ギターはピッキングの細かい動きが難しくて挫折してしまう初心者は多いです。
そんなピック演奏にはいくつかの種類があり、その中に「オルタネイトピッキング」という演奏方法があります。
この演奏方法を習得することで、楽に演奏をすることができますよ。
この記事のもくじ
オルタネイトピッキングとは?
「オルタネイトピッキング」とは、ピックを下方向に振って弦を弾く「ダウンピッキング」と、上方向に動かす「アップピッキング」を交互に繰り返す奏法です。
エレキベース(ピック弾き)やエレキギター、アコギの基本テクニックで、ストロークがメインの場合は「オルタネイトストローク」と呼ばれることもあります。
ダウン・アップ単体と比べるとスムーズな演奏が可能で、慣れてくればスピーディなフレーズにも楽に対応できるようになります。
テンポの遅い曲にも使えるほか、この奏法を応用したテクニックもたくさんあるので、ピックを使って演奏するなら覚えておきましょう。
空ピッキング
「空ピッキング」とは、わざと弦に触れずにピックを空振りする動きのことです。
オルタネイトピッキングの動きの中に取り入れられることが多いテクニックで、主にフレーズ内に登場する「休符」を感じるために使われます。
また、4分音符以上の少し長めの音符や、付点の付いた音符の長さをしっかり感じたいときにも使われます。
ポップスやロックはもちろん、ファンクやメタルでも必須の基本テクニックなので、オルタネイトピッキングと一緒に練習して、空ピッキングの感覚を覚えましょう。
オルタネイトピッキングの必要性
オルタネイトピッキングはギタリストにとって必須のテクニックです。
左手は弦を抑えたり弦移動があったりするため、重視されやすいですが、右手も同じくらい重要な役割を持っています。
次はオルタネイトピッキングの必要性について紹介しましょう。
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幅広いフレーズに対応できる
オルタネイトピックングが多くのギタリストから必要とされているのは、幅広いフレーズに対応できることが理由です。
長い音符が中心のメロディアスなフレーズやコードストロークが安定して弾けるのはもちろん、速いフレーズも最小限の動きで弾くことができます。
慣れてくれば、上下の移動が多いコードトーン中心のフレーズやアルペジオに対応できるのもポイント。
汎用性が高く、使い勝手も抜群なオルタネイトピッキングは、基本のピッキングとして親しまれ続けています。
リズムキープが楽になる
長さの違う音符が並んだフレーズや、休符の混ざったフレーズでも、比較的簡単にリズムキープできるのもオルタネイトピッキングのメリットです。
空ピッキングを使う必要がありますが、8分音符が中心のフレーズ、もしくは8ビートの曲なら8分音符のスピードで。
16分音符が中心のフレーズで、16ビートの曲なら16分音符のスピードで腕を振れば、譜割りが少し難しい曲も安定したリズムで弾けます。
楽譜を読むときにも活躍するので、これから色々な曲を弾きたいと思っている人はマスターしておく必要があるでしょう。
応用テクニックの習得に役立つ
応用テクニックの習得に役立つのも、オルタネイトピッキングが必要な理由の1つといえるでしょう。
現代の音楽で使われている多くの応用テクニックは、オルタネイトピッキングを発展させたものです。
速弾きフレーズで良く使われる「フルピッキング」、弦を1本以上飛ばして弾く「スキッピング」はオルタネイトの動きをそのまま使っています。
また、半拍3連や32分音符を取り入れたカッティング、3連符のバッキングのような変則的なリズムプレイも、オルタネイトの動きをベースに組み立てられているのです。
求められる速さ、精度などはテクニックごとに違いますが、基本となるオルタネイトピッキングをマスターしているだけでも、格段に習得しやすくなるでしょう。
オルタネイトピッキングの練習のコツ
オルタネイトピッキングはダウン・アップの両方を使うことでリズムがぶれたり、音量がバラバラになったりすることもあるため、初心者が最初につまずくポイントとして知られています。
ここからは、オルタネイトピッキング習得に効果的な練習方法を解説していきます。
まずは右手だけで練習する
初めから左手でコードを押さえながら右手でピッキングの練習すると、混乱してしまいやすいです。
初心者の人は、まずは右手だけで練習してみましょう。
ダウン・アップをひたすら繰り返しながら、右手の動きをしっかりと体に叩き込むことが大切です。
メトロノームを使う
オルタネイトピッキングは右手のリズムが重要なので、練習ではメトロノームを使用しましょう。
一定のテンポで右手を動かし続けることで、リズムが安定するようになります。
市販のメトロノームやスマートフォンアプリのメトロノームを使い、初めはゆっくめのBPM80程度に設定し、遅いテンポから始めてみましょう。
人差し指で弾くイメージを持つ
初心者はアップピッキングに難しさを感じることが多いでしょう。
アップピッキングのコツは「人差し指で弾くイメージを持つ」ことです。
ダウンピッキングでは力を入れるのが親指側なのに対し、アップピッキングは人差し指側に力が必要になります。
アップピッキングが上手くいかない場合は、人差し指の位置や力の入れ具合に注意して練習してみましょう。
弦移動のピッキング
右手の練習で最も難しいのは弦移動のピッキングです。
6弦をダウン、5弦をアップで弾く場合は、2本の弦の外側をピッキングすることになるので「アウトサイド・ピッキング」。
弦の内側を弾くことを「インサイド・ピッキング」といいます。
このふたつを習得すれば難しいフレーズにも対応することができるので、ピックの軌道を頭で理解しながら繰り返し練習しましょう。
同じ音量をキープする
アップ・ダウンそれぞれのピッキングで音量がばらばらだと、粒の揃っていない聴きづらい演奏になってしまいます。
右手の振り幅や力の入り具合などに注意して、音量をキープすることを意識するのがポイント。
左手でミュートをする「ブラッシング」という奏法を使い、しっかりと右手を大きく等間隔に動かしながら、音量を揃える練習をしましょう。
オルタネイトピッキングの練習フレーズ
オルタネイトピッキングの練習のコツを覚えたら、次は実際に練習フレーズで演奏してみましょう。
もちろん好きな曲を使って練習しても良いですが、練習フレーズならポイントに絞った練習ができるので、より効率良く練習を進められますよ。
次はオルタネイトピッキングの練習におすすめのフレーズを5つ紹介します。
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開放弦を使った右手練習
オルタネイトピッキングの基本動作を覚えたい人におすすめなのが、こちらの開放弦を使ったフレーズです。
左手を使わないシンプルなフレーズで、1弦から6弦に向かって4回ずつピッキングする構成になっています。
最初はメトロノームなしで練習し、動きを身体に覚えさせていくのがおすすめ。
慣れてきたらメトロノームを使う練習に移行して、右手をリズム通りに動かす感覚を鍛えていきましょう。
基本のクロマチックフレーズ
オルタネイトピッキングの右手の動きに慣れてきたら、次は上記の練習フレーズを使って右手と左手の動きとシンクロさせていきましょう。
こちらは1本の弦を使ったシンプルなクロマチックフレーズで、オルタネイトの練習はもちろん、運指の練習にも良く使われます。
演奏のポイントは、弦を押さえるのと同時にピッキングすること。
タイミングがずれるとキレイな音が出ないので、慣れるまでは遅めのテンポで1音1音丁寧に弾く意識を持って練習すると良いでしょう。
1弦だけを使ったフレーズに慣れたら、こちらの弦移動を交えたフレーズもおすすめ。
上下の移動が加わっているため難易度も上がっていますが、これまでのフレーズをマスターしているならスムーズに弾けるはずなので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
縦移動のトレーニングにおすすめのアルペジオフレーズ
基本の動きに慣れてきたら、次は縦移動のオルタネイトピッキングの練習にピッタリのこちらのフレーズに挑戦してみましょう。
クロマチックと比べると複雑に見えますが、基本的なコードを1音ずつ弾いているだけなので、基本的なコードを覚えている人なら問題なく押さえられるはず。
ピッキングの難易度は少し高めですが、正確に弦を弾く練習や遅めのテンポで弾く練習を積み重ねていくと安定して弾けるようになります。
また、コードチェンジが難しいなら、鳴らすタイミングに合わせて1本ずつ押さえていくとスムーズに弾けるので試してみてくださいね。
空ピッキングを交えたアルペジオフレーズ
基本的な練習フレーズをマスターした人には、空ピッキングと縦移動を取り入れたこちらのフレーズがおすすめ。
オルタネイトピッキング中心で演奏するアルペジオフレーズで「(Π)(V)」のように、カッコ内にあるものは空ピッキングで演奏します。
登場するコードは基本的なものばかりですが、アクセントの位置を変える「シンコペーション」や4分音符が登場するのでリズム的な難易度は大幅に上がっています。
8分音符のノリを意識しつつ、空ピッキングをしっかりと入れていけば弾けるようになるので、焦らずに練習に少しずつ練習してみましょう。
オルタネイトピッキングが引っかかる原因
オルタネイトピッキングをするときにピックが引っかかってしまい「歯切れの悪い音になる…」という初心者の方も多いのではないでしょうか?
この「引っかかり」は、ピックの使い方(フォーム)と弦の抵抗が原因になっていることが多いです。
しかし「使い方」や「抵抗」と聞いても、なかなかイメージできませんよね。
そこで最後に、オルタネイトピッキングが引っかかる原因を解説します。
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ピックが深すぎる
ピッキングをする時にピックの先端部分を弦に深く入れすぎると、弦に引っかかりやすくなってしまい、上手く弾くことができません。
使用しているピックにもよりますが、右手が引っかかってしまう場合はピックのどの部分が弦と触れているかを確認してみましょう。
ベストな深さは弾き方や好みにもよりますが、アルペジオや単音弾きなら先端から2mmほどの場所がおすすめ。
コードストロークなら先端から5mm以下を目安にしてみると、ピックを振り抜きやすくなるでしょう。
ピックの角度が悪い
ピックの角度も、オルタネイトピッキングが引っかかる原因となります。
こちらも出したい音やスタイルによって変わりますが、とにかく引っかかりを減らしたいなら、親指がやや下方向を向く「順アングル」がおすすめ。
ピックの向きが斜めになり、弦との抵抗も減るため多少強めに弾いてもスムーズに弦の上を通過してくれます。
あまりにも角度をつけすぎるとノイズの多い音になってしまうので、できればピックと弦の角度は45度以内を意識しましょう。
力みすぎている
引っかかるのに加え、ピッキングしたときに「ピックが上下に動く」、もしくは「ピックが弦に負ける感覚」がない場合は、力みすぎが原因でしょう。
ピックは本来、指で押すと軽く動くほどの強さで持つものです。
力みすぎてしまうと力の逃げ場所がないため、弦との摩擦も強くなり、引っ掛かりを感じやすくなります。
音の粒や音量も揃いにくくなるので、力みすぎている人は普段よりも力を抜き、ピックが弦に負ける余裕を作ってあげるようにしましょう。
ピックの軌道が悪い
色々と工夫してみてもオルタネイトピッキングが引っかかる人は、ピックの軌道が悪いのかもしれません。
弦が垂直に並んでいるため、ピックもボディと平行の軌道で当てたくなってしまいます。
しかし、このような軌道ではピックの平らな面が当たったり、深く当たったりしてしまうと、弦の抵抗が強すぎて引っかかりを感じてしまいます。
この症状に心当たりがある場合は、ピッキングの軌道を若干斜め、ボディと平行ではない動きに調節して弦との抵抗を減らしてあげましょう。
軌道はスタイルや好みでも変わりますが、まずはダウンピッキングの軌道がボディ側に向かい、アップの軌道がボディから離れる、定番の軌道を試してみるのがおすすめです。
オルタネイトピッキングができるとリズムが安定し表現の幅が広がる!初めは一音一音ゆっくり練習しよう
オルタネイトピッキングはギターを弾く時にとても重要なテクニックです。
習得することでリズムも安定し、表現の幅も広がります。
初心者はまずメトロノームなどを使って右手だけで練習をし、しっかりとリズムをキープできるように、ゆっくりと練習するのがおすすめです。
力まず柔軟なオルタネイトピッキングと、力強いダウンピッキングを駆使して、幅広いジャンルに対応できるギタリストを目指しましょう。
この記事のまとめ!
- オルタネイトピッキングはダウンピッキングとアップピッキングを交互に行う奏法
- オルタネイトピッキングは速いテンポや複雑なリズムにも対応できる
- まずは右手だけで練習して一定のテンポ・音量で弾けるようになろう
- ピッキングが引っかかる原因はピックの深さ・角度・力の入り具合などがある