していないから。
期待していると叶わなかった時にガッカリするもの。
主人公の「僕」は、いつも何かを諦め周りに壁を作ってきた人。
そんな中、周りに線を引いていた心に、優しく手を振る人が現れた。
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きみが笑うだけでどうしてこんなにも
過去の自分がほどかれるのだろう
この感情には名前があるらしい
心臓がうるさい
≪まなざしは光 歌詞より抜粋≫
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君の笑顔だけで、こんなにも心が軽くなる、優しくなれる。
かたくなに影に身を置いていた自分の心を、ときほぐしてくれるその笑顔。
味わったことのない感情に包まれる主人公。
ドキドキしているのは恋?
それとも?
影から光に変わる瞬間です。
歌詞とリンクする凛太郎と薫子の関係

『まなざしは光』は、アニメ「薫る花は凛と咲く」の主題歌。
物語とリンクした歌詞だと感じられますので、登場人物・凛太郎と薫子の関係を紹介します。
隣り合う底辺男子校・千鳥とお嬢様学校・桔梗女子。
それぞれそこに通う凛太郎と薫子。
常に桔梗女子の校舎のカーテンは閉ざされ嫌われている千鳥。
凛太郎は不良っぽい見かけで怖い人だと判断され、いつしか人との距離をとるように。
でも、凛太郎に偏見を持たずに接する薫子と出会い・・・。
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傷つくことも、傷つけられることも
足元に引いた線の中で逃げてきたけど
雨降り、小さな傘に身を隠してそぼ濡れていた
僕をそっと暖めるような光がさす
≪まなざしは光 歌詞より抜粋≫
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傷つくことも傷つけられることからも逃げてきた、というのは人との関わりを避けているということ。
人と関わらなければ、傷つけることも傷つけられることもないから。
主人公はどちらかと言えば、傷つけられるのが嫌で人とのかかわりを避けてきたのではないでしょうか。
傷つけられて諦めて、影に身を隠していたのだから。
そこにあたたかな光が射した。
『まなざしは光』は、凛太郎と薫子の関係を描いたような歌詞です。
影・凛太郎、光・薫子として聴くと、より歌詞の意味が深く伝わってくるのでは、と感じます。
光のように僕を照らす君

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きみと目があうたび、指が触れあうたび
僕の奥の奥まで見つけてもらえたような気がした
言葉を交わすたび、同じ景色を見るたび
僕を照らしてくれるきみのこと、もっと知りたくなるよ
あの入道雲さえ突き破って真っ直ぐ泳ぎ渡ってきた
眩しくて、でもあたたかな
きみのまなざしは光だ
≪まなざしは光 歌詞より抜粋≫
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疾走感あふれるサビの部分は、ストレートに君に出会えた喜びが描かれています。
初めて、自分をわかってくれる存在に出会えたかもしれない。
自分の心の奥まで見つけてもらえる、本当の自分を理解してくれる、光のような君。
もっともっと君を知りたい。
素直な気持ちが青い空の下で描かれていて、まさしく青春。
入道雲は夏に現われる積乱雲のことで、雷雨をもたらすことが多い雲。
そんな入道雲を突き破ってきた君。
今までの自分だったら、きっと雷雨の中にいた。
でも今は、太陽の様な君が自分を照らしてくれる。
まぶしくてあたたかい君のまなざしが、君こそが僕の光なのだ。
暗い影の中にいた自分に降り注いだ明るい光。
『まなざしは光』には、本当の自分をわかってくれる存在に出会えた喜びと希望が詰まっています。
「まなざしは光」は光と影が織りなす希望の物語
キタニタツヤの『まなざしは光』は、人とのかかわりを避け影の中にいた主人公が、自分に降り注いだ光=君によって心を開き、自己解放していくことを描いた楽曲です。アニメ「薫る花は凛と咲く」の主題歌として、物語とリンクする歌詞にも注目してみてください。
傷つくことを恐れ、いつしかあきらめ、人とのかかわりを持たなくなった主人公。
でも、自分に偏見を持たずに接する「君」と出会い、心がほどけていきます。
辛いことがあったとしても、希望を見失わずに生きていきたいと思わせてくれる楽曲です。
あたたかい光が降り注ぐことを信じて。