合唱コンクールの定番曲

『時の旅人』は、1990年に発表された作詞・深田じゅんこ、作曲・橋本祥路による合唱曲です。
中学、高校の合唱コンクールの定番曲として親しまれています。
深田は、岩手県在住の作詞家という以外、経歴はあまり知られていません。
橋本は、合唱曲や校歌などを手がける作曲家として知られ、『時の旅人』の他、『夢の世界を』、『遠い日の歌』などが代表作です。
また、編曲家の一面もあり、フォークソングで有名な『あの素晴らしい愛をもう一度』、『翼をください』を合唱曲にアレンジしました。
今では、どちらの曲も合唱曲として定番となっています。
『時の旅人』は、過去・現在・未来を時間旅行のように描いた歌詞が特徴です。
過去を回想し、未来への希望を見出す歌詞は、聴く人、そして歌う人へも生きていく力を与えてくれます。
『時の旅人』の歌詞の意味を紐解いていきましょう。
過去・現在・未来がつながる時間旅行

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めぐるめぐる風 めぐる想いにのって
なつかしいあの日に 会いにゆこう
めぐるめぐる風 めぐる想いにのって
ぼくらは 時の 時の旅人
≪時の旅人 歌詞より抜粋≫
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風がめぐるように、時間や記憶がつながっていることを表現しています。
人の心は、過去、現在、未来と想いを馳せながらめぐるもので、それは人生の時間旅行と言えるでしょう。
自分自身を時の旅人と表現し、さまざまな時代に想いを馳せる様子を描きます。
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忘れかけていた日々
すべてのものが 友達だった頃
汗をぬぐってあるいた道 野原で見つけた小さな花
幼い日の 手のぬくもりが帰ってくる
≪時の旅人 歌詞より抜粋≫
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幼い日の情景を切り取った歌詞に、目頭が熱くなります。
幼い頃は、見るものすべてが新鮮で、何もかもを手に取って遊ぶものです。
土や草花、水たまり、小さな生き物などは輝く友達。
純粋で無邪気だったあの頃を描いた歌詞は、忘れかけていた記憶を呼び起こさせてくれます。
ふとした瞬間に蘇る、そんな幼き日の想い出。
忘れかけていたものを想いだすことで、過去を振り返り、今を見つめなおすきっかけにもなりそうです。
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やさしい雨にうたれ 緑がよみがえるように
涙のあとにはいつも君が
そばにいて 生きる喜び おしえてくれた おしえてくれた
≪時の旅人 歌詞より抜粋≫
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「緑が蘇る」とあるのは、枯れそうな時があったからです。
辛い時期を乗り越えて蘇った緑は、困難の後の、人の成長の比喩です。
悲しみや挫折で流した涙の後に訪れる、生きる喜びを描きます。
その喜びを教えてくれた大切な人の存在。
君は、家族や友人、などが想像できますが、見知らぬ多くの人の存在と捉えることもできます。
震災や災害などで辛い体験をした人へは、多くの人からの気持ちが寄せられ、それは確実に届いています。
『時の旅人』は、復興を願う曲として多くの場所で歌い継がれてきました。
未来へつながる歌詞は、聴く人の心を勇気づけてくれることでしょう。
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今、君と(君といっしょに)未来への扉開こう
今、君と(今、君といっしょに)あふれる希望をうたおう
≪時の旅人 歌詞より抜粋≫
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未来の扉を開くのは自分自身なのだと促し、今を全力で生きることの大切さを伝えます。
そして、今から先にある希望を目指して生きていこうと、力強いメッセージを送ります。
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めぐる風めぐる想いにのって
すばらしい明日に会いにゆこう
めぐる風めぐる想いにのって
なつかしい明日に会いにゆこう
めぐる風めぐる想いにのって
すばらしい明日をうたおう
≪時の旅人 歌詞より抜粋≫
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時はめぐり、つながっていることを意味します。
過去・現在が未来へとつながる。
そんな想いを乗せて素晴らしい明日を迎えよう、という前向きな歌詞が、気持ちを明るくさせてくれます。
「なつかしい明日」という表現は、明日をまだ迎えていないのに、おかしいと思いませんか?
これは、未来から見た場合に、過去になる明日を描いているのだと考えられます。
『時の旅人』の序盤では、過去の幼き日を振り返る歌詞でした。
そんな風に、明日がいずれ過去の日として蘇る日が来る。
その時に、未来の自分が過去の自分に勇気をもらえるような1日(明日)を過ごそう、というメッセージではないでしょうか。
『時の旅人』というタイトル通り、時間の流れを強調する歌詞は、過去と未来を対比させることで、現在の大切さを描いていると思います。
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ぼくらは旅人 夢の旅人
ラララ ラララ 旅人
ぼくらは旅人 時の旅人
ラララ ラララ ララ
≪時の旅人 歌詞より抜粋≫
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私たちは時間旅行の旅人なのだ、夢を持つ旅人なのだ。
自分の人生を思いっきり旅しようと伝えます。
めぐる風に乗って、過去へも未来へも想いを馳せることができる。
今はいずれ過去になる。
振り返った時に素晴らしい過去であるように、今を、明日を生きようという希望のメッセージが詰まっています。
アニメ「ちいかわ」に起用され大注目

『時の旅人』は、大人気キャラクター『ちいかわ』のアニメに起用され、大きな話題となりました。
『ちいかわ』はナガノ作の大人気漫画で、グッズなど関連商品も絶大な人気を誇ります。
アニメは、フジテレビ系列「めざましテレビ」内にて、毎週火・金曜日に放送され、大人気となっています。
アニメ『ちいかわ』に『時の旅人』が起用されたのは、2024年12月13日の第228話「黒い流れ星・後編7」でのこと。
『ちいかわ』が、同じ毎日を過ごすタイムループに陥り、そこからの脱却を試みるストーリー。
目覚まし時計から流れる『時の旅人』にヒントをもらい、解決法を見出します。
ネット上では、この起用に大きな注目が集まりました。
『ちいかわ』作者のナガノにとって想い出の曲なのでは?という考察も上がり、『時の旅人』は思わぬ場所で注目を集める1曲となりました。
「時の旅人」は過去・現在・未来の時間旅行で「今」を生きる意味を描く

『時の旅人』は、過去・現在・未来と時間の大切さが歌詞に込められています。
今この瞬間も時は流れていき、過去を変えることはできません。
しかし、過去を振り返ることで、今現在を見つめなおすことができます。
そして、現在をどう過ごすかによって、未来を変えることができるのです。
『時の旅人』は、人生の時間旅行をする様子が描かれています。
戻すことができない時間の大切さを描いた歌詞は、 人生について考えるきっかけともなるのではないでしょうか。
私たちは今、時間旅行の真っただ中です。
良い旅をしましょう。
