よみ:とっこうのはは
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いくら飛行ひこう兵へいだと云いっても、まだ十五じゅうごや十六じゅうろくの子こ供ども達たち。それがあなた……基地きちの母かあさん泣なかないで。だって僕ぼく達たちが行いかなけりゃアこの戦争せんそうは勝かてないんだ。でもきっと帰かえってくる、会あいにくる、たとえ蛍ほたるになってでも……そう云いって、沖縄おきなわの空そらへ飛とんでいったのです……還かえれないのを覚悟かくごして……。
花はなの蕾つぼみが 見みた夢ゆめは
七なな度たび空そらを 血ちに染そめて
死しんで見みせます お母かあさん
ああ お母かあさん
眠ねむる九く段だんの 花はなのかげ
そしたらどうでございましょう―― その晩ばん、庭にわへ、尾おを引ひくような淡あわい光ひかりが……アーッ、あの子こだ……。
会あいに来きたのに 違ちがいない
蛍ほたるが見みえた おばさんと
呼よんでいる様ように 泣なく様ように
ああ 泣なく様ように
草くさの葉末はずえの 露つゆの上うえ
あれから三十二さんじゅうに年ねん。でも嬉うれしい。沖縄おきなわの空そらへ散ちった千十五せんじゅうご人にんの子供こども達たちを祀まつった観音様かんのんさまが出来できたのです。私わたしの、この命いのち……子供こども達たちの供養くように捧ささげて生いきて行いきとうございます……。
君きみの霊みたまよ 安やすらけく
眠ねむらせ給たまえと 老おいの身みの
杖つえにすがって 今日きょうもゆく
ああ 今日きょうもゆく
知覧ちらん観音かんのん ただ涙なみだ
花はなの蕾つぼみが 見みた夢ゆめは
七なな度たび空そらを 血ちに染そめて
死しんで見みせます お母かあさん
ああ お母かあさん
眠ねむる九く段だんの 花はなのかげ
そしたらどうでございましょう―― その晩ばん、庭にわへ、尾おを引ひくような淡あわい光ひかりが……アーッ、あの子こだ……。
会あいに来きたのに 違ちがいない
蛍ほたるが見みえた おばさんと
呼よんでいる様ように 泣なく様ように
ああ 泣なく様ように
草くさの葉末はずえの 露つゆの上うえ
あれから三十二さんじゅうに年ねん。でも嬉うれしい。沖縄おきなわの空そらへ散ちった千十五せんじゅうご人にんの子供こども達たちを祀まつった観音様かんのんさまが出来できたのです。私わたしの、この命いのち……子供こども達たちの供養くように捧ささげて生いきて行いきとうございます……。
君きみの霊みたまよ 安やすらけく
眠ねむらせ給たまえと 老おいの身みの
杖つえにすがって 今日きょうもゆく
ああ 今日きょうもゆく
知覧ちらん観音かんのん ただ涙なみだ