ドラマ『死ぬまでバズってろ!!』主題歌はまふまふが担当!
まふまふが7月23日(水)に配信リリースした楽曲「死神様にお願い」が、MBS ドラマ特区『死ぬまでバズってろ!!』のOP主題歌に決定しました。漫画家・ふせでぃ原作の同名コミックを実写化した本作は、10月16日(木)より放送スタート。
乃木坂46卒業後、地上波ドラマ初出演となる与田祐希が、主人公・浅野加菜子役を演じます。
『死ぬまでバズってろ!!』のあらすじ
パスタ屋でアルバイトをしながら生計を立てる26歳フリーター・加菜子。彼女の人生は、偶然撮影したひき逃げ事故の動画がSNSでバズったことをきっかけに、大きく変化します。
鳴りやまない、いいねやリポストの嵐。
初めて味わう快感に溺れ、彼女は「正義」を振りかざす告発系インフルエンサー・タパ子へと変貌していきます。
バズるために手段を選ばないその行動は、やがて彼女自身の倫理観を麻痺させ、匿名の中傷や復讐劇の渦に巻き込まれていく物語です。
「死神様にお願い」は、まさにこの「光と闇の二面性」を抱えた物語に寄り添う一曲。
疾走感のあるバンドサウンドと繊細な歌声が、加菜子の胸中を代弁しているかのように響きます。
まふまふ「死神様にお願い」歌詞を考察

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醜い翼 不定の体躯
きっと誰かが望んでいた
物語は今日加筆が済み
ボクは化け物になる
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「醜い翼」「不定の体躯」は、自らを化け物と認識してしまう、自己嫌悪の象徴です。
「誰かが望んでいた物語」という一節からは、他人の期待や偏見の中で形づくられていく「偽物の自分」が浮かび上がります。
自分の意志ではなく、他者が作り上げたイメージの中で生きる苦しみがにじむ一節です。
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猫も杓子もその指を
差した者勝ちのゲームなら
どうせ罪人の皮被り
退治される筋書きなんだな
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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「指を差した者勝ち」という言葉は、正義の仮面を被った攻撃を示唆しています。
SNSでの糾弾や炎上など、誰かを叩くことが正義とされる現代社会の構造にも繋がる一節です。
実際に罪を犯していなくても、一度「悪」と見なされれば、罪人として扱われる。
「罪人の皮被り」は、そんな逃れられない烙印の象徴です。
またその姿は、自分自身が正義を振りかざしながらも、やがて世間の矛先に晒される『死ぬまでバズってろ!!』のタパ子にも重なります。
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白む 薄明光線 ボクを嘲笑う
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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続く「白む薄明光線 ボクを嘲笑う」は、まふまふ独特の反転表現です。
薄明光線とは、雲の切れ間から漏れた放射状の光のことで、一般的には希望や救いの象徴として描かれます。
しかしここでは、光が救いではなく、暴くもの・晒すものとして機能しているのです。
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消えたいよ 消えたいよ
醒めない悪夢に彷徨って
繕って 強がって
脈打つ心臓はもう呪いになっていく
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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このパートでは、生に対する限界や重さが剥き出しになっています。
「消えたいよ」は、ただの絶望ではなく、自分を苦しめる世界から解放されたいという祈りのような願いにも聞こえます。
「繕って 強がって」という短い言葉の並びは、必死の自己防衛を示しているようにも読めます。
それでも、脈打つ心臓が「呪いになっていく」という表現は、生きていることそのものが苦しみの象徴へと変わってしまった状態を指し示しているかのようです。
希望を探しても出口が見えない、そんな閉塞感が痛切に描かれています。
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嘯いてまで
悪役の顔した人生なんていらない
君の一振りで ボクを抉ってお願い
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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ここでは、世間に被らされた「悪役」を演じることへの強い拒絶が描かれています。
「君の一振りで ボクを抉ってお願い」というフレーズは、救いと破壊の境界線にある言葉。
「君」が「死神様」であるとすれば、「悪役」としての自分を取り除き、本当の自分を見抜いてほしいという切実な願いにも聞こえます。
社会が作り出す「モンスター」という仮面

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恐れ嫌われる風貌だとか
ロールプレイの道理で
噂の類は何処かの
誰かから聞けるらしい
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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このパートは、人々が勝手に作り上げる「物語」を示しています。
根拠のない噂や、誰かの都合で作られるストーリーの中で、「ボク」は「普通じゃない存在」に仕立て上げられる。
SNSやメディアで流れる断片的な情報の積み重ねが、実像ではなく虚像を形づくってしまう現代社会の構造が重なります。
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醜い容姿 非道な手口
それは邪悪なモンスターだそうだ
討たれるべきだ 然るべき措置だ
例えボクが何もしていなかろうが
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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ここでは、本当は何もしていなくても「悪」にされる恐怖が描かれています。
世間的に醜いと見なされる容姿や、少しの違いがあるだけで、批判の対象になってしまう。
「討たれるべきだ 然るべき措置だ」という一節には、その理不尽な構造を理解しながらも、もはや抗う力もなく受け入れてしまっている。
そんな無力で悲しい姿が浮かび上がります。
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消えないよ 消えないよ
見えないほどに治りづらくて
這いずって 擦りむいた
瘡蓋とは違う傷が増えていく
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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このパートは、外から見えない「心の傷」に焦点を当てています。
他人から向けられた攻撃や偏見は、時間が経っても癒えず、むしろ増えていく。
「瘡蓋」と違って治らないという表現が、心理的な痛みの重さを強調しています。
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汚れていない手のほうが
不自然な人生なんていらない
ご自慢の正義で ボクを壊してお願い
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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汚れていない手=無実な人のほうが不自然という、歪んだ社会観への皮肉が描かれています。
清くありたいと願うほどに、「綺麗すぎる」「裏がある」と疑われる。
そんな世の中の矛盾。
「ご自慢の正義で ボクを壊してお願い」は、間違った正義を掲げて他人を断罪する人々に対して、怒りと諦めを含んだ強烈な皮肉です。
救いを求める「ボク」が見つめる神なき世界

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咎人らしく爪を噛み 人目忍んで灰被り
ボクの気持ちがわかるものか
神も仏もあるものか
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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このパートは、孤立と諦念です。
咎人のように隠れ、爪を噛み、灰を被る姿はまさに罪人扱いのメタファー。
「神も仏もあるものか」というフレーズから、救済を信じられない心境が滲みます。
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恨み合って 妬み合って 僻み合って
言いたい放題言いやがって
暴き合って 叩き合って 壊し合って
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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ここは群衆の醜さを鮮烈に描いています。
SNS的な「暴き文化」「叩き文化」を想起させるリズミカルな列挙が、攻撃の連鎖と暴力性を浮き彫りにします。
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消えたいよ
消えたいの?
消えたいよ 消えたいよ
醒めない悪夢に彷徨って
繕って 強がって
脈打つ心臓はもう呪いになっていく
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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限界まで追い詰められた心情を映し出しています。
突然挟まれる「消えたいの?」という一言は、誰かの問いかけにも、あるいは自分自身への確認にも聞こえます。
ここに、ほんのわずかな迷いや、まだかすかに残る「生きたい」という衝動が透けて見えます。
しかし改めて繰り返される「消えたいよ」というフレーズ。
心は揺れ動きつつも、現実に絶望する「ボク」は、やはり生=苦痛と認識してしまいます。
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嘯いてまで
悪役の顔した人生なんていらない
君の一振りで ボクを殺してお願い
≪死神様にお願い 歌詞より抜粋≫
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ラストは「解放」への願いです。
前半での「君の一振りで ボクを抉ってお願い」が、最後には「君の一振りで ボクを殺してお願い」へと変化。
「悪役としての自分を消してほしい」という願いが、やがて「この生そのものから解き放たれたい」という祈りに変わっていきます。
それは破滅ではなく、救済への渇望。
苦しみから自由になることでしか得られない、静かな「救い」を求める心の叫びが響いています。
まふまふ「死神様にお願い」が描く歪んだ正義と救済

「死神様にお願い」に込められているのは、他者から押し付けられる正義や偏見に翻弄される個人の苦悩、そしてそこからの解放への切実な願いです。
誰もが抱える「葛藤」「孤独」「心の傷」を描き、ラストでは「救済」や「解放」を希求する強烈な祈りとして結実します。
SNS社会の歪んだ構造や現代的な孤立感とも重なり、ドラマ『死ぬまでバズってろ!!』の物語に深みを添える一曲となるでしょう。