透命人間 歌詞 Bocchi ふりがな付

いつも僕ぼくは逃にげてばっかりの
千鳥足ちどりあし 青春せいしゅんを横目よこめに
真夏まなつの大敵たいてき「焦燥しょうそう」で
呼吸こきゅう、言葉ことば一ひとつさえ億劫おっくう
放課ほうか後ご 僻ひが差さす校舎こうしゃ裏うら
次第しだいに僕ぼくら透明とうめい人間にんげん
「いつか死しんだら、」って思おもうような明日あしたに
君きみを描えがいた

うざいくらいに暑あつかったんだ
鬱うつ伏ぶせる教室きょうしつの窓際まどぎわ
吹ふき飛とばすは有線ゆうせんイヤホンと
喉のど奥おくに詰つまるCメロディ
目めに映うつった雲くもを追おいかけて
思おもい出でばっかりが綺麗きれいで
思おもい出だしても戻もどれなくて
青あおの中なかにずっといたんだ
ずうっと傷いたんだ

空そらに夏なつ 薫かおって僕ぼくら、
今いまだけこのままでいよう。

表あらわしたいから
空そらになりたいから
深ふかい海うみの青あおになりたいから
君きみを描かきたいから
そこにいたいから
夢ゆめじゃ足たりないのは分わかるから
分わかってるから

どうせ死しぬなら今いまだったんだ
人生じんせいは五ご畳じょうの窓際まどぎわ
塵ちりみたいな表現ひょうげん欲よくで
綴つづる歌詞かしすらもう台本だいほんだ
海辺うみべを走はしる扁平足へんぺいそくの
風かぜに成なった夏なつの少女しょうじょには
外はずせないままの栞しおりごと
僕ぼくも連つれ出だしてくれないか

僕ぼくの心こころなんて露つゆも知しらずに
雨上あめあがりに架かかる虹にじのように
尖とがった言葉ことば 拾ひろった振ふりをしてくれた
君きみなら分わかるだろ
もうじき梅雨つゆも明あければさ
これがきっと僕ぼくら最期さいごの夏なつ
だから

表あらわしたいから
書かき留とめたいから
二人ふたりの影かげはまだ遺のこってるから
触ふれていたいから
ずっといたいから
夢ゆめから覚さめてもまだ君きみを

描えがいていたいから
歌うたっていたいから
君きみを思おもい出だせなくなったとしてもまだ
僕ぼくの瞼まぶたに触ふれてくれたこと
僕ぼくの涙なみだを掬すくってくれたこと
忘わすれないから