うつらうつら居眠いねむりの只中ただなかに、
遠とおくから音おとがする
しだいしだいに近付ちかづくその音おとに、
つられて家いえを出でる
ひっかけた下駄げたの鼻緒はなおがすり切きれて、
おまけに夕立ゆうだちに降ふられちゃ、もう拍子抜ひょうしぬけさ
取とり繕つくろった下駄げたを履はき直なおして、
どうにか、家いえを出でる
今年ことしもまた、お見掛みかけできるだろか
杏子あんず屋や娘むすめは
橙色だいだいいろした灯あかりに照てらされて
うすい紅くれないの君きみが振ふり返かえる
あの時ときはまだ あまり知しらない
したたる蜜みつを眺ながめてるだけ
甘あまい香かおりと 青あおいかんざし
素足すあしについた夕立ゆうだちの跡あと
困こまった君きみのそば 枕まくら湿しめらす、
暑あつい夏なつの夜よる
うつらうつらutsurautsura居眠inemuりのrino只中tadanakaにni、
遠tooくからkukara音otoがするgasuru
しだいしだいにshidaishidaini近付chikaduくそのkusono音otoにni、
つられてtsurarete家ieをwo出deるru
ひっかけたhikkaketa下駄getaのno鼻緒hanaoがすりgasuri切kiれてrete、
おまけにomakeni夕立yuudachiにni降fuられちゃrarecha、もうmou拍子抜hyoushinuけさkesa
取toりri繕tsukuroったtta下駄getaをwo履haきki直naoしてshite、
どうにかdounika、家ieをwo出deるru
今年kotoshiもまたmomata、おo見掛mikaけできるだろかkedekirudaroka
杏子anzu屋ya娘musumeはha
橙色daidaiiroしたshita灯akaりにrini照teらされてrasarete
うすいusui紅kurenaiのno君kimiがga振fuりri返kaeるru
あのano時tokiはまだhamada あまりamari知shiらないranai
したたるshitataru蜜mitsuをwo眺nagaめてるだけmeterudake
甘amaいi香kaoりとrito 青aoいかんざしikanzashi
素足suashiについたnitsuita夕立yuudachiのno跡ato
困komaったtta君kimiのそばnosoba 枕makura湿shimeらすrasu、
暑atsuいi夏natsuのno夜yoru