ロックやブルースのソロを自分で作るとき、アドリブ演奏をするときに役立つのがペンタトニックスケールです。
音の数も少なく、シンプルな響きのスケールですが、色々な使い方や弾き方のある奥が深いスケールとして知られています。
この記事のもくじ
ペンタトニックスケールとは
ペンタトニックスケールとはロックやブルースに限らず、ジャズやR&B、ファンクなど幅広いジャンルで使われている音階です。
エレキギターと関連が深いスケールとして有名ですが、アコギやベース、ピアノなど色々な楽器で使用されています。
アドリブの入門にもピッタリな使いやすいスケールで、音の位置を覚えて、チョーキングやスライドを混ぜながら弾くだけでもかっこいいフレーズが弾けますよ。
まずはじめに、ペンタトニックスケールを構成する音やサウンドの特徴などを紹介します。
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5音構成のスケール
ペンタトニックスケールは、ギリシャ語の5を意味する言葉の「ペンタ」が名前に使われている通り、5音のみで構成されているスケールです。
「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」のような一般的な7音構成のスケールに比べると、音が少ないぶん個性的でシンプルな響きを持っています。
メジャーペンタトニックやマイナーペンタトニックが有名で、沖縄音楽に使われる琉球音階、民謡に登場する陽旋法など特殊なペンタトニックスケールもありますよ。
音が濁りづらい
ペンタトニックスケールは、コードに合わせてメロディを弾いたときや、スケール内の音を選んでコードを作ったときに音が濁りづらいのが特徴です。
シとドや、ミとファのような半音関係の音が無いため、伴奏の音ともぶつかりにくい構造になっています。
また、スケールの音を並び替えると、音同士の間隔がパワーコードのような「完全5度」になるので、スケール内の音を選んでコードを作っても極端な不協和音になりません。
アドリブに応用しやすい
ペンタトニックスケールは、響きもシンプルで使いやすいスケールであるため、アドリブに応用しやすいです。
転調やマイナー・メジャーの入れ替わりがなければ、ギターソロも1つのペンタトニックスケールを弾き続けるだけで対応できますよ。
また、外れた音を弾くために使ったり、違うコードを想定したりする応用的なテクニックもあるなど、奥が深いスケールです。
ペンタトニック スケールのメジャー・マイナー
ペンタトニックスケールの中で特によく使用されているのが、メジャーペンタトニックとマイナーペンタトニックの2種類です。
この2つをマスターしておくだけでも、色々な曲でアドリブ演奏ができ、自分好みの響きを持ったコードを作れるようになりますよ。
特徴の次は、ペンタトニックスケールのメジャーとマイナーの違い、構成する音について紹介します。
メジャー:4度・7度を抜いたスケール
メジャーペンタトニックスケールは、メジャースケールから4度と7度を抜いた5音で構成されるスケールです。
「ドレミファソラシド」のCメジャースケールで考えると4度の音はファ、7度の音はシになります。
「ドミソ」のようなトライアドの位置を覚えている人は、トライアドに2度のレと6度のラを足したスケールとして覚えるのもおすすめです。
ミとぶつかるファと、ドとぶつかるシを抜いたメジャー系のスケールなので、明るくシンプルな響きを持っていますよ。
マイナー:2度・6度を抜いたスケール
マイナースケールから、2度と6度の音を抜いたものがマイナーペンタトニックスケールです。
コードが好きな人は、マイナー7thコードの構成音「ルート、短3度、5度、短7度(Cm7の場合はド、ミ♭、ソ、シ♭)」に4度を加えたスケールと考えても良いですよ。
Cマイナースケールを基準にすると、マイナーペンタトニックスケールではミ♭と半音関係のレ、ソの半音上の音であるラ♭が抜かれています。
マイナーキーの曲だけでなく、C7からF7へとつながるブルース進行にも使える汎用性の高いスケールです。
ギターでのペンタトニックスケールの覚え方
ペンタトニックスケールの音を覚えたら、次は実際に音の位置や指使いなどを覚えていきましょう。
覚えるときには、まずゆっくりとしたテンポで弾き、ギターアンプなどで音の響きを確認しながら練習するとアドリブ演奏にも応用しやすくなるのでおすすめです。
ペンタトニックスケールのポジションやボックスについて紹介するので、ぜひ練習の参考にしてみてくださいね。
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ボックスポジションに慣れる
ペンタトニックスケールを覚えるときには、まず6弦にルート音がくる、バレーコードの形を発展させたボックスポジションから覚えるのがおすすめです。
この6弦ルートのポジションをいきなり覚えても良いですが、さらに分割した小さなボックスポジションからマスターするとアドリブにも応用しやすくなりますよ。
上記の図はマイナーペンタトニックスケールをルートからスタートするボックス、♭3からスタートするボックスに分けたものです。
最初はゆっくりでも良いので、ルート音がある列を人差し指、5弦に5thがある列を薬指、6弦に♭3がある列を小指を使ってボックス単位で弾いてみましょう。
2分割のボックスの次は、4度からスタートするボックス、♭7度からスタートするボックスを弾く練習がおすすめです。
指の使い方は変わりませんが、スタート位置の違いだけでもスケールの雰囲気が変わるので、ペンタトニックスケールのサウンドをより深く理解できますよ。
ある程度慣れてきたら、ボックス単位で練習フレーズを弾いたり、自作フレーズを作ったりしてみてくださいね。
オクターブボックスを活用する
オクターブボックスとは、スタート音から1オクターブ上の音までを1つのボックスとして捉える考え方です。
上記の図ではルート(R)から1オクターブ上のルート音までと、♭3からオクターブ上の♭3までを1ボックスとして考えています。
このオクターブボックスを使って練習やフレーズ作りを行っておくと、5弦や4弦にルートがくるボックスを弾くときにも同じような感覚、運指で弾けますよ。
5弦にルートが来る場合には、上記の6弦~4弦までのボックスをイメージして5弦~3弦を弾くといったように使い方もシンプルです。
音の位置を覚えるまでは少し時間はかかりますが、慣れてくると全てのポジションで思い通りのギターフレーズが弾けるようになるので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
ペンタトニックスケールの使い方
ペンタトニックスケールの形は覚えたけれど、実際に弾いてみるとかっこよく弾けないと悩む人も多いのではないでしょうか?
スケールの使い方にはいくつかのコツがあり、このコツを意識して弾くだけでも音楽らしいフレーズになり、練習も楽しくなりますよ。
他のスケールにも応用できる、ペンタトニックスケールの使い方やかっこよく弾くコツを紹介します。
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スケールの音をジグザグに弾く
ペンタトニックスケールを使ってかっこいいソロを弾くためのコツは、スケールの音をジグザグに弾くことです。
ドレミファソラシドのように、スケールを順番に駆け上がるフレーズは効果的に響く場合もありますが、何度も繰り返しているとスケール練習のような雰囲気になってしまいます。
1つ上の音、下の音を織り交ぜながら弾いていくと、メロディらしくなりますよ。
また、音程同士の間隔(インターバル)を工夫してあげると響きも変わってくるので、慣れてきたらドの次はファやラを弾くなど音程も意識してみてくださいね。
リズミカルに弾く
ペンタトニックスケールは、音を切る部分、長い音と細かなフレーズの組み合わせなどを意識して、リズミカルに弾くのがポイントです。
フレーズの最初や3音目に8分休符のような音を切る部分を入れてあげると、ギターのフレーズにリズムが生まれ気持ちいい演奏になります。
また、長めの音を弾いたあとに細かな音を弾く、連続したフレーズを弾くなど工夫してあげるとソロにメリハリが出せますよ。
リズムもメロディと同じくらい難しいものなので、はじめは2~3音を使って色々なリズムを試しながら少しずつマスターしていきましょう。
♭3・♭5の音を足す
音の使い方やリズムの工夫などをある程度覚えたら、ブルーノートと呼ばれる♭3・♭5をペンタトニックスケールに足してみましょう。
長く伸ばすと不協な響きになってしまいますが、3度や5度に向かうための経過音として使ってあげると渋くおしゃれな響きになります。
メジャーペンタトニックでは♭3、マイナーペンタトニックには♭5を使うのが定番です。
メジャーに関しては経過音として♭3を弾いてもいいですが、よりブルージーな雰囲気を出したいならクォーターチョーキング(4分の1だけ音を上げる)を使うと渋い音が出せますよ。
ペンタトニックスケールのギターフレーズが聴ける曲
プロミュージシャンの楽曲には難しいコード進行や複雑なスケールが使われている曲も多いですが、ペンタトニックスケールを中心としたシンプルで素敵な曲もたくさんあります。
また、ソロやイントロ部分にピンポイントに使用され、個性的な雰囲気を出している曲も多いです。
最後にペンタトニックスケールのギターフレーズが聴ける素敵な曲を紹介するので、気になる楽曲は聴いたりギターで真似してみてくださいね。
Crossroads / エリック・クラプトン
「Crossroads」は、ロック・ブルースギターの名手として有名なエリック・クラプトンの代表曲です。
ブルースの定番進行で作られた曲で、ギターソロもAマイナーペンタトニックが中心。
加えて、チョーキングやブルーノートの使い方の参考にもなる、かっこいいフレーズも多数登場します。
ブルースのようなハネたリズムではなく、シンプルな8ビート中心で演奏されているので、ロック好きでも聴きやすい曲調です。
ライブ映像ではドラムの神様スティーヴ・ガッドや、ベースの名手ネイサン・イーストが参加しているものもあるので、ドラムやベースも好きな人はチェックしてみてくださいね。
Let it be / The Beatles
The Beatlesの有名曲で、ペンタトニックスケールを使ったメロディアスなソロが聴ける楽曲が「Let it be」です。
ギターソロのコード進行はCやG、F、Amのみで作られたシンプルなもので、演奏もCメジャーペンタトニックのみで演奏されています。
テンポもゆっくりで、複雑なコードやフレーズも登場しないので、ギター初心者でも挑戦しやすい曲です。
Pretender / Official髭男dism
「Pretender」は流れるようなメロディと切ない歌詞が印象的な、Official髭男dismの代表曲です。
イントロや間奏部分ではA♭メジャーペンタトニックの構成音のみを使った、おしゃれな雰囲気のアルペジオが登場します。
同じフレーズを繰り返しているのが特徴で、ベースがA♭を弾いているときはA♭6/9(トライアドに6度と2度を足したコード)のような響き。
GのときはE♭/G、D♭のときはD♭maj9(もしくはA/D♭)のような響きに変化しています。
ベースの動きとアルペジオの掛け合い、おしゃれなコード進行が登場する作曲やアレンジが好きな人におすすめの楽曲です。
シュガーソングとビターステップ / UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」は、軽快で明るいバンドサウンドが楽しめるロックチューンです。
イントロのフレーズは、A♭マイナーペンタトニックスケールを同じ構成音のBメジャーペンタトニックのように明るさを強調して演奏されています。
また、サビ後の長い間奏部分では、♭5を加えたF#マイナーペンタトニックのフレーズが聴けますよ。
テンポが速く、カッティングや転調なども登場する難易度が高い曲ですが、テンポを落として練習すれば弾けるようになるので、この曲が好きな人はぜひ挑戦してみてくださいね。
ペンタトニックスケールが分かればアドリブに強くなる!プロを真似して練習しよう
ペンタトニックスケールが分かれば、色々な曲でアドリブができるようになるだけでなく、メンバーとのセッションもより楽しくなります。
また、7音のスケールや難しいスケールも音を足してあげるだけで作れるので、今後のスケール練習にも役立てられますよ。
まずはペンタトニックスケールのポジションを覚えて、好きな曲のコピーやプロの真似をしながらギターの練習を楽しんでみてくださいね。
この記事のまとめ!
- ペンタトニックスケールは5音で構成された、シンプルで使いやすいスケール
- メジャーペンタトニックはメジャースケールから4度と7度、マイナーペンタトニックスケールはマイナースケールから2度と6度を抜いたスケール
- ペンタトニックスケールは1弦から6弦までの大きなボックス、6音ずつの小さなボックスを組み合わせて覚えるのがおすすめ
- リズムやメロディの流れを意識して弾くと、かっこいいフレーズが弾ける
- ペンタトニックスケールを使った名演も多いので、好きなアーティストや有名ギタリストをチェックしてみよう