「美うつくしい双子ふたごの少女しょうじょ、ディーとウィー。優やさしい父ちちと母はは、四人よんにんでの幸しあわせな生活せいかつ。
何不自由なにふじゆうなく暮くらしていた双子ふたごは、幸しあわせな日常にちじょうに忍しのび寄よる影かげに……気付きづくこともなく」
「不穏ふおんな種たねは静しずかに芽吹めぶき、いつしか取とり返かえしのつかない悪夢あくむと化かして。
嵩かさんだ借金しゃっきんの果はての一家離散いっかりさん。双子ふたごは離はなれ離ばなれに……別べつべ々の家いえへと引ひき取とられていった」
何なにを違ちがえたのか その問といに解かいはなくて
今いまはただ、冷つめたさに耐たえるだけ
『聖華はなの双子ふたごだね』と云いわれては微笑ほほえみあう
幸しあわせな時間ときはもう過去かこの中なか
帰かえる家いえもなく 食たべるものもなく
やがて離はなれ離ばなれになった
『いつか、我が家うちに帰かえろう
三年先さんねんさきの聖夜きょうに必かならず迎むかえにくるからね』と
父ちちと母ははが残のこしたのは 離別さいごの口づけきすだけ
「それぞれに引ひき取とられた新あたらしい家いえで、安寧あんねいを得えることは叶かなわなかった。
ウィーは義理ぎりの姉達あねたちから陰湿いんしつな虐いじめを受うけ、
ディーは過酷かこくな労働ろうどうを強しいられて」
何なにも望のぞむものはないほどに恵めぐまれてた
水仕事みずしごとで擦すり切きれた手てを見みて
其それは奇跡きせきの上うえ 成なり立たっていたと知しった
幸しあわせな日常ときはいつ変かわったの?
父ちちは酒さけに酔よい 母ははは泣ないていた
いつの間まにかそうなっていた
『いつかまた逢あおうね』と
三年先さんねんさきに希望のぞみ託たくした
『どんな顔かおで会あおうか』
鏡かがみの前まえ 痩やせた頬ほほで笑顔えがおをつくった
「そして、三年さんねんの月日つきひが経たち、約束やくそくの日ひが訪おとずれる。
両親りょうしんが迎むかえに来きてくれることを、そして片割かたわれに会あえることを信しんじ、遠とおく離はなれた地ちで苦くるしい日々ひびを生いき抜ぬいてきた」
「粉雪こなゆきの降ふる聖夜せいや。ディーとウィーは、それぞれの家いえで逸はやる気持きもちをおさえきれずにいた」
「「これでやっと、本当ほんとうの家いえに帰かえれるんだ……!」」
やっと【逢あえる】 約束やくそくの【焦こがれてた】
聖夜ひがやってきたよ【遠とおい】 迎むかえにくる父ちちを【母ははの影かげを】
待まち続つづけた...
白雪ゆきが世界せかいを染そめて
心こころも白しろく凍こおらせていく
箱庭いえを抜ぬけ出だし駆かける
其処そこにきっとワタシたちの 本当ほんとうの家いえがあるはずだから
予想よそうしていた現実げんじつ
夢想むそうの残滓ざんし 絶望ぜつぼうの前まえ
双子ふたごは会あい見まみえた
『誰だれか...どうか...幻想ゆめを見みせて...虚構うそでもいいから―――』
「両親りょうしんは迎むかえにこなかった。あると信しんじて焦こがれていた家いえは、もうどこにもなかった。
双子ふたごは互たがいの温ぬくもりだけを支ささえに、涙なみだを流ながす。
すると突然目とつぜんめの前まえに、カラスを連つれた少女しょうじょが現あらわれて言いった」
「あなたたちが、大好だいすきな家族かぞくとずっと一緒いっしょにいられる場所ばしょへ連つれていってあげる。
けれど、これは甘あまい毒どく。『永遠えいえんの幸福こうふく』が怖こわくないのなら、このリンゴを受うけ取とりなさい」
「美utsukuしいshii双子futagoのno少女syoujo、ディdiーとtoウィwiー。優yasaしいshii父chichiとto母haha、四人yonninでのdeno幸shiawaせなsena生活seikatsu。
何不自由nanifujiyuuなくnaku暮kuらしていたrashiteita双子futagoはha、幸shiawaせなsena日常nichijouにni忍shinoびbi寄yoるru影kageにni……気付kiduくこともなくkukotomonaku」
「不穏fuonなna種taneはha静shizuかにkani芽吹mebuきki、いつしかitsushika取toりri返kaeしのつかないshinotsukanai悪夢akumuとto化kaしてshite。
嵩kasaんだnda借金syakkinのno果haてのteno一家離散ikkarisan。双子futagoはha離hanaれre離banaれにreni……別betsube々のno家ieへとheto引hiきki取toられていったrareteitta」
何naniをwo違chigaえたのかetanoka そのsono問toいにini解kaiはなくてhanakute
今imaはただhatada、冷tsumeたさにtasani耐taえるだけerudake
『聖華hanaのno双子futagoだねdane』とto云iわれてはwareteha微笑hohoeみあうmiau
幸shiawaせなsena時間tokiはもうhamou過去kakoのno中naka
帰kaeるru家ieもなくmonaku 食taべるものもなくberumonomonaku
やがてyagate離hanaれre離banaれになったreninatta
『いつかitsuka、我が家uchiにni帰kaeろうrou
三年先sannensakiのno聖夜kyouにni必kanaraずzu迎mukaえにくるからねenikurukarane』とto
父chichiとto母hahaがga残nokoしたのはshitanoha 離別saigoのno口づけkisuだけdake
「それぞれにsorezoreni引hiきki取toられたrareta新ataraしいshii家ieでde、安寧anneiをwo得eることはrukotoha叶kanaわなかったwanakatta。
ウィwiーはha義理giriのno姉達anetachiからkara陰湿inshitsuなna虐ijiめをmewo受uけke、
ディdiーはha過酷kakokuなna労働roudouをwo強shiいられてirarete」
何naniもmo望nozoむものはないほどにmumonohanaihodoni恵meguまれてたmareteta
水仕事mizushigotoでde擦suりri切kiれたreta手teをwo見miてte
其soれはreha奇跡kisekiのno上ue 成naりri立taっていたとtteitato知shiったtta
幸shiawaせなsena日常tokiはいつhaitsu変kaわったのwattano?
父chichiはha酒sakeにni酔yoいi 母hahaはha泣naいていたiteita
いつのitsuno間maにかそうなっていたnikasounatteita
『いつかまたitsukamata逢aおうねoune』とto
三年先sannensakiにni希望nozomi託takuしたshita
『どんなdonna顔kaoでde会aおうかouka』
鏡kagamiのno前mae 痩yaせたseta頬hohoでde笑顔egaoをつくったwotsukutta
「そしてsoshite、三年sannenのno月日tsukihiがga経taちchi、約束yakusokuのno日hiがga訪otozuれるreru。
両親ryoushinがga迎mukaえにeni来kiてくれることをtekurerukotowo、そしてsoshite片割katawaれにreni会aえることをerukotowo信shinじji、遠tooくku離hanaれたreta地chiでde苦kuruしいshii日々hibiをwo生iきki抜nuいてきたitekita」
「粉雪konayukiのno降fuるru聖夜seiya。ディdiーとtoウィwiーはha、それぞれのsorezoreno家ieでde逸hayaるru気持kimoちをおさえきれずにいたchiwoosaekirezuniita」
「「これでやっとkoredeyatto、本当hontouのno家ieにni帰kaeれるんだrerunda……!」」
やっとyatto【逢aえるeru】 約束yakusokuのno【焦koがれてたgareteta】
聖夜hiがやってきたよgayattekitayo【遠tooいi】 迎mukaえにくるenikuru父chichiをwo【母hahaのno影kageをwo】
待maちchi続tsuduけたketa...
白雪yukiがga世界sekaiをwo染soめてmete
心kokoroもmo白shiroくku凍kooらせていくraseteiku
箱庭ieをwo抜nuけke出daしshi駆kaけるkeru
其処sokoにきっとnikittoワタシwatashiたちのtachino 本当hontouのno家ieがあるはずだからgaaruhazudakara
予想yosouしていたshiteita現実genjitsu
夢想musouのno残滓zanshi 絶望zetsubouのno前mae
双子futagoはha会aいi見mamiえたeta
『誰dareかka...どうかdouka...幻想yumeをwo見miせてsete...虚構usoでもいいからdemoiikara―――』
「両親ryoushinはha迎mukaえにこなかったenikonakatta。あるとaruto信shinじてjite焦koがれていたgareteita家ieはha、もうどこにもなかったmoudokonimonakatta。
双子futagoはha互tagaいのino温nukuもりだけをmoridakewo支sasaえにeni、涙namidaをwo流nagaすsu。
するとsuruto突然目totsuzenmeのno前maeにni、カラスkarasuをwo連tsuれたreta少女syoujoがga現arawaれてrete言iったtta」
「あなたたちがanatatachiga、大好daisuきなkina家族kazokuとずっとtozutto一緒issyoにいられるniirareru場所basyoへhe連tsuれていってあげるreteitteageru。
けれどkeredo、これはkoreha甘amaいi毒doku。『永遠eienのno幸福koufuku』がga怖kowaくないのならkunainonara、このkonoリンゴringoをwo受uけke取toりなさいrinasai」