結婚したい彼女と結婚したくない彼氏の攻防
2019年結成に結成され、巧みなボーカルワークと中毒性の高いサウンドでリスナーを魅了する3人組ボーカルユニット・Dannie May(ダニーメイ)。2026年1月7日にリリースされたアルバム『MERAKI』の収録曲『未完成婚姻論』がSNSで話題となり、5月に入ってからはSpotify韓国バイラルチャートで1位を獲得するなど、主要音楽チャートを賑わせています。
『未完成婚姻論』はジャージー・クラブのイントロから始まり、サビでは4つ打ち、2番では祭囃子とキャッチーなリズムと展開がユニークなダンスナンバーです。
タイトルからもわかる通り、テーマは結婚。
結婚に対する考え方から、あるカップルの関係性を映し出す歌詞の意味を考察していきましょう。
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常識 感性 倫理観 持って持って
経済的余裕も持って持って
空欄は埋めた指輪もあげた
印鑑押したらとうとう負けだね
≪未完成婚姻論 歌詞より抜粋≫
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歌詞全体を見ると、この楽曲は相反する意見を持つカップルのかけ合いで進んでいると解釈できます。
1番冒頭で歌われるのは、おそらく結婚を望む女性側の意見です。
「常識 感性 倫理観」と「経済的余裕」という結婚の条件を挙げた上で、今の彼が結婚相手にぴったりだと感じているのでしょう。
「空欄は埋めた」とあるため、既に婚姻届への記入は済んでいます。
「指輪もあげた」ともあり、結婚に前のめりな彼女の方から婚約指輪を渡したようです。
あとは印鑑を押すだけですが、「印鑑押したらとうとう負けだね」というフレーズが不穏な空気を漂わせます。
結婚は勝ち負けが絡むようなものではないはずです。
しかし、結婚したくない彼を相手にここまで結婚をお膳立てしてきたため、ついに結婚を決断させることで、この関係に勝敗をつけたいと思っていることが垣間見えます。
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愛だの恋だのそんなもんは感情論でしょ
でも婚前交渉する時はめっちゃイイでしょ
震える心疼いてる体
裏腹くわばら(逃げてー!!!)
≪未完成婚姻論 歌詞より抜粋≫
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一方、結婚したくない彼は「愛だの恋だのそんなもんは感情論でしょ」と返します。
体の相性はいいのだから、結婚という形に縛られず楽しく過ごせばいいのではないかと考えているのかもしれません。
裏腹な心と体の反応に翻弄されながらも、結婚に対する恐怖の方が強いため、結婚する気はないようです。
幸せな結婚に潜むリアル

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いつかあなた香り変わって
シワだらけになって
触れる肌も背中合わせ
憧れが腐って
本当に大事なモノを
あげた人でも
期待が普通に呑まれるのね
≪未完成婚姻論 歌詞より抜粋≫
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2番に移ると、女性側も結婚に夢を見ているわけではないようです。
年齢を重ねるごとに「香り変わって シワだらけになって」変化が大きくなっていくのは当然です。
やがて触れ合うこともなくなり、同じベッドにいても背中合わせに寝転ぶだけの未来がやって来ることもわかっています。
「本当に大事なモノを あげた人」であっても、愛よりも「期待」に呑み込まれて関係を損なってしまう現実があることも理解しています。
それでも彼女は結婚したいようです。
しかし愛の言葉は一度も出てこないことから、彼が常識があって経済的余裕がある人だから結婚したいという思惑があるとも解釈できるでしょう。
愛だけでは踏み切れない結婚の難しさが読み取れます。
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純情ばっか並べて嫌になっちゃうでしょ
どうせ裏切り合うのが見えるでしょ
壊れる未来があるならば
お伽話なんか(やめてー!!!)
≪未完成婚姻論 歌詞より抜粋≫
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ここでいう「純情」は、理想論と言い換えることができるかもしれません。
恋や結婚の良い面ばかりを並べられても、魅力を感じるどころか「嫌になっちゃう」と感じます。
だから彼は「どうせ裏切り合うのが見えるでしょ」と言い放ちます。
結局人は不完全だから、いずれどちらも裏切って関係が破綻するはずだという考えです。
冷めた見方のようにも思えますが、裏切りによって傷つき傷つけたくないという不安な気持ちは共感できるのではないでしょうか。
いつか「壊れる未来」があるとすれば、永遠の愛なんて「お伽話」のようなものを信じたくないという彼の弱い面が垣間見えますね。
結婚すれば完成形になれる?

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結婚しましょうそうしましょう
死ぬまであなたと一緒
結婚しましょうそうしましょう
あなたの顔しか拝めない
病める時も 健やかな時も
手を取り合うのが定め
結婚しましょうそうしましょう
ようやく一つになれるかな
≪未完成婚姻論 歌詞より抜粋≫
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サビでは「結婚しましょうそうしましょう」と繰り返されます。
この表現と結婚を勝ち負けと考えるフレーズからすると、子どもの遊びの花いちもんめが連想されるでしょう。
花いちもんめで“あの子が欲しい”と言うように彼女は彼を欲しがり、最終的に結婚を求めます。
そして、結婚の誓いの“死が2人を分かつまで”という言葉のように「死ぬまであなたと一緒」と告げます。
一般的には幸せな誓約であるはずの結婚が、決して逃れられない契りのように聞こえてきますね。
それから、花いちもんめで負けた人が勝った側の人と手をつなぐのと同じく、「手を取り合うのが定め」と続けます。
印鑑を押して負けを認めたら死ぬまで一緒にいるのが定めだから、絶対に逃がさないという強すぎる感情が読み取れるでしょう。
それでも最後には「ようやく一つになれるかな」と呟きます。
狂気にも似た結婚への執着の裏には、結婚によって相手を縛ればこの関係を深く強いものにできるのではないか、という不安から生まれた思想があるのかもしれません。
結婚は完成形になるゴールではなく、未完成なまま続いていく通過点に過ぎないとわかっているから、少しでも安心できる方を選ぼうとしているとも考えられます。
結婚を巡って対立する意見のどちらにも弱さや不安が隠れていて、結婚の意義について考えさせられます。
カオスな世界観にリアルが滲む新感覚の恋愛ソング
Dannie Mayの『未完成婚姻論』は、結婚手前のカップルの“婚姻論”がぶつかるポップソングです。人も結婚の制度も未完成だから、単純に幸か不幸かで語れない難しい決定であることが、皮肉と切実さを持ってリアルに表現されています。
ポップでカオスなMVと併せて、Dannie Mayが生み出す独特な世界観に没入してください。
-ポップとマイナーの境界線- 3人が織りなすボーカルワークに幅広いサウンドエッセンスと映像/デザインなどのアートセンスを加えて現代版のポップスにアップデートし、ポップとマイナーを上手にブレンドした新感覚の極上コーラス系バンド(読み方:ダニーメイ) 同じボーカルグループで活動し···
