カラオケが好きな人の中には、もっと上手く歌えるようになりたい、高音を出せるようになりたいとお思いの人も多いでしょう。
歌唱力の向上を目指すなら、技術を身につけるのがおすすめ。
数ある歌唱テクニックの中でも、ミックスボイスと呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。
習得すると、高音が出しやすくなり、表現の幅がグッと広がります。
この記事でわかること
歌手みたいに歌えるテクニック【ミックスボイス】
プロも使用する発声法、ミックスボイス。先生に習わなければ身につかない難しいテクニックでは?と思うかもしれませんが、一般の人でも十分に習得可能です。
ここからは、ミックスボイスの特徴と効果的な練習方法を解説していきます。
ミックスボイスとは地声と裏声の混ざった声
ミックスボイスとは、地声(表声)と裏声が混ざったような、中間の声を指します。
中間なのでミドルボイスと呼ばれることもあります。
地声~ミドルボイス~裏声という異なる発声方法の声をひとつの声としてつなげて歌唱することもミックスボイスと定義されることもあります。
ですが、一般的に中間にあたるミドルボイス自体を指すことが多いです。
ミックスボイスのメリット
ミックスボイスの最も大きなメリットは、高音を力強く発声できること。
地声のような太さで高音域を出せるので、表現力がグッと上がります。
喉の筋肉をうまくコントロールできるようになり、腹式呼吸も身につければ、ミックスボイスが習得できます。
正しい発声方法でミックスボイスが出せるようになると、高音を出す際、声帯や喉へ負担がかかりにくくなります。
カラオケで長時間歌うと喉にきたり、すぐ声が枯れてしまう人は、ぜひ習得しましょう。
ミックスボイスの練習方法
ミックスボイスを習得するには、発声の基礎である腹式呼吸が必須になります。
姿勢を正し、おへその下付近が風船のように膨らむイメージで呼吸をしてみましょう。
お腹に力が入り横隔膜が支えられることで、安定した声量をキープできるようになります。
腹式呼吸が上手くできない場合は、横になると自然に腹式呼吸になるので、これで感覚を掴みましょう。
鼻腔共鳴
次に、鼻歌を歌って鼻腔共鳴の感覚を掴みます。
鼻歌はハミングとも呼ばれ、口を閉じて発声します。
- まずは口から地声を出す感覚でハミング。
- 今度は、腹式呼吸で声を頭から出す感じで強めに発声する。
- 喉から鼻の奥を通って、頭に音が響き抜けていく感覚を意識する。
ハミングでキレイに音が出せるようになったら、徐々に口からの発声に切り替えていきましょう。
また、ミックスボイスは裏声がうまく出せることが前提となります。
ハミングで掴んだ鼻腔共鳴を意識しながら、高音を発声してみてください。
最初は地声から始めて、徐々に音を上げていくと声の質・響き方が変化し裏声になるのがわかりやすいでしょう。
喉を開く
喉と声帯の使い方も、大切なポイントです。
ミックスボイスを出すときは喉が開き、声帯が閉じている状態になっていなければなりません。
つまり、喉と声帯は全く違うものなのです。
まず、喉が開いた状態を掴みましょう。
そのためにはあくびをしてみてください。あくびをすると舌の根が下がり、自然と喉が開くからです。
これを意識的に行えるようになると、喉を開いた状態での発声が可能となります。
声帯閉鎖
続いて声帯閉鎖の感覚を知りましょう。
寒い日、手に息を吹きかけるように数秒間息を吐いてください。
この吐き方がなじんだら、アーと声を混ぜます。
この混ぜた瞬間、喉が震えるのがわかるでしょう。
これが声帯を閉じたときの感覚です。
- アーと声を出して瞬間的に息を止める
※このとき声帯は閉まっています - そこから再び息を吐くと、声帯が開いた感じがする
これを何回か繰り返すことで、声帯を開閉する感覚が掴め、コントロールできるようになります。
すると、歌によって声色を変化させることもできるようになるのです。
まとめ
腹式呼吸で出した裏声を鼻腔共鳴、喉を開いて、声帯を閉じると、まるで地声のような力強い高音、ミックスボイスが出せるようになります。
一気にトレーニング方法を説明したので難しく感じるかもしれませんが、段階的に鍛えることで誰でもミックスボイスを習得できますよ。
トレーニングCD付きのボイトレ本を参考にしたり、ボーカルレッスンに通ったりするのもおすすめです。
ミックスボイスが上手な歌手と代表曲3選【男性編】
プロの歌を聴くことも、練習やモチベーションアップに最適。ここからは、ミックスボイスが上手いアーティストとそのテクニックが活きている楽曲をご紹介していきます。
まずは、男性におすすめの楽曲です。ぜひ課題曲に設定してみてくださいね。
スピッツ|空も飛べるはず
君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
ロックバンド、スピッツの代表曲のひとつ。
1994年にリリースされたこの楽曲は、ドラマやCMなどに起用されたこともあり幅広い世代に知られています。
ボーカル・草野マサムネさんの歌声の特徴は、柔らかい高音と、地声からミックスボイスへ切り替わる喚声点が自然なことといえるのではないでしょうか。
『空も飛べるはず』も同様に、程良く力の抜けた、滑らかな歌唱が魅力的ですね。
T.M.Revolution|WHITE BREATH
凍えそうな季節に君は
愛をどーこー云うの?
西川貴教さんのソロプロジェクト、T.M.Revolutionの6枚目のシングル曲です。
疾走感と勢いが心地良く、カラオケで歌えば盛り上がること必至。
西川貴教さんの歌声の魅力といえば、なんといってもそのパワフルさと声量。力強く歌うことがポイントです。
サビはほぼ高音。迫力を出すにはミックスボイスが重要です。
Alexandros|ワタリドリ
追いかけて 届くよう
僕等 一心に 羽ばたいて
問いかけて 嘆いた夜
故郷は 一層 輝いて
新しい時代を感じさせるロックバンド、Alexandrosのヒットソングです。
2014年までは、champagneというバンド名で活動していました。
曲の序盤は比較的穏やかなのですが、サビになった途端、高音の連発になります。
裏声最高音はhiE、地声想定の最高音はhiDとなるため、ミックスボイスを使用せずに歌うことは至難の技でしょう。
地声とは音質の違う裏声だらけにならず、ミックスボイスならではの強い歌声で歌いこなせるようになれば、歌うまに思われること間違いなしです。
ミックスボイスが上手な歌手と代表曲3選【女性編】
続いては、女性歌手です。
女性の声は男性と比較すると元々高いですが、ミックスボイスを使うことでより高い音域も力強く歌うことが可能になりますよ。
Superfly|愛をこめて花束を
愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでよね
今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて
照れていないで
音楽ユニット、Superflyの代表曲。
YouTubeにアップロードされているミュージックビデオの再生回数は、1.2億回を超えています。
ボーカルの越智志帆さんの歌唱力の高さは折り紙付き。
パワフルな声量やハイトーンは、お手本にしたくなることでしょう。
ミックスボイスもとても上手く、キレイに響いています。
気持ちの良い高音とはこういうものだと感じられる名曲です。
平原綾香|Jupiter
私の この両手で
何ができるの?
痛みに触れさせて
そっと目を閉じて
シンガーソングライターでありサックス奏者でもある、平原綾香さんのデビュー曲です。
ホルスト作の管弦楽組曲、『惑星』の中のひとつである『木星』に日本語歌詞をつけたもので、さまざまなタイアップを経て有名になりました。
ゆったりとしたテンポで、ロングトーンの部分も多いため、息遣いのバランス調整が重要なポイントになります。
ミックスボイスも太く奥行きがあり、しっかりと響いていますね。
一青窈|もらい泣き
ええいああ 君から「もらい泣き」
ほろり・ほろり ふたりぼっち
ええいああ 僕にも「もらい泣き」
やさしい・の・は 誰です
台湾出身の歌手、一青窈さんの代表曲です。独特の世界観で綴られる歌詞と、どこか民族的な曲調、一青窈さんの美しい歌声がマッチしていて気持ちが良いですね。
ミックスボイスだけではなく、ファルセットも多用しているため非常に難易度の高い楽曲。ハイトーンをキレイに発声するのはもちろん、曲の表情を作る節回しもポイントです。
ミックスボイスが上手な歌手と代表曲3選【洋楽編】
最後に、洋楽のミックスボイスが上手なアーティストをご紹介します。
Whitney Housuton|I Will Always Love You
And I will always love you
Will always love you
You, my darling, you, mm…
歌手や女優として活躍しているアメリカのスーパースター、ホイットニーヒューストンさんによるカバーソング。
原曲は、1974年にシングルとして発表されたカントリーミュージックです。
ドラマティックな曲の展開と、彼女の圧倒的な歌唱力に聴き入ってしまうはず。
太くやや低めの音域と、強く突きぬけるようなミックスボイス、美しいファルセットを使い分けて、表情豊かに歌い上げています。
Queen|Bohemian Rhapsody
So you think you can stone me
and spit in my eye
So you think you can love me
and leave me to die
イギリスの伝説的ロックバンド、クイーンの代表曲のひとつです。
ボーカルのフレディ・マーキュリーさんの生涯を描いた同名の映画も話題となりました。
アカペラから始まり、オペラやハードロックといったさまざまなテイストが盛り込まれている、何度聴いても飽きない不朽の名曲です。
そして曲の展開に負けない、フレディ・マーキュリーさんの歌唱力もポイント。
自由自在なミックスボイスなどを活かしながら、表情豊かに歌声を使い分けています。
SAM SMITH|Writing’s On The Wall
How do I live? How do I breathe?
When you’re not here I’m suffocating
I want to feel love, run through my blood
イギリスのシンガーソングライター、サム・スミスさんの楽曲です。
2015年に公開された映画「007 スペクター」の主題歌としても有名。しっとりとした、美しく上品なバラードです。
高音を多用しているため、歌いこなすのは至難の業といえるでしょう。
深みのあるミドルボイス、繊細なハイトーンボイス、魅力的な大人の男を感じさせるムードは、目標にしたくなりますね。
ミックスボイスをマスターすれば歌手のようにうまく歌える
プロのシンガーたちも多用する発声法、ミックスボイス。
習得することでカラオケの採点で高得点を狙えるだけではなく、自分が出せる音域が広がるので歌える曲も増やせますよ。
発声練習などのトレーニングは必要ですが、誰でも身につけることができるので、ぜひ挑戦してみてください。
カラオケで「歌手みたい!」と言われることも夢ではないですよ。
この記事のまとめ!
- ミックスボイスを身につければ喉への負担が減る
- 歌唱力が上がり、歌える曲も増える
- 段階的な練習で誰でも習得可能