エレキギターや、アコースティックギターでよく使われる半音下げチューニング。
やり方や仕組みが分かれば簡単ですが、一度もやったことがないとなかなか挑戦できないものですよね。
使いこなせるようになると、好きな曲と同じサウンドや気分に合わせたサウンドが簡単に出せるようになりますよ。
この記事のもくじ
半音下げチューニングとは
半音下げチューニングとは、ギターの全ての弦をレギュラーチューニングの半音下の音程に合わせたものです。
各音程は♭を付けた場合は6弦から「E♭、A♭、D♭、G♭、B♭、E♭」となり、♯を付けた表記では「D#、G#、C#、F#、A#、D#」となりますよ。
ジミヘンの愛称で有名なジミ・ヘンドリックスの使用により広まったチューニングで、ロックやブルース、メタル系のギタリストが好んで使っています。
また、色々なキーを演奏するアコギプレイヤーも愛用するなど、幅広い音楽ジャンルで使われているチューニングです。
ギターの半音下げチューニングのやり方
ギターの半音下げチューニングのやり方は、開放弦全ての音を半音下げるだけ、といたってシンプルです。
しかし、正確に半音下げるためにはギターチューナーの設定を変更したり、専用の機器を用意したりする作業が必要になります。
この作業もチューニングと同じくシンプルなので、手持ちの機材や活動の予定、予算などを考えて自分に合ったものを選んでみてくださいね。
次は、半音下げチューニングのやり方をチューナーの設定や、専用機材を中心に紹介します。
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チューナーの設定を半音下げる
エレキギターやアコースティックギターを半音下げチューニングにするなら、チューナーの設定を変更する方法がおすすめです。
チューナーに付いている「♭」や「Flat」などの、音程を下げるボタンを1回押すだけで設定の変更ができます。
その後、チューナーの表示通りに弦の音程を合わせていくと、半音下げチューニングになりますよ。
シンプルな設計のクリップチューナーには非対応機種もありますが、簡単に調節できるのでギター初心者にもおすすめの方法です。
クロマチックチューナーを使う
楽器に合わせた機能よりも、スピードを重視したい人には、半音ごとに音程を測定するタイプの「クロマチックチューナー」がおすすめです。
ギター・ベース用チューナーやクリップ式のギターチューナーにも、同じ機能のクロマチックモードが搭載されているので、搭載機器を持っている人はそちらを使っても良いでしょう。
半音下げチューニングの各音を覚えておく必要がありますが、設定を変更せずに合わせられるのでスピーディーにチューニングできるのが特徴。
特に、レギュラーと半音下げチューニングの変更を頻繁にする人におすすめです。
エフェクターを使う
「ピッチシフター」という音程を変えるエフェクターを使えば、アンプやヘッドホンから出力する音のみを半音下げチューニングすることも可能です。
ギターを接続し、音程や音色の設定をするだけで簡単に半音下げられるのが特徴で、1音下げや2音下げのような更に低いダウンチューニングにも対応できます。
しかし、全体の音をそのまま下げているため、実際の半音下げチューニングとは少し違った雰囲気のサウンドになるほか、生音が聴こえる環境では音がぶつかる可能性もありますよ。
ライブやスタジオ練習中に半音下げチューニングやダウンチューニングなどを使い分けるときには便利なので、気になる人は試してみてくださいね。
半音下げチューニングのメリット・デメリット
ギターは弦を張って音を出す構造を持つため、半音下げチューニングでハリを緩めてしまうとサウンドや演奏性などに影響が出ます。
メリットとして働くケースだけでなく、演奏スタイルや音の好みによってはデメリットになってしまう場合もあるので、事前に特徴やサウンドの変化を把握しておきましょう。
やり方の次は、半音下げチューニングのメリット・デメリットを紹介するので、チューニングを下げるべきか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてくださいね。
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デメリット
音感がある人は弾きにくい
半音下げチューニングは指板の音と、イメージする音が完全にリンクするほどの音感を持っている人にとっては弾きにくいです。
特に、口ずさんだメロディと同じフレーズを弾くスキャットができるようなレベルの人は、思うように演奏ができなくなる可能性があります。
慣れれば問題なく弾けるようになりますが、レギュラーと半音下げチューニングの2つの感覚を育てる必要があるので、弾きこなせるまでに時間がかかってしまうでしょう。
ピアノとの相性が良くない
本来のギターは開放弦が使えるEやA、G、Dなどのキーが得意な楽器です。
しかし、半音下げチューニングにしてしまうと、得意なキーもE♭やA♭、G♭、D♭(C#)と半音下がり、場合によってはピアニストが弾きにくいキーになってしまいます。
特に♭の多いG♭メジャーや、♯の多いC♯メジャーなどは、弾くフレーズが黒鍵ばかりになるため、移調機能のあるキーボードでないと演奏するのは難しいです。
半音下げチューニングに合わせてコードを変えた曲、作った曲を演奏するときには、事前にピアニストと打ち合わせして対策をしておきましょう。
コントロールが難しい
半音下げチューニングをするとギターの弦のハリが全体的に弱くなり、音程のコントロールが難しくなります。
ピッキングや弦を押さえる力が強い場合には簡単に音程が上がってしまうほか、チョーキングもレギュラーと同じ感覚でやると上がりすぎてしまうので注意が必要です。
太めの弦を張る、弾き方を変えるなどの対策がありますが、慣れるまでに時間がかかるのでレコーディングやライブに使う場合には、早めに準備しておきましょう。
耳コピしにくい
半音下げチューニングのギターはレギュラーチューニングのものと弦の揺れ方や音域、音質が微妙に違っているため耳コピがやりにくいです。
特に、6弦のE♭は音域が低く、レギュラーチューニングがメインの人にとっては耳馴染みの無い音なので慣れるまではうまく聴き取れません。
また、半音下げのギターでレギュラーの曲を耳コピするときは、音程がわずかに違うほか、音の雰囲気も異なるので正確な音程や弾いている弦を判断しづらいです。
メリット
弾きやすくなる
半音下げチューニングのメリットは、単音フレーズやコードが弾きやすくなることです。
弦のハリが弱くなるので、弦1本を押さえる演奏はもちろん、FコードやBmコードといったセーハを使うコードも楽に押さえられるようになりますよ。
また、弦を引っ張って音程を上げるチョーキングも少ない力でできるため、ストラトキャスターのようなハリの強いエレキギターでのチョーキングも快適です。
少しダークなサウンドになる
レギュラーチューニングよりも、高音域が抑えられた少しダークなサウンドになるのも半音下げチューニングの特徴です。
このサウンドの変化もハリの強さが影響しており、弦の振動が変化して丸みを帯びた落ち着きのあるサウンドになります。
曲の雰囲気を変えたいときに便利で、ボーカルの喉の調子や気分に合わせてキーを下げるという使い方もできますよ。
豊かな低音になる
半音下げチューニングは弦全体の音域が下がり、高音成分の少ないダークな響きになるため低音も豊かです。
歪ませたエレキではヘヴィなサウンドになり、アコギでは低音域の伸びが良い落ち着いた音になります。
ファンキーなカッティングには不向きですが、低音が際立ったフレーズやコードが好きな人にピッタリのサウンドです。
管楽器のフレーズがコピーしやすくなる
半音下げチューニングはE♭やB♭の音を開放弦で鳴らせるため、管楽器のフレーズもコピーしやすいです。
定番の管楽器はE♭やB♭のメジャースケールを基準に設計されており、登場する曲の多くがB♭メジャー、E♭メジャー、A♭メジャーといった♭系のキーになっています。
これらは半音下げチューニングでも演奏しやすいキーで、単音フレーズにも活用しやすい1弦や2弦の開放弦の音が使えますよ。
フレットを使った音のみで弾く場合の差はありませんが、運指の幅が広がるので細かなニュアンスまでコピーしたいときに便利です。
半音下げチューニングをする時のおすすめアプリ
半音下げチューニングに対応したチューナーを持っていないときに便利なアイテム、無料で使えるスマホアプリです。
精度が悪いというイメージもありますが、スマホやアプリの性能も向上しているため、サブのチューナーとしては十分な性能を備えていますよ。
最後に、半音下げチューニングをする時におすすめの無料アプリを紹介します。
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GuitarTuna
「GuitarTuna」ギター初心者でも使いやすいシンプルな操作性と、充実した機能が魅力のアプリです。
半音下げチューニングはもちろん、6弦だけを1音下げたドロップD、開放弦だけでコードになるオープンチューニングなど色々なチューニングに対応しています。
チューニング画面も見やすく、音程が合ったときには音が鳴るようになっているので、快適に音程を合わせられますよ。
メトロノームやコード学習ゲームなど、練習向けの機能も充実したアプリです。
BOSS Tuner
エフェクターの有名ブランドBOSSがリリースしている、広告無しで使える高精度なチューニングアプリが「BOSS Tuner」です。
BOSSのペダル型チューナーTU-3やTU-3Wをもとにしたデザインを採用しており、半音下げチューニングも可能なクロマチックチューナー機能を備えています。
また、日本のメーカーが開発したアプリであるため、海外アプリに多い不自然な日本語もありません。
細かな調節機能も搭載しているほか、基準音出力機能やBOSSの新商品お知らせ機能も付いた、シンプルで使いやすいアプリです。
チューナー n-Track Tuner
「n-Track Tuner」は好みに合わせてチューニング画面を切り替えられる、クロマチックチューナーアプリです。
音を目で見て楽しめる波形・メーター表示、シンプルな円形メーター表示が簡単操作で変更できるようになっており、有料版では特殊な画面の表示もできるようになっています。
基準音の音程を自由に変えられるので、5弦をA♭に合わせ残りを耳でチューニングするという、音感トレーニングにも使えますよ。
通常モードと基準音の両方が半音下げチューニングに対応し、細かな設定も可能な高性能アプリです。
半音下げチューニングはアプリを使えば初心者でも簡単!低音でかっこいい曲を演奏しよう
半音下げチューニングは対応したチューナーが無くても、アプリを使えば初心者でも簡単にできます。
チューナーを使って普段どおりレギュラーチューニングをした後に、全体の音程を少し落とし、半音下げた状態にしていけば正確に合わせられますよ。
また、チューニング後は開放弦と12フレットの音程が合っているかの確認や、弦高の調節を行うとより快適に演奏できるのでおすすめです。
曲や音の雰囲気を変えたい時、ヘヴィな曲を演奏したいときにピッタリなので、ぜひ挑戦してみて豊かな低音の響きを楽しんでみてくださいね。
この記事のまとめ!
- 半音下げチューニングは全ての弦の音を半音落としたチューニング
- チューナーの半音下げモードやクロマチックチューナー、ピッチシフターを使えば簡単に半音下げチューニングができる
- 半音下げチューニングには音程のコントロールが難しい、ピアニストとキーを合わせるのが難しいなどのデメリットがある
- 低音域が豊かに響くダークなサウンドと、弦の押さえやすさ半音下げチューニングの魅力
- 高精度な無料チューナーアプリもあるので、気軽に半音下げチューニングを試したい人は使ってみよう