お吉物語 歌詞 木村友衛 ふりがな付

泣ないて昔むかしが 返かえるなら
なんで愚痴ぐちなど 言いうものか
花はなのいのちは 一度いちどだけ
よしておくれよ 気休きやすめは

なにもかもお仕舞しまいなんだ。
でもさ、わたしにゃ判わかったのさ。
どんなに男おとこを憎にくんだって、女おんなは女おんな、
女おんなひとりじゃ暮くらせないってことがさ。
世よの中なかを渡わたり歩あるいて、しみじみそう思おもったんだよ。
わたしだって女おんなだものねぇ…。

夢ゆめも見みました 恋こいもした
二世にせいを誓ちかった 人ひとも居いた
娘むすめごころの 紅べにつばき
どこで誰方どなたが 折おったやら

ハリスさんも死しんだ。鶴つるさんも死しんだ。
今度こんどはわたしの番ばんなんだ。
今いまのわたしは、穴あなのあいた三味線しゃみせんみたいなものなんだ。
どんなにつくろってみたって、もう昔むかしの音おとなんか出でやしない。
…お酒さけだよ。お酒さけをおくれッー

辛つらい浮世うきよの 路地ろじうらで
毒どくと知しりつつ 呑のむお酒さけ
下田しもだ港こうの お月様つきさま
明あかるすぎます お吉きちには