Jeff Beck(ジェフ・ベック)といえば、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジと並んで「UKロック3大ギタリスト」として名をはせた、超有名ギタリスト。
圧倒的なフレーズセンスと、ジェフベック奏法とも呼ばれる超絶技巧で「ギタリストの教科書」とも評されました。
ジェフベックの生い立ち
孤高のギタリストでありながら、全ギタリストの教科書的存在にまで上り詰めたジェフ・ベックですが、どうやってその地位を確立したのでしょうか。
その道のりには、バンド解散や自身の体調不良など、さまざまな出来事がありました。
まずは、ジェフ・ベックが唯一無二のギタリストとして成功するまでの道のりを紹介します。
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青年期
ジェフ・ベックは1944年イギリスに生まれ、6歳の頃にラジオで聴いたエレキギターに心を奪われました。
18歳の頃にはバンドを結成し、楽曲のコピーバンドをしながら活動を開始。
そのころにはジミー・ペイジと親交を深め、1963年にはオール・スターズというバンドに参加します。
その後トライデンツというバンドにも参加して、ジミー・ペイジやロン・ウッドなど、有名アーティストの前座も経験しました。
ヤードバーズ加入
トライデンツでジェフ・ベックのトリッキーな演奏が話題になっていた1965年、大物ロックバンド「ヤードバーズ」に加入します。
エリック・クラプトンの後釜という重要なポジションを見事に務めあげ、ジェフ・ベック在籍中3回にわたってライブツアーを成功させるなど、バンドは成功を収めました。
しかし、体調不良やメンバーとの確執が重なり、ジェフ・ベックはライヴツアー中にバンドを解雇されてしまいます。
初期ジェフ・ベック・グループ
バンド脱退後の1967年、ソロとして自らギターとボーカルを務めた「ハイ・ホー・シルヴァー・ランニング」が大ヒットしました。
続くシングル「タリー・マン」「恋は水色」もヒットさせると、バックバンドを務めていたメンバーたちと「ジェフ・ベック・グループ」を結成します。
メンバーチェンジを何度も繰り返しますが、ロッド・スチュワートやロン・ウッドなど、主要メンバーは大物ばかりでした。
ヴァニラ・ファッジとして活躍した、カーマイン・アピスやティム・ボガードなどの合流も決まっていた矢先、ベックが交通事故にあい解散を余儀なくされてしまいます。
第2期ジェフ・ベック・グループ
第1期ジェフ・ベック・グループは1969年に解散してしまいますが、1971年に第2期ジェフ・ベック・グループが誕生します。
ドラムはレインボーやブラック・サバスで活躍したコージー・パウエル、キーボードにマックス・ミドルトンを迎えるなど、そうそうたるメンバーでした。
音源を2枚リリースし、2枚目は全米15位を記録するなど、まずまずの結果を残します。
ロックとジャズの融合に成功
ジェフ・ベックの音楽はロックとジャズ、ファンクなどの要素をミックスしたサウンドが特徴です。
再びソロとなった1975年に発表した「ブロウ・バイ・ブロウ」は、全曲ギターインスト曲でにもかかわらず全米4位を獲得し、彼の新たな音楽性を確立させました。
当時にはなかった「フュージョン」という新たな音楽ジャンルを完成させたアルバムです。
積極的なソロ活動
ジェフ・ベックはその後も積極的にソロギタリストとして活動し、ボーカルなしのインストゥルメンタル曲を多数リリースしています。
「ブロウ・バイ・ブロウ」リリースの翌年にはアルバム「ワイアード」をリリースし、さらにジャズっぽさが増したサウンドを披露しました。
その後はデジタルサウンドを取り入れた「フー・エルス!」や「ユー・ハド・イット・カミング」など、斬新なサウンドを作り続けます。
ジェフベックの凄さ
ロックはもちろんジャズやファンク、ロカビリー、テクノなどさまざまなジャンルを融合させた楽曲を弾きこなすジェフ・ベックは、ギタリストなら一度は憧れる存在です。
「ギターの教科書」とも言われた彼は、具体的にどのような部分が優れているのでしょうか。
ここからは、ジェフ・ベックのギタリストとしての凄さを紹介していきます。
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高速で動く右手
ジェフ・ベックは80年代中ごろから、激しく動くフレーズでもピックを使わず、人差し指をピックのように高速で動かして弦を弾くようになりました。
その速さと精度は常人がピックを使っても再現できず、まさに超人の域。
ピッキングだけでなくピックアップの切り替えやボリュームノブの操作、アーミングをしながらの演奏技法は、普通のギタリストには到底真似できません。
ボーカルのような指弾き
ジェフ・ベックの指弾きはニュアンスのつけ方が独特で、ボーカルに合わせて歌うようにギターを弾きます。
もともと、指弾きに完全移行する以前から中指や薬指での指弾きを取り入れており、表現力豊かな演奏は高く評価されていました。
特にロッド・スチュワートのボーカルとは相性抜群で、力強い歌声に匹敵する印象的なギタープレイは必見です。
テクニックの数
ジェフ・ベックの魅力として、そのギターテクニックの引き出しの多さが挙げられるでしょう。
彼は「何度も同じことをしない」という信条をもっており、同じ曲でもチョーキングやハンマリング、プリングやグリッサンドを駆使して毎回違うアレンジで演奏します。
「一度弾いたらもう飽きる」と語っている通り、飽きっぽい性格がこのスタイルに影響しているのかもしれませんね。
アームでメロディを奏でる
ジェフ・ベックがストラトキャスターを愛用する理由の1つは、トレモロアームを頻繁に使用するからです。
アームは普通ビブラートをかける目的で使われますが、彼は通常のピッキング時にも音程を操作する目的でアームを使います。
この奏法とハーモニクスの多用により、まるでギターが鳴いているかのような音を奏でるのです。
ベビーパウダーで真っ白に
ジェフ・ベックの運指がスムーズなのは、潤滑油の代わりにベビーパウダーをギターの指板に塗っているからです。
ベビーパウダーを真っ白になるほど両手とネックにかけ、スルスルと滑りを良くさせます。
滑りやすくなる反面ピックを握れなくなりますが、ほぼ指弾き専門のジェフ・ベックにとってはそれほど問題ではなかったのでしょう。
ジェフベックの使用ギター
ジェフ・ベックには熱心なファンも多く、機材を真似したり、リスペクトを込めてベビーパウダーを真っ白になるまでふりかける人もいるほど。
長いキャリアの中で使用したギターはストラトキャスター、テレキャスター、レスポールなどさまざまです。
ここからは、ジェフ・ベックが今までに使用してきたギターを紹介します。
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フェンダー / エスクワイヤー
フェンダーの「エスクワイヤー」は、ジェフ・ベックがヤードバーズ時代に使っていたギターで、テレキャスターの原型になったモデルでもあります。
1965年、ヤードバーズがツアーをしていた最中に手に入れた1954年製のギターで、初期のジェフ・ベックを支えたギターとして伝説となりました。
大きく削られたエルボー部分、傷だらけのボディを細かく再現したレプリカモデルが、フェンダー・カスタムショップから発売されたこともあります。
レスポール改オックスブラッド
1973年ごろからは、メンフィスの楽器店で見つけたという1954年製のレスポールを使用しています。
レスポールといえばギタリストの定番モデルですが、このモデルピックアップやペグの交換、ボディの塗り替えなど改造されていました。
ジェフ・ベックが使用していたのはボディが深い茶色のモデルで、角度によっては牛の血のような濃い赤色に見えることから「オックスブラッド」と呼ばれています。
フェンダー / ストラトキャスター
レスポールと並んでギタリストの定番モデルとして知られている、フェンダーのストラトキャスターもジェフ・ベックの愛用機の1つです。
彼が使っているのはローズウッド指板、白いボディのギターで、現在ではジェフ・ベックの代名詞とも言えるギターとなりました。
トレモロアームを駆使した彼の奏法には欠かせないギターで、1990年代にはシグネイチャーモデルも発売されました。
テレキャスター改Tele-Gib(テレギブ)
1974年からは、「ブロウ・バイ・ブロウ」のレコーディングスタジオにセイモア・ダンカンが持ってきた「テレギブ」を使用していたこともあります。
「テレギブ」とは、フェンダーのテレキャスターにギブソンのハムバッカーを乗せたギターのことです。
ピックアップのコイルはセイモア・ダンカンが巻き直したもので、後に名ハムバッカーとして名をはせる「SH-4」の原型となりました。
フェンダー / Fender CS Jeff Beck Signature Stratocaster
現在はフェンダー・カスタムショップのマスタービルダーが製作したストラトを使用しており、そのシグネチャーモデルも販売されています。
現代の基本的なストラトに高性能なピックアップを搭載し、チューニングを最大まで安定させた最高峰のモデルです。
キャリアの長いギタリストには珍しい機能性を追求したモデルで、完璧主義のジェフ・ベックらしいギターと言えるでしょう。
ジェフベックの名曲
ジェフ・ベックはロックとジャズの融合である「フュージョン」を生み出し、圧倒的な実力と唯一無二の個性的なプレイで多くの人を魅了してきました。
また、その音楽性は常に進化し、常に新しいサウンドに挑戦する姿を尊敬しているギタリストも多いでしょう。
最後に、ジェフ・ベックの楽曲の中から、ぜひ聴いてほしい名曲を紹介します。
A DAY IN THE LIFE
「A DAY IN THE LIFE」はジョン・レノンの名曲で、ビートルズのトリビュートアルバムに収録されています。
ジョン・レノンの曲を見事に表現しており、インストゥルメンタルとは思えないほどメロディアスな演奏に唖然とさせられるでしょう。
細かい音程の揺れや緩急を付けた演奏は、まるでギターに感情が宿っているように聴こえます。
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A DAY IN THE LIFE 歌詞 The Beatles ふりがな付 - うたてん
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CAUSE WE'VE ENDED AS LOVERS
「CAUSE WE'VE ENDED AS LOVERS」は名盤「BLOW BY BLOW」に収録された、ライブでもよく演奏される有名曲です。
息の詰まるような繊細な演奏と、熱のこもった豪快な表現のコントラストに思わず聴き入ってしまうでしょう。
余計なエフェクトを使わず、アンプのクリーントーンひとつで多彩な表情を見せる彼のギタープレイは、まさにギタリストのお手本です。
BIG BLOCK
「BIG BLOCK」は、インダストリアル系のサウンドを大きく取り入れたアルバム「GUITAR SHOP」に収録されています。
イントロから硬質で骨太なギターサウンドで、ドラムの力強いビートに絡みつくようなギタープレイが印象的です。
ベース不在を感じさせないほど重厚な曲で、ジェフ・ベックの表現の幅広さに驚かされます。
ジェフベックはUKロック3大ギタリストの1人!
ジェフ・ベックといえばUKロック3大ギタリストとして知られたアーティストでした。
彼に憧れてギターを始めた人も多く、日本やアメリカを始め世界のギタリストに与えた影響ははかり知れません。
2023年1月10日に78歳でこの世を去りましたが、彼の演奏は今後も愛され続けることでしょう。
この記事のまとめ!
- ジェフ・ベックはUKロック3大ギタリストの1人
- バンドやソロでの活動を経て、唯一無二の圧倒的なギタリストとなった
- 数々のテクニックを自在に操り、常人には真似できない速さで右手が動く
- アームを使ってメロディを出すなど、歌うようなギタープレイが魅力
- 数々のギターを経て、現在はストラトキャスターを愛用している