日本を代表するシンガーソングライター、浜田省吾の名曲を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
切ないながらもリアルな温度をもった彼のバラード曲と熱い思いが湧き上がるロックは、ファンを魅了し続けています。
音楽誌に掲載されることはあるものの情報が少ないがゆえにイメージで語られることの多い浜田省吾ですが、その作品は現在においても多くのシンガーに影響を与えています。
この記事でわかること
浜田省吾といえばロック曲!熱い思いが湧き上がるナンバー
80年代ロックを代表する存在としても知られる浜田省吾。
その力強いメッセージ性は現代の私たちの心にも強く響きます。
まずはロックミュージシャン浜省の王道ナンバーのリストをみていきましょう。
J-BOY
社会に出た全ての人に響く歌詞です。
誰もが理想と現実の落差に苦しみ、ぎりぎりのところで生きている辛さ。
個人的な思いのようでもあり、J.BOY =Japanease Boyと主語が大きなことから、日本の過酷な労働環境への皮肉のようでもあります。
非常に現代的な感覚ですが、この曲が発表されたのは1986年、日本は好景気真っただ中で浮かれていた頃です。
そんな時代のなかでこのような歌を作った浜省の感性の鋭さには驚いてしまいます。
14年半ぶりにオリコン首位を獲得した浜田省吾ベストアルバム『The History of Shogo Hamada “Since1975″』にも他名曲とともに収録されています。
自身の発売したアルバムランキングでもNo.1の売り上げを記録しました。
終わりなき疾走
浜田省吾のロックンローラーとしての地位を確固たるものにした、1980年発売のアルバム
『HOME BOUND』に収録されています。
軽快なイントロで始まる爽快なロックチューン。
サクセスストーリーの夢のあとを歌ったものでありながら、どこか明るささえ感じられる曲です。
MONEY
浜田省吾の曲のおすすめカラオケランキングでも常に上位に入る人気の作品。
「金さえあれば!」という気持ち率直に歌っているようで、実際には逆説的に批判しているアイロニカルな曲です。
兄弟も恋人も、そして自分自身も金に狂わされていく。
そんな悲劇的でもあり喜劇的でもある「金」をめぐる人々の欲望が描かれたこの楽曲は、非常に味わい深いものがあります。
愛の世代の前に
タイトルから恋愛を歌ったもののような印象を受けますが、「愛の世代」とは核のない世界を指します。
つまり現在は「愛の世代の前」、核が廃絶されていない世界ということになります。
浜田省吾の平和へ強い祈りが込められた曲です。
ラストショー
サビの部分がとても印象的な切ない失恋ソングです。
ひとつの物語を終えるように幕をとじるふたりの恋模様が、美しくも哀しい歌詞で描かれています。
ファンの間でも非常に人気の高い曲です。
浜田省吾の片思い・失恋・切ない恋を歌ったバラード曲
切ない片想いや破れた恋、愛の終わりを浜田省吾は多く歌っています。
切ないながらもリアルな温度をもった彼の失恋ソングは、誰もが感情移入してしまい繰り返し聴きたくなる中毒性をもっています。
片思い
タイトルどおりの一方通行な想いが、切ないメロディにのせられた曲。
叶わない恋への諦めと執着というアンビバレントな気持ちが見事に表現されています。
他の曲と比べると地味な印象ではありますが、間違いなく名曲のひとつといえるでしょう。
丘の上の愛
ストーリー性のある短編小説のような曲です。
お金と愛に引き裂かれてしまった女性の悲劇を、彼女を想う第三者の視点で描いています。
愛という名のもとに
1992年に放送された同名ドラマの挿入歌としても知られる、人気の高い曲です。
「愛」という名のもとになくしたのは、いったい何だったのか考えさせられます。
いつわりの日々
柔らかな曲調に反して、消えゆく愛の空虚さが歌われています。
浜田省吾というソングライターは、全て終わった後に残された愛の欠片を拾い上げるのが非常にうまいですが、本作もその詩人としての才能がいかんなく発揮されています。
陽のあたる場所
ギターの音色が際立つバラード曲です。
心地よいサウンドにのせられた歌詞は、よくよく聴くと男性のずるさが表れています。
しかし、そのずるさまでもを描写する説得力が多くの人の共感を呼んでいるのかもしれません。
浜田省吾の愛する人への思いに胸が熱くなる曲
浜省といえばラブソング!という人もいるほど、彼の恋愛を歌ったものには名曲がとても多いです。
例えば浜田省吾の歌詞一覧リストを見たり、歌詞検索をかけてみるとかなりの割合で「愛」という言葉を使用していることがわかります。
これは彼が「愛」を自身の曲世界のなかで重要視しているからに他なりません。
彼の歌のなかでは、誰もが一度は感じた胸の痛みを見つけることになるでしょう。
君に会うまでは
1977年発売の『LOVE TRAIN』収録曲です。
恋人に語り掛けるような優しさあふれるナンバーで、今でも人気が高いです。
後のアルバム『Sand Castle』にリメイク版が収録されており、別アレンジも聴くことができます。
斉藤和義やつるの武士によってカバーもされています。
いつかもうすぐ
1960年代人気を集めたカナダのフォークデュオ「イアン&シルビア」の『SOMEDAY SOON』が原曲です。
日本語の訳詞は浜田省吾自身の手によるもので、彼がこの曲に非常に惚れ込んでいたことがうかがえます。
カバー曲ではあるのですが、浜省の歌声とメロディがとてもマッチした作品に仕上がっています。
散歩道
ケンカをしたり仲直りをしたり、恋人との何気ない日常を切り取っています。
主人公の「僕」は「あの娘」にセーターも買ってあげられないような日々を過ごしてはいますが、黄昏に肩を寄せ合ってお互いを想っている…
どことなくノスタルジックな感じのする曲です。
君の微笑
こちらの曲もアルバム『LOVE TRAIN』に収録されています。
初々しい恋の始まりから、徐々にすれ違っていく恋人たちの歌です。
浜田省吾のラブソングには、男性の夢と女性の現実が少しづつ嚙み合わなくなっていく描写がとても多いです。
しかしそれでも愛を捨てることができない、という切なさまでを歌うところが浜省の魅力です。
星の指輪
1993年のアルバム『その永遠の一秒に』収録曲です。
日本のラブソングにはあまり見られない夫婦愛をテーマにしています。
恋愛は結婚したらゴールのような風潮もありますが、実際はその後も生活が続きます。
結婚後の夫婦だって愛情はあるはずで、子どもがいても歳を取ってもそれは恋だよ、という浜田省吾の恋愛観が垣間見えるような曲です。
「家族」をテーマにした目頭の熱くなるナンバー
浜田省吾は家族をテーマにした曲も多く手掛けています。
若き頃の自分と家族の関係から、結婚してからの家族とのことまで、さまざまな形の家族が描かれた曲たち。
聴けば誰もがきっと目頭を熱くするでしょう。
生まれたところを遠く離れて
浜田省吾の同名ソロデビューアルバムに収録。
アコースティックギターの演奏に乗せたリリカルな歌詞が胸に沁みます。
ブルース的曲調で弾き語られる若者の上京と挫折は、当時のデビューまもない浜省の心情とも重なってみえます。
花火
2005年のアルバム『MY FIRST LOVE』に収録。
家族を置いて家を出てしまった男性の、消えない罪の意識を歌っています。
何度も「すぐに帰るつもりで」と繰り返していることから、自身の選択をいまだに後悔している様子はうかがえますが、現在の彼がどうしているのかについてははっきりした描写がありません。
「はぐれないように指と指をからませて」いたのは誰と誰なのか、どの視点での語りなのか。
聴く人によってさまざまな解釈のできる少し意味深な作品です。
I am a Father
アッパーな曲調が心地よいテンションの上がりそうなロックチューンです。
PVには時任三郎を起用し、見ごたえのあるものとなっています。
主人公は平凡な、おそらくどこにでもいる普通の父親。
しかしそんな彼らにも守りたいものはあって、毎日をがむしゃらに過ごしています。
そんな日本の父親たちへ贈る浜省なりの応援歌です。
BS12で放送されている「ザ・カセットテープ・ミュージック」のなかで、マキタスポーツとスージー鈴木が父親を称える名曲として紹介しました。
君に捧げる love song
2003年にシングルリリースされた、配偶者との別離をテーマにした曲です。
さまざまな別れを描いてきた浜田省吾ですが、その集大成ともいえる永遠の別れを歌っています。
この曲の世界観にぴったりな愛妻を、女優の石田ゆり子が演じているPVも必見です。
夢のつづき
2015年公開、重松清原作の映画『アゲイン 28年目の甲子園』の主題歌としても知られている曲です。
独立していく子どもたちへの親心が優しい歌詞で綴られています。
人生の一番のピークではなく、その後をも歌う浜田省吾の歌の世界は、あらゆる立場の人たちへの温かさにあふれています。
人生に迷ったり辛いときに力をくれるナンバー
夢や挫折を一貫して歌い続けてきた浜田省吾。
そんな彼の作品は辛い時、迷った時の応援歌となります。
悲しみに暮れた時、寄り添い励ましてくれるようなその力強い歌声は、次へと進む勇気を与えてくれるでしょう。
路地裏の少年
この浜田省吾デビューシングル『路地裏の少年』が発売されたのは1976年、彼が23歳の時でした。
若者のもがきと挫折という、その後も彼の歌のなかでテーマとなっていくものが自叙伝的に表現されています。
彼の歌のなかでは「街」を出ていくという内容のものが非常に多いことで知られています。
この歌の「少年」も街を出ていくプロトタイプの主人公といえるでしょう。
実はこの作品には完全版が存在します。
歌詞が加筆されたそのバージョンは10枚目のアルバム『J.BOY 』で聴くことができます。
君が人生の時
同名のアルバムのラストを飾るしっとりとした曲調のバラードです。
どんな人生でも主役は自分だと、だれのものでもない尊いものだと語り掛けてくれるようなこの歌は、きっと心の応援歌になるでしょう。
Midnight Blue Train
1978年リリースの「ILLUMINATION」に収録された現在でも非常に人気の曲です。
この歌のブルートレインとは、昭和31年に登場した九州ー東京を結ぶ寝台列車のことを指します。
様々な交通網が発達した現代において、寝台列車というものはノスタルジーの記号的存在になってしまいましたが、発表当時の78年頃はまだまだ重宝される存在でした。
がむしゃらに人々の思いを乗せて走る青い列車に、浜省も生きざまを重ねていたのかしれません。
家路
1980年発売の『HOME BOUND』収録。
前述の『Midnight Blue Train』が迷いながらもがむしゃらに進んでいたのに対し、『家路』の歌詞の主人公は向かうべき確固たる場所に気付いているようです。
まさに自分の「HOME」を定めた決意を感じる曲です。
日はまた昇る
ヘミングウェイを思わせるタイトルがつけられています。
1998年『詩人の鐘』との両A面シングルとしてリリースされました。
「おれがそこにいようといまいと」というフレーズは諦念のようにも受け取れますが、誰であっても平等に人生が与えられるという一種の悟りと希望も感じられます。
浜田省吾の名曲はさまざまなシーンで心を揺さぶる
だれもが人生において、悩み、愛し、別れを経験します。
そんな時、浜省の歌声はきっと私たちを励ましてくれるでしょう。
多くの楽曲をもつ彼ですが、一貫してその目線は人生への優しさにあふれています。
ラブ&ピース、皆が望むものながらあまりにまっすぐ過ぎて口に出せないことを、誰よりも誠実に歌い続ける、それが浜田省吾というソングライターです。
アーティスト浜田省吾に興味を持ったならまずはYouTubeの公式チャンネルがおすすめです。
代表曲やライブ映像作品、映像コンテンツがいくつか公式で配信されていて、気になった浜省ナンバーを試聴できます。
ぜひ検索してみてください。
マイ ベストソングが見つかるかもしれません。
また、浜田省吾はオーディエンスとの直接の触れ合いを大切にしていることでも知られています。
60歳を過ぎた現在も精力的にアリーナツアーやコンサートツアー、ファンクラブイベントなどの公演開催・ライブ活動を積極的に行っています。
ファンクラブ限定コンサート「100% FAN FUN FAN 2018 “Welcome back to The 70’s”」や海外人道支援チャリティーライブ、東日本大震災・被災地復興支援コンサートは、その最たるものと言えるでしょう。
浜田省吾はオリジナルアルバムにも力を入れています。
2015年に発売された「Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター」の完全生産限定盤にはアコースティックバージョン・リミックスバージョンなどのボーナストラックが収録されています。ファンを飽きさせない努力を惜しまないのです。
このアルバムを引っ提げての全国ホールツアーではアルバム曲を全曲披露し観客を魅了しました。
最新情報も公式サイトページで確認できます。
彼の歌声を生で聴きたくなったなら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
この記事のまとめ!
- 80年代の日本のロックシーンを語るに絶対外せない存在
- 浜田省吾は多くのアーティストに影響を与えた
- 恋愛ソングから平和を願ううたまで、幅広い種類の曲を制作している
- 日本語を大切にしたストーリー性の高い歌詞は、ファンの心をとらえて離さない