蛙楽 歌詞 森羅万象 ふりがな付

夜道よみちで鳴ないたのは誰だれの声こえ

山やまの中なかを駆かけて 育そだつ子こには
怖おそれ 知しらず 知しらず 生いきて来きた
潜くぐり抜ぬけた鳥居とりい 蝉せみの声こえも
知しらぬ間あいだに 消きえて

人知ひとしれず 泣ないていた蛙かえるが
「いっせいのせ」でざわめき
「かえろかえろ」と後うしろ髪がみ引ひく

小指こゆびと小指こゆび
ほら結むすんで開ひらきましょう さぁ
鳥とり居いの先さきに 内緒ないしょの隠かくれ里ざと
何なにをして遊あそびましょう

小石こいしが水みずを切きり 向むこう岸ぎしへ
何度なんど 跳はねて 跳はねて 届とどくのか
向むきになって競きそって 気きが付ついたら
一人ひとりぼっちで 石いしを握にぎっていた

今いまは等間隔とうかんかくとうせんぼう
お目目めめお手手ててごっつんこ
かごめかごめよ 手ての鳴なる方ほうへ

鬼おにさんこちら
お家うちへお送おくりしましょう さぁ
こちらを見みずに おいでやおいでませ

(誰だれが鳴ないた 誰だれが泣ないた?)
夕焼ゆうやけ小焼こやけで日暮ひぐれ(誰だれも知しらず 誰だれと知しれず)
おうちへほら(家うちへ帰かえる 森もりへ変かえる)
かえりましょかえりましょ
鳴ないた鴉からすが(川かわへカエル 水みずへカエル)
全すべて消きえてしまわぬ前まえに
最後さいごに遊あそびましょう(土つちに蛙かえる)
一生いっしょう一度いちどの鬼おにごっこさ
逃にげろ 逃にげろや こっちにおいで

命いのち短みじかし 赤あかい靴くつはだれのもの? さぁ
捕つかまる前まえに お家うちへ帰かえりなさい
「昔々むかしむかし」で 始はじまる物語ものがたりなんて
碌ろくでもないさ 忘わすれてしまいなさい
笑わらい声ごえがピュウと風かぜに乗のって消きえた