モーツァルトは「神童」と呼ばれた少年時代から、多くの地で演奏活動を行い、宗教音楽や交響曲、オペラなど、さまざまな名曲を作曲しました。
彼は、音楽だけでなく味わい深い名言・格言を残しています。

この記事でわかること
モーツァルトの名言・格言【人生について】
モーツァルトは幼い頃から天才ぶりを発揮し、5歳で初めての作曲、ウィーンのマリア・テレジアの前で演奏を披露したのは、わずか6歳のときでした。
特別な人生経験を持つ彼は、素晴らしい音楽を後世に残しただけでなく、人生におけるさまざまな名言・格言を残しました。
はじめに、モーツァルトの名言集から、人生について語った言葉を紹介します。
夢を見るから、人生は輝く。
It is the dreams that make life spark.
モーツァルトの楽曲は時代を越えて愛され続け、人々に希望を与えてくれます。
それは彼が35歳でこの世を去るまで、音楽に夢を追い求めたからかもしれません。
モーツァルトは、華やかな生活を送ったイメージがあるかもしれませんが、仕事に追われる忙しい日々や経済的な不安など、多くの問題を抱えていました。
しかし、そんな彼の人生が輝いていたのは、音楽への夢を持ち続けたからです。
この言葉は、音楽への夢を諦めないモーツァルトの信念だったのでしょう。
沈黙するなら沈黙せよ。しかし必要なときは語るべきだ。人の記憶に残る語り方で。
Be silent, if you choose; but when it is necessary, speak—and speak in such a way that people will remember it.
モーツァルトが家族に宛てた書簡に書かれた名言です。
幼少期から音楽家として注目されていたモーツァルトは、他人から正当に評価されなかったり、逆に批判されたりすることも少なくありませんでした。
そんなとき、ただ沈黙を貫くのではなく、必要があると感じた場合は、人の記憶に残るような語り方で意思を表明するべきだと語ったのです。
これは彼の人生観であると同時に、他人の評価を恐れず自信を持って発信することの大切さも意味しています。
最も図々しい者が、最もよいチャンスを掴むんだ。
Whoever is most impertinent has the best chance.
なかなか辛辣な言葉ですが、これもモーツァルトが家族に宛てた書簡に書かれた名言です。
当時の芸術家は、現代と違って自分で生計を立てることが困難だったため、貴族や権力者に気に入られて、経済的にサポートしてもらうのが一般的でした。
そのため音楽家としてチャンスを掴むためには、器用に人間関係を築くことが求められたのです。
モーツァルトも「最も図々しい者」が成功するのを、苦々しい思いで見ていたのでしょう。
これは現代社会にも通じるような、核心を突く言葉です。
穏やかな生活ほど楽しいものはないよ。しかしそれを手に入れるには、勤勉でなければならない。
Nothing is more enjoyable than a quiet life and to obtain that, one must be industrious.
モーツァルトが亡くなる少し前に、妻のコンスタンツェに宛てた手紙に書かれた名言です。
歴史に残る偉人、モーツァルトですが、音楽家としての成功は簡単に手に入れたものではなく、生涯を通じて大変な努力を重ねた結果でした。
この言葉は、家族との穏やかな暮らしを手に入れるため、健康を損なうほどの過酷な生活を送り、仕事に人生を費やしたモーツァルトらしい人生観です。
穏やかに暮らすためには、ただのんびりしているだけでなく、勤勉であることが必要だと述べています。
モーツァルトの名言・格言【音楽について】
偉大な作曲家、モーツァルトは、音楽に対して独特の信念や感性を持っていました。
彼の言葉から、音楽や人生にまつわる大切な気付きを得られるかもしれません。
続いては、モーツァルトの音楽に関する名言・格言を紹介します。
音楽は音符の中にあるのではなく、その間の沈黙の中にあるんだ。
The music is not in the notes, but in the silence between.
美しい音楽を聴いているとき、私達はその音階に注意を払いますが、曲の美しさを作っているのは、音と音の間に存在する沈黙の時間であるという格言です。
どんなに美しい音階でも、最初から最後まで全く切れ目がなければ、味わいのない曲になるでしょう。
コンサートなどで、次の音が聴こえる一瞬の間が、最も気分を盛り上げることもあります。
これは音楽だけでなく、日常生活における沈黙の意味にも当てはまるかもしれません。
音楽は、最も悲惨な状況でも、決して耳障りなものでなく、常に喜びの源であり続けなければならない。
Music, in even the most terrible situations, must never offend the ear but always remain a source of pleasure.
モーツァルトが父に宛てた手紙の中で、音楽の定義を語った名言です。
音楽は使用されるシーンなどにより、激しい曲調になることもありますが、それでも決して耳障りになることなく、喜びの源であるべきだと語っています。
旋律の美しさはモーツァルトの音楽の特徴の1つですが、宗教音楽でもオペラ音楽でも、彼は耳に心地よい音楽を目指しました。
音楽は人の心をとらえ、癒やしや勇気を与えるものだという。彼の音楽に対する価値観を示す言葉とも言えるでしょう。
私は詩人でないから韻は踏めない。画家でないから光と影を描けない。ダンサーでないから考えや感情を動きで表現することはできない。
しかしそれらを音によって表現することはできる。私は音楽家だからね。
I cannot write poetically, for I am no poet. I cannot make fine artistic phrases that cast light and shadow, for I am no painter. I can neither by signs nor by pantomime express my thoughts and feelings, for I am no dancer; but I can by tones, for I am a musician.
モーツァルトが音楽の可能性を分析した格言です。
詩人が感情を言語化したり韻を踏んだり、画家が風景や心情をビジュアル化したりするように、音楽家は音楽を使って、それらを表現することができます。
また、ダンサーが動きで感情を伝えるように、音楽で表現することもできます。
表現方法は違っても、芸術家はそれぞれの分野で表現したいものを創り上げられますし、モーツァルトはそんな音楽家という職業に誇りを持っていたのでしょう。
音楽において最も不可欠で、最も難しいのはテンポだよ。
The main matter is most indispensable in music and most difficult, and tempo.
演奏家にとって、モーツァルトの曲は難しいと言われることが多いのですが、それはテンポをしっかり守ることが必要とされるからです。
彼の楽曲はシンプルな曲でも、作曲家の意図を正しく理解して、ふさわしいテンポで演奏することが求められます。
テンポが異なると、楽曲のイメージが全く違うものになってしまうのです。
また、当時はメトロノームなどは無かったので、気分や体調に影響されずに正しいテンポで演奏を続けることは、とても難しいことでした。
音楽は自らの人生であり、人生は音楽である。
このことを理解できない人は、神の恩恵は受けられないね。
Music is my life and my life is music.
Anyone who does not understand this is not worthy of god.
モーツァルトは25歳のとき、ザルツブルク大司教、ヒエロニュムス・コロレドと衝突して解雇され、その後はフリーの音楽家になりました。
これはモーツァルトが自分の音楽に対する心構えを宣言した、力強い言葉です。
当時の宗教家や権力者は音楽を飾りのようなものと考え、音楽家に対するリスペクトが欠けている人が多かったのですが、モーツァルトはそれをはっきり否定しました。
天才と言われた自分への誇りもあったでしょうし、音楽を人生と言い切る覚悟から生まれた言葉でしょう。
モーツァルトの名言・格言【創作について】
モーツァルトが創作について語った名言・格言は、現代のクリエイティブな活動をする人にも、インスピレーションを与えてくれることもあるでしょう。
次は、モーツァルトが残した、創作についての名言・格言を紹介します。
高い知性も、想像力も、それらを併せ持つことも、天才を作っているものではないよ。
愛、愛、愛こそが天才の魂なのさ。
Neither a lofty degree of intelligence nor imagination nor both together go to the making of genius.
Love, love, love, that is the soul of genius.
モーツァルトが天才音楽家である自分を分析し、創作活動に重要なことを語った名言です。
彼は優れた芸術を創作するために必要なのは、知性や想像力ではなく、深い愛であるという信念を持っていました。
愛とは音楽に対する思い入れの他、家族や人間全体に対する慈愛の心、神への愛を意味する場合もあります。
それらは創作のモチベーションとなり、優れた創作のヒントになることもあるでしょう。
逆に知性や想像力のみで愛が欠けた創作では、良いものは生まれないという意味にも解釈できます。
私たちの財産、それは頭の中にある。
Our riches, being in our brains.
モーツァルトが物質的な豊かさや権力よりも、音楽家としての自分の才能を大切に思っていたことがうかがえる格言です。
しかし、これは天才音楽家モーツァルトだけに当てはまる言葉ではありません。
我々の頭の中にあるアイデアや心情は、誰にも奪うことができない財産であり、創作活動をする人にとって大切な創作の源となります。
また、今後他の人にとって大切な影響を与えるかもしれません。
経済力や権力がなかったり、周りから評価を受けていなかったりしても、本当に大切なものは自分の中にあるのです。
私の芸術が易々と生まれると思う人は間違っている。
私ほど、作曲に時間と思考を費やした者はいないと断言できる。
People err who think my art comes easily to me.
I assure you, nobody has devoted so much time and thought to compositions as I.
子どもの頃から神童と言われるほど音楽的な才能を発揮したモーツァルトは、努力することなく簡単に作曲ができると勘違いされることも、少なくありませんでした。
しかし、実際のところ彼は作曲するにあたって大きな労力と時間を費やしました。
彼は下書きをすることなく、すぐに音符を書いたため「下書きをしない天才」と呼ばれていましたが、実際に頭の中で何度も考えた末に書き起こしたのです。
著名な芸術家が創作するとき、彼らは我々が思う以上に時間や思考を費やしています。
他人の称賛にも、非難にも、私はまったく注意を払わない。
ただ自分の感情に従うだけだ。
I pay no attention whatever to anybody’s praise or blame.
I simply follow my own feelings.
これはSNSなどで他人からの称賛や非難がダイレクトに届く、現代人も大切にしたい格言です。
モーツァルトは自分の感情や芸術家としての誇りを、何よりも大切にしていました。
当時の音楽家は権力者に気に入られるため相手に媚びたり、大衆受けする音楽を作ることもありましたが、彼は断固として拒絶しました。
非難だけでなく称賛されることも、彼にとっては意味を持たなかったのです。
他人の評価が創作に影響を与えるのを嫌い、芸術家として自分の感性だけを頼りにしていました。
完全にひとりきりで、自分自身で向き合えるとき、そんな時にこそ、最も良いアイデアが最も豊かに溢れてくる。
When I am completely myself, entirely alone… it is on such occasions that ideas flow best and most abundantly.
創作活動でインスピレーションを得るには、完全に周りをシャットダウンしてひとりきりになることが大切であるという、格言です。
モーツァルトクラスの天才なら、どんなときでも曲が浮かんできそうな気がしますが、彼もアイデアを出すためには、自分と向き合う孤独な時間が必要でした。
集中力を高めるため、雑多な日常生活を忘れられる環境に身をおくこともあったのです。
彼は演奏活動のため人生の長い時間を旅に費やしたのですが、それも彼の創作に影響したのかもしれません。
モーツァルトの名言・格言【死について】
35歳という若さでこの世を去ったモーツァルトは、その短い人生の中で真摯に死と向き合い、死に対する名言も多く残しています。
最後は、自分や周りの人の死について考えるとき、参考にしたいモーツァルトの名言・格言を紹介します。
死とは、よく考えれば、私たちが存在する真の目的だ。
だからこそ、この人類にとって最も最良で誠実な友と、私はこれほど親密な関係を築いてきたんだ。
その結果、もはや死は私にとって恐ろしいものではなく、非常に安らぎと慰めを与えてくれるものになったんだ。
As death, when we come to consider it closely, is the true goal of our existence, I have formed such close relationships with this best and truest friend of mankind that death’s image is not only no longer terrifying to me, but is indeed very soothing and consoling.
モーツァルトが病に倒れた父に宛てた手紙に書かれた、死生観を表す格言です。
これは死期を迎える父を励まそうとする言葉にもとれますが、モーツァルト自身が死を全く恐れることなく、人生の最終目的だと考えていたことが分かります。
人生の終着点である死は、同時に現世の苦しみから解放されて幸せになる地点だと考えたのです。
モーツァルト本人も病気で若くして亡くなりましたが、死を恐れることなく安らかな気持ちで死期を迎えたのでしょう。
神に信頼を置き、全能の神の御心に従うのであれば万事うまくいく、と自分を慰めよう。
Let us put our trust in God and console ourselves with the thought that all is well, if it is in accordance with the will of the Almighty
死のことを考えて恐怖を感じたり、死期を迎えて不安になったとき、神の御心に従えば心が安らかになるという、モーツァルトの格言です。
当時は現代ほど医学が発達していなかったので、病気や怪我などで若いうちに亡くなることも珍しくありませんでした。
そんな時代、肉体や精神が弱っているときは、何を考えてもネガティブになりがちだったのでしょう。
モーツァルトも、そんなときは神様がいい方向へ導いてくれるという考え方で、平常心を保ったのかもしれません。
死が真の幸福への扉を開くカギであると、学ぶ機会を与えてくださった神に感謝いたします。
I thank my God for graciously granting me the opportunity of learning that death is the key which unlocks the door to our true happiness.
モーツァルトは死を単なる人生の終わりと考えるのではなく、苦しみから解放されて幸福になるためのカギだと考えていました。
その考え方は宗教心から生まれたものであり、死を恐れることがない安らかな人生は、神様が学ぶ機会を与えてくれたおかげだと信じたのです。
彼が生前最後に手掛けた曲は、三大レクイエムと言われるレクイエム(死者のためのミサ曲)ですが、神への感謝や死生観が美しい曲に昇華されています。
モーツァルトの名言は人生をクリエイティブかつ、神に向き合う穏やかなものしてくれる
モーツァルトは歴史に残る音楽家で、いろいろな名曲を作曲しましたが、数々の名言や格言も残しました。
彼は神童と呼ばれた幼少期から、多くの地でさまざまな経験を重ねた人生を送り、独特な価値観や信念を持っていました。
その言葉は、現代に生きる我々の人生や音楽、クリエイティブな活動にも、大切な気付きを与えてくれます。
35歳という若さで亡くなりましたが、宗教的な考えを持ち安らかに眠りにつくことができました。
モーツァルトの名言は、人生や創作における悩みや、死に対する恐怖から我々を救い、穏やかな気持ちにしてくれるでしょう。
