DIARY 歌詞 上北健 ふりがな付

痛いたいこと忘わすれて、零こぼしたあの青あおい言葉ことば。遠とおい春はるの終おわり。
夕暮ゆうぐれの街まちは今日きょうの罪つみを知しらないように、終おわりの鐘かねを鳴ならすん
だ。

路地裏ろじうら。笑わらい声ごえ。窓まどの向むこう、嬉うれしそうな家族かぞくの風景ふうけい。
胸むねが苦くるしくて見上みあげた先さき、はじめての星ほしが輝かがやいていた。

僕ぼくはひとり常夜灯じょうやとうに照てらされて、明日あすを待まって、秒針びょうしんに急せかされ
て、
気付きづけば何なにも残のこらない今日きょうを|悔くやんでは放ほうり出だして、
いつも残のこるのは変かわれない僕ぼくの方ほうだ。

愛あいに怯おびえて離はなれた町まち。風かぜはまだ暑あつい。夏なつの終おわり。
積つみ上あげた荷物にもつ、笑わらい合あえた日ひの記憶きおく、置おき去ざりで歩あるく。
先さきは見みえないけど。君きみが居いないけど。

遠回とおまわり、
ブランコ公園こうえん、
水飲みずのみ場ば、
消きえゆく命いのち、
市民しみんホール、
ピアノの音おと、

君きみが儚はかなく笑わらうんだ。

重かさなり合あう景色達けしきたちが啄ついばんでゆく、僕ぼくの形かたちを。
ありふれた声こえは要いらない。僕ぼくは要いらない。

腫はれた目めこすって約束やくそくした、また会あうこと。辛つらい秋あきの終おわり。
大丈夫だいじょうぶ、君きみなら。笑わらっていて。と、胸むねの中絶なかたえず響ひびく。今いまもほら。

転ころんだって前まえだけを向むいて、みっともなくても気きにしないで、
言いいたいな、｢ずっと一緒いっしょに居いてよ。｣

僕ぼくにだって意味いみがあるように、誰だれにだって意味いみがあるから。
聞ききたいな、明日あすに繋つながる声こえを。

いつか今日きょうを思おもい出だす時ときに、君きみの笑顔えがおが消きえないように。
いつか僕ぼくが居いなくなる前まえに、君きみとの日々ひびが消きえないように、
これを残のこすよ。

あいも変かわらず足跡あしあとひとつ。道みちの途中とちゅう。寒さむい冬ふゆの終おわり。
夕暮ゆうぐれの街まちが、少すこしだけ優やさしく見みえた。そんな日ひの話はなし。