「こんばんは、フィーナ。」
「……誰だれ?」
「私わたしはメイメイ。貴女あなたを救すくいにきたの。」
「貴女あなたに見みせてあげる。"今いま"の貴女あなたが、これからどんな運命うんめいを辿たどるはずだったのかを」
「メイメイは語かたりかける。かつて語かたられなかった、最もっとも最悪さいあくの可能性かのうせい。」
「メイメイは語かたりかける。残酷ざんこくな運命うんめい。その全すべてを見通みとおしたモノの目めで。」
「メイメイは語かたりかける。フィーナの意志いしなど存在そんざいしない、一方的いっぽうてきな救済きゅうさい。」
「メイメイは語かたりかける。その美うつくしい魂たましいの色いろ、損そこなわれぬよう。」
「これは誰だれ……?まさか……私わたし?」
捻ひねくれた螺旋らせん――――――運命うんめいの神かみはかくも厳きびし
赦ゆるされた罪過ざいか――――――生いきることだけを考かんがえよ
終おわり無なき夢想むそう――――――いつか生うまれ来くる君きみを信しんじ
慎つつましき日々ひび――――――そこに来くる悪夢あくむの使者ししゃ
こちらに向むける目めが 哀あわれそうに私わたしを射抜いぬいて
発はっせられる言葉ことばが 残酷ざんこくな運命うんめいを告つげる
小ちいさな鏡かがみが 映うつし出だした見知みしらぬ光景こうけい
見慣みなれぬ誰だれかが “何なにか”を抱だいて泣ないていた……
醜みにくい魂たましいに価値かちなどないと吐はき棄すてて
指さし示しめすその姿すがたは
見みてはならない凄惨せいさんな赤いろを帯おびていた―――
響ひびく叫さけび声こえ 只一ただひとつの名前なまえ
かつて描かいたそれを彼女かのじょは呼よび続つづけていた
生うまれた時ときにはと 心こころに決きめていた
わが子この名前なまえが刻きざまれたひとつの瑕きず
何度なんども何度なんどもその名なを呼よぶは
壊こわれかけの機械きかいのようで
何度なんども何度なんどもその名なを呼よぶは
それが愛いとしきもの故こ
「そんな……あれは、私わたし。じゃあ、あの子こがエフティヒア……。そんな……だって、死しんでるじゃない……!」
凡およそ己おのれとは 認みとめられようもない姿すがたに
たまらずフィーナは 呆然ぼうぜんとして膝ひざをついた
いくつもの世界せかいを 垣間見選かいまみえらんだ筈はずの現実せかいに
どうしてこんな仕打しうち 誰だれを呪のろえばいいのだろう
響ひびく無為むいな羽音はおとが明日あしたを呆気あっけなく壊こわして
その最後待さいごまっていたのが
わが子こを喪うしなった私ははおや()の姿すがたか
ねえお願ねがいだから その目めをあけてよ
エフィー!嗚お...まだ碌ろくに抱だきしめてもいなかったのに……
大切たいせつなモノを 奪うばわれる未来みらいに
何なにの価値かちがあるのかとただ自問じもんし続つづけた
何度なんども何度なんども頭あたまを振ふって
必死ひっしに否定ひていしようとするけど
何度なんども何度なんども蘇よみがえる光景こうけい
そして倒たおれ伏ふすフィーナ
放棄ほうきせよ
ただ嫌悪けんおせよ
生せいを選えらび地ちを這はうその姿すがた
絶望ぜつぼうせよ
ただ恭順きょうじゅんせよ
明日あしたを選えらぶことのないように
その一切いっさいから目めを逸そらしても―――
ねえもういいでしょう? 貴女あなたの未来みらいなんて
こんなどうしようもない結末けつまつしか待まっていないのだから
愛あいしているなら 死しなせたくないなら
貴女あなたの“選えらび取とる”道みちなど一ひとつしかない
現実げんじつは虚うつろ 告解こっかいの果はてに
全すべて否定ひていする 薬くすりを一ひとつ
これで貴女あなたも きっと幸しあわせに
永遠えいえんの世界せかいを歩あゆもう―――
「愛あいを注そそがれる間まもなく、消きえていく。そんな可能性かのうせいは、最初さいしょから生うまれないほうがいい。そう思おもうでしょう?」
「大丈夫だいじょうぶ。全すべては嫌いやな夢ゆめ。忘わすれてしまえるからね?貴女あなたはなーんにも心配しんぱいしなくていいのよ」
「さあ、目めを覚さましなさい、フィーナ。」
「う…貴女あなたは…誰だれ…?」
「知しらないのも無理むりはないわ。私わたしは、貴女あなたの遠とおい血縁けつえんにあたる者もの。倒たおれた貴女あなたの様子ようすを見みていたの。」
「これをお飲のみなさい。今いまよりも、もっと、楽らくになれるわ…」
「フィーナ。残酷ざんこくな運命うんめいに翻弄ほんろうされた少女しょうじょ。
そうしてあるときを境さかいに、彼女かのじょの行方ゆくえは誰だれも知しることはなかった―――」
「こんばんはkonbanha、フィfiーナna。」
「……誰dare?」
「私watashiはhaメイメイmeimei。貴女anataをwo救sukuいにきたのinikitano。」
「貴女anataにni見miせてあげるseteageru。"今ima"のno貴女anataがga、これからどんなkorekaradonna運命unmeiをwo辿tadoるはずだったのかをruhazudattanokawo」
「メイメイmeimeiはha語kataりかけるrikakeru。かつてkatsute語kataられなかったrarenakatta、最mottoもmo最悪saiakuのno可能性kanousei。」
「メイメイmeimeiはha語kataりかけるrikakeru。残酷zankokuなna運命unmei。そのsono全subeてをtewo見通mitooしたshitaモノmonoのno目meでde。」
「メイメイmeimeiはha語kataりかけるrikakeru。フィfiーナnaのno意志ishiなどnado存在sonzaiしないshinai、一方的ippoutekiなna救済kyuusai。」
「メイメイmeimeiはha語kataりかけるrikakeru。そのsono美utsukuしいshii魂tamashiiのno色iro、損sokoなわれぬようnawarenuyou。」
「これはkoreha誰dare……?まさかmasaka……私watashi?」
捻hineくれたkureta螺旋rasen――――――運命unmeiのno神kamiはかくもhakakumo厳kibiしshi
赦yuruされたsareta罪過zaika――――――生iきることだけをkirukotodakewo考kangaえよeyo
終owaりri無naきki夢想musou――――――いつかitsuka生uまれmare来kuるru君kimiをwo信shinじji
慎tsutsuましきmashiki日々hibi――――――そこにsokoni来kuるru悪夢akumuのno使者shisya
こちらにkochirani向muけるkeru目meがga 哀awaれそうにresouni私watashiをwo射抜inuいてite
発haxtuせられるserareru言葉kotobaがga 残酷zankokuなna運命unmeiをwo告tsuげるgeru
小chiiさなsana鏡kagamiがga 映utsuしshi出daしたshita見知mishiらぬranu光景koukei
見慣minaれぬrenu誰dareかがkaga “何naniかka”をwo抱daいてite泣naいていたiteita……
醜minikuいi魂tamashiiにni価値kachiなどないとnadonaito吐haきki棄suててtete
指saしshi示shimeすそのsusono姿sugataはha
見miてはならないtehanaranai凄惨seisanなna赤iroをwo帯oびていたbiteita―――
響hibiくku叫sakeびbi声koe 只一tadahitoつのtsuno名前namae
かつてkatsute描kaいたそれをitasorewo彼女kanojoはha呼yoびbi続tsuduけていたketeita
生uまれたmareta時tokiにはとnihato 心kokoroにni決kiめていたmeteita
わがwaga子koのno名前namaeがga刻kizaまれたひとつのmaretahitotsuno瑕kizu
何度nandoもmo何度nandoもそのmosono名naをwo呼yoぶはbuha
壊kowaれかけのrekakeno機械kikaiのようでnoyoude
何度nandoもmo何度nandoもそのmosono名naをwo呼yoぶはbuha
それがsorega愛itoしきものshikimono故ko
「そんなsonna……あれはareha、私watashi。じゃあjaa、あのano子koがgaエフティヒアefutihia……。そんなsonna……だってdatte、死shiんでるじゃないnderujanai……!」
凡oyoそso己onoreとはtoha 認mitoめられようもないmerareyoumonai姿sugataにni
たまらずtamarazuフィfiーナnaはha 呆然bouzenとしてtoshite膝hizaをついたwotsuita
いくつものikutsumono世界sekaiをwo 垣間見選kaimamieraんだnda筈hazuのno現実sekaiにni
どうしてこんなdoushitekonna仕打shiuちchi 誰dareをwo呪noroえばいいのだろうebaiinodarou
響hibiくku無為muiなna羽音haotoがga明日ashitaをwo呆気akkeなくnaku壊kowaしてshite
そのsono最後待saigomaっていたのがtteitanoga
わがwaga子koをwo喪ushinaったtta私hahaoya()のno姿sugataかka
ねえおneeo願negaいだからidakara そのsono目meをあけてよwoaketeyo
エフィefiー!嗚o...まだmada碌rokuにni抱daきしめてもいなかったのにkishimetemoinakattanoni……
大切taisetsuなnaモノmonoをwo 奪ubaわれるwareru未来miraiにni
何naniのno価値kachiがあるのかとただgaarunokatotada自問jimonしshi続tsuduけたketa
何度nandoもmo何度nandoもmo頭atamaをwo振fuってtte
必死hisshiにni否定hiteiしようとするけどshiyoutosurukedo
何度nandoもmo何度nandoもmo蘇yomigaeるru光景koukei
そしてsoshite倒taoれre伏fuすsuフィfiーナna
放棄houkiせよseyo
ただtada嫌悪kenoせよseyo
生seiをwo選eraびbi地chiをwo這haうそのusono姿sugata
絶望zetsubouせよseyo
ただtada恭順kyoujunせよseyo
明日ashitaをwo選eraぶことのないようにbukotononaiyouni
そのsono一切issaiからkara目meをwo逸soらしてもrashitemo―――
ねえもういいでしょうneemouiidesyou? 貴女anataのno未来miraiなんてnante
こんなどうしようもないkonnadoushiyoumonai結末ketsumatsuしかshika待maっていないのだからtteinainodakara
愛aiしているならshiteirunara 死shiなせたくないならnasetakunainara
貴女anataのno“選eraびbi取toるru”道michiなどnado一hitoつしかないtsushikanai
現実genjitsuはha虚utsuろro 告解kokkaiのno果haてにteni
全subeてte否定hiteiするsuru 薬kusuriをwo一hitoつtsu
これでkorede貴女anataもmo きっとkitto幸shiawaせにseni
永遠eienのno世界sekaiをwo歩ayuもうmou―――
「愛aiをwo注sosoがれるgareru間maもなくmonaku、消kiえていくeteiku。そんなsonna可能性kanouseiはha、最初saisyoからkara生uまれないほうがいいmarenaihougaii。そうsou思omoうでしょうudesyou?」
「大丈夫daijoubu。全subeてはteha嫌iyaなna夢yume。忘wasuれてしまえるからねreteshimaerukarane?貴女anataはなhanaーんにもnnimo心配shinpaiしなくていいのよshinakuteiinoyo」
「さあsaa、目meをwo覚saましなさいmashinasai、フィfiーナna。」
「うu…貴女anataはha…誰dare…?」
「知shiらないのもranainomo無理muriはないわhanaiwa。私watashiはha、貴女anataのno遠tooいi血縁ketsuenにあたるniataru者mono。倒taoれたreta貴女anataのno様子yousuをwo見miていたのteitano。」
「これをおkorewoo飲noみなさいminasai。今imaよりもyorimo、もっとmotto、楽rakuになれるわninareruwa…」
「フィfiーナna。残酷zankokuなna運命unmeiにni翻弄honrouされたsareta少女syoujo。
そうしてあるときをsoushitearutokiwo境sakaiにni、彼女kanojoのno行方yukueはha誰dareもmo知shiることはなかったrukotohanakatta―――」