夜行バスにて 歌詞 花譜 ふりがな付

遠とおい目めをした街灯がいとうが
今更いまさら責せめたててくる
夜行やこうバスはあと五ご分ふん
ざわついた灯あかりが揺ゆれている

嫌いや気けがさした母ははに連つれられ
二人ふたりで浴あびた朝日あさひは
今いまも 覚おぼえている

角かどを曲まがれば雨あめが降ふっていて
通とおりに出でれば人ひとが鳴ないていて
野良猫のらねこが泣ないて爪つめを噛かんでいる
放浪ほうろう少女しょうじょが抱だきかかえている

そんな情景じょうけいを風化ふうかしていく

過疎かそ化かした夕焼ゆうやけが
過すぎ去さって夜よるの街まちになり
夜よるに溺おぼれたがる僕ぼくたちは
廃はいビルの屋上おくじょうで黄昏たそがれる

遠慮えんりょ気味ぎみの太陽たいようが
何なにもかも綺麗きれいに焼やき払はらう
そんな街まちに僕ぼくはいた
この街まちで生いきていた

五ご分ふんも歩あるけば田舎いなかになって
蛙かえるがいつも待まっている
その先さきの僕ぼくの家いえは今いまでは
ここからはもう見みえない

ハエがまとわりついて
駄菓子屋だがしやはいつか潰つぶれて
昔むかし通どおりに生いきていけると
思おもっていたら大おお違ちがいだ

ラブホ街がいを抜ぬけた先さきで
姉あねの迎むかえをまっている
そんな街まちに僕ぼくはいた
この街まちで生いきていた
この街まちに僕ぼくはいた