ポップスやジャズ、フュージョンの必須音階として有名なドリアンスケール。
しかし、構成する音や使い方が分からないので、練習すべきか迷っているという人も多いのではないでしょうか?
実はシンプルな音階で、基本さえ押さえておけば使いこなせるようになりますよ。
この記事のもくじ
ドリアンスケールとは
ドリアンスケールとは♭3度を含む、マイナースケールの1種です。
音の並びは上の図の通りでルート、2度、♭3度、4度、5度、6度、♭7度とメジャースケールを第2音から弾き始めたときと同じ間隔になっています。
ナチュラルマイナースケール(エオリアンスケール)の6度、Cで考えるとA音を半音上げた構造になっており、響きも違った雰囲気になっているのが特徴。
使用頻度が高くユニークな雰囲気を演出できるので、多くのミュージシャンが使っています。
はじめに、このユニークな響きが魅力的なドリアンスケールの特徴を紹介します。
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ドリアンスケールの雰囲気と特徴
ドリアンスケールはメジャースケールや、ナチュラルマイナーと共通点が多い音階です。
しかし、他のスケールにはない雰囲気や特徴を持っており、この2つを理解しておくと演奏や作曲の幅も広げることができます。
構成音の次は、ドリアンスケールの雰囲気や特徴を紹介するので、他の音階と比較したりコードと一緒に弾いたりしながら確認してみてくださいね。
ジャズ感
ドリアンスケールはジャズ感のある、クールで少し浮遊感のある雰囲気を持っているのが特徴です。
イメージは人によっても違いますが、マイナー感を出す音が減っているため暗さのなかにもメジャーな明るさが混ざった響きになっています。
ジャズはもちろん、落ち着いた雰囲気のファンクやR&B、フュージョンなど色々なジャンルで使えるスケールです。
6度の音が特徴音
ドリアンスケールの特徴音は6度の音です。
特徴音とはスケールの雰囲気を強く演出する音を指す言葉で、使うときに特徴音を多めに入れると上手くスケール感が出せます。
逆にこの6度の音を弾かないとマイナースケールと同じ響きになってしまうため、意識して使うようにしましょう。
加えて2度の音、CドリアンスケールであればD音も一緒に使ってあげると、より雰囲気を出しやすくなるので、ぜひ試してみてくださいね。
6度の音がアボイドノート
アボイドノートとは、コートーンと一緒に鳴らすと不協な響きをするスケール内の音のことです。
ドリアンスケールは♭3度の音とぶつかる6度がアボイドノートとなっており、マイナーコード上で弾くとマイナー感が弱くなってしまいます。
しかし、6度が特徴音であるほか、マイナー感を薄くしたい場面で使われることが多いため、気にせずに弾いてしまっても問題ありません。
もちろん、曲の雰囲気や歌のメロディライン、演奏内容によっては不協和音になる場合もあるので、演奏前に楽譜の確認やメンバーとの打ち合わせをしておきましょう。
ドリアンスケールの使い方
ドリアンスケールは構成音に1stと♭3rd、5th、♭7thを含むため、Aマイナー7thやCマイナーといったマイナー系のコードと相性が良いです。
しかし、基本的な使い方を知らずに使ってしまうと、歌や他の楽器と音がぶつかってしまう場合もあるため注意しましょう。
次は、ドリアンスケールの基本的な使い方を紹介するので、ぜひ演奏や作曲の参考にしてみてくださいね。
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ダイアトニックコード上のⅡm7
ダイアトニックコード上のⅡm7は、ドリアンスケールを使いやすいコードです。
もともと、キーに対応したメジャースケールの第2音から始めた音階で、Ⅱm7も2度をルートとした音階であるため、どの構成音を弾いてもキーと調和した響きになるのが特徴。
Dm7→G7→CMaj7というダイアトニックコードを使った進行であれば、Cメジャースケールを弾き続けるだけで、自動的にDm7上でドリアンスケールになります。
独特な雰囲気は出ませんが、コードとモード系の音階との関係を学ぶのにピッタリのコードです。
サブドミナントマイナーコード
ドリアンスケールを良く使うコードとして有名なのが、サブドミナントマイナーコードです。
サブドミナントマイナーとはダイアトニックコードに含まれるⅣ度のメジャーコードをⅣmやⅣm7に変化させたもので、曲の雰囲気をピンポイントで変えたいときに使われます。
本来、ドリアンスケールはサブドミナントの役割を持つⅡm7に対応する音階であるため、サブドミナントマイナーコードのサウンドにも上手くマッチしますよ。
また、7thコードの前に挿入される「リレーテッドⅡm7」にも使えるなど、ダイアトニック外の音を含む、少し不安定な響きのマイナーコードに使うことを覚えておくと良いでしょう。
トニックのIm7コード
フュージョンやモードジャズの雰囲気が好きという人におすすめなのが、トニックのⅠm7が4小節以上続いている場面でドリアンスケールを弾くという使い方です。
ノンダイアトニックな音を含むため浮遊感のある響きになり、落ち着きのあるおしゃれなフレージングができます。
曲のキーの印象や安定感が薄くなってしまうため合わない曲もありますが、手軽にドリアンスケールの響きを楽しめる手法です。
コードに対して同じ属性で、違う響き持つ音階を弾くという、モードの基本的な考え方も学べるので気になる人は挑戦してみてくださいね。
ドリアンスケールの覚え方
特徴や使い方を把握したら、次はドリアンスケールの音の位置や響きを覚えていきましょう。
最終的には素早く弾けるようになる必要がありますが、はじめは他の音階と関連付けながら覚えるのがおすすめです。
他の音階と関連付けておけば、演奏も楽になるほか、音階の選択肢も増えるのでサウンドの幅も広げやすくなりますよ。
次は、他の音階と関連付けたドリアンスケールの覚え方を紹介します。
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全音下のメジャースケールを2度から弾く
ドリアンスケールはメジャースケールを2度から始めた音階で、音の構成も全音下のメジャースケールと同じです。
そのため、指板で見ると2フレット分音が低くなっており、全音下のメジャースケールを意識すれば簡単にドリアンスケールを導きだせます。
1度メジャースケールを考える必要があるためアドリブ向けの覚え方ではありませんが、ドリアンスケールの構造や成り立ちを覚えるのにはピッタリの方法です。
メロディックマイナーの7thを半音下げる
すでに複数のスケールを覚えているという人におすすめなのが、メロディックマイナーの7th(7度)を半音下げるという覚え方です。
メロディックマイナーは1st、2nd、♭3rd、4th、5th、6th、7thという♭が少ない構成で、7度を半音下げるだけでドリアンスケールになります。
また、弾きやすいポジションも基本的に同じなので、フレージングも同じ感覚でできるのもポイント。
どちらもCm6のようなマイナー6コードで良く使うスケールなので、アドリブの幅を広げるためにセットで覚えるという方法もおすすめです。
ナチュラルマイナーの6thを半音上げる
ナチュラルマイナースケールは3rdと6th、7thに♭が付いたスケールです。
ドリアンスケールは3rdと7thのみなので、6度の音を半音上げるだけで簡単に導くことができます。
メロディックマイナーと同様に、弾きやすいポジションも同じなので6thのみを意識すれば簡単に弾き分けられるのが特徴。
加えて、ナチュラルマイナーとマイナーペンタトニックをセットで覚えていれば、ペンタ中心のフレーズにドリアンの雰囲気を加えるという使い方もできるようになります。
実践でも使いやすく基本スケールとの関連付けも簡単なので、ギター初心者でも気軽に取り組める覚え方です。
ドリアンスケールを使った曲
音の並びを覚えたら実際に使われている曲を聴いたり、アドリブで使ったりしたくなるものですよね。
メジャースケールを使った曲ほどは多くありませんが、ジャズや幻想的な曲を中心に色々な楽曲で使われています。
また、曲によってはチャーチモード1種の「ドリアンモード」という、ドリアンスケールを使うⅠm7と音階の雰囲気を際立たせるコード中心で作られた曲もありますよ。
最後にドリアンスケールやドリアンモードが使われている曲を、コード進行やアドリブのコツと共に紹介するので、気になった曲は演奏してみてくださいね。
So What / Miles Davis
「So What」は「ジャズの帝王」の愛称で親しまれ続けている、Miles Davisが作曲した有名曲です。
コードはDm7とE♭m7のみとドリアンモードを使ったジャズの定番の構成で、どちらのコードも基本的にドリアンスケールを使ってアドリブをしています。
同じコードが4小節以上続いている自由度が高い曲であるため、初心者でも気軽に挑戦できるのが特徴。
コードが少ない構造のためフィーリング重視で演奏できますが、コードチェンジの部分が滑らかに聴こえるような音選びすると、よりジャズらしいアドリブになりますよ。
セッションでも定番で、ミドルテンポの原曲以外にも色々なミュージシャンが演奏するバージョンが存在するドリアンスケールを使った名曲です。
Impressions / John Coltrane
John Coltraneの「Impressions」はドリアンスケールを使ったビバップらしいテーマメロディと、ドリアンモード特有の浮遊感が楽しめる曲です。
「So What」と同じ進行ですが、こちらは基本的にBPM200以上の4ビートという、スピーディーなテンポで演奏されています。
テーマメロディがDm7とE♭m7の部分で違っているため、アドリブをするときにはフレーズを少し変えて弾くと雰囲気が出せるのでおすすめです。
John Coltraneファンが好んで演奏する曲なので、サックス奏者と一緒に音楽をやってみたい人はぜひ練習してみてくださいね。
Scarborough Fair/Canticle / Simon & Garfunkel
「Scarborough Fair/Canticle」はイギリスの伝統的な歌「Scarborough Fair」に、有名フォークデュオ・Simon & Garfunkelがアレンジを施した曲です。
この曲はⅠmが4小節以上続くというモードジャズ的な構造ではなく、ドリアンの雰囲気を演出するⅠmと♭Ⅶ、Ⅳのコードを中心に作られています。
メロディにもⅠmの6thに当たる音がⅣコード上で使われているため、浮遊感のある落ち着いた雰囲気になっているのが特徴。
モードを使ったコードアレンジを学びたい人、幻想的なフォークソングが好きな人におすすめの曲です。
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Scarborough Fair CANTICLE 歌詞 Simon & Garfunkel 詠唱 ふりがな付 - うたてん
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ドリアンスケールはおしゃれな雰囲気でジャズ感が出る!自分なりのフレーズを作ってみよう
ドリアンスケールは手軽におしゃれで、クールなジャズ感を出せる音階です。
色々なマイナーコードで使用できるほか、安定感の強い響きが必要な曲以外であればジャンルを選ばずに使えます。
また、音楽理論としても使えるので、定番の進行や音使いを知っておくと作曲やアレンジなどをするときにも便利です。
使いこなせるまでは時間がかかるかもしれませんが、自分なりのフレーズを作ったり、他の音階との違いを見つけたりと楽しみながら覚えていきましょう。
この記事のまとめ!
- ドリアンスケールはメジャースケールを2度の音から始めた、マイナースケールの仲間
- 特徴音の6度はアボイドノートだが、ジャズ感を演出するときに必須なので積極的に使おう
- ドリアンスケールはマイナーコードに独特な響きを与えたいとき、少し不安定な響きのマイナーコードが鳴っているときに使う
/li> - 他のスケールとドリアンスケールを関連付けて覚えると、演奏や作曲に使いやすくなる
- ジャズやポップス、フォークにはドリアンスケールやドリアンモードを使った曲がたくさんあるので、気になる曲は聴いてみよう