(おばあちゃん おばあちゃん 大好だいすき)
遠とおく忘わすれた 幼子おさなごの
ほのかな匂におい 懐なつかしく
愛いとしさたまらず 抱だき寄よせる
この日ひこの時とき この姿すがた
時ときの流ながれよ 止とまれと願ねがう
孫まごの可愛かわいさ わが子こに勝まさる
初はじめて出会であった 子育こそだてに
戸惑とまどい悩なやむ 若わかい親おや
忘わすれていません 私わたしとて
孫まごの未来みらいの ためならば
無理むりも聞ききます 力ちからにもなる
孫まごの可愛かわいさ わが身みに勝まさる
「おばあちゃん、こんにちは」
「あら、結衣ゆいちゃん、いらっしゃい」
「見みて見みて、おばあちゃん。これママに買こうてもろてんで」
「まぁ、可愛かわいいお洋服ようふくね」
「あのな、お店みせでバーゲンしててん。せやからママが買こうてくれてん、
な、ママ、これ安やすかったもんね」
「かなんなぁ…、おばあちゃんにそんなことまで言いわんでええの」
「いいからいいから。結衣ゆいちゃん、今度こんどはおばあちゃんが、
もっと上等じょうとうで綺麗きれいなお洋服ようふくをデパートで買かってあげますからね」
「そんな…結構けっこうです!」
「あら?私わたしが孫まごに、何なにか買かってあげたらダメって言いうの?」
「そ、そんな意味いみやないんですけど…贅沢ぜいたくなもんはちょっと…」
「あぁ、そうですか。でもね智子ともこさん、
結衣ゆいちゃんの大阪弁おおさかべんだけは何なんとかしてもらわないとね、
私わたしにはもうじれったくって…まるで冗談じょうだんのように聞きこえるの。
こちらに来きて一年いちねんも経たつのに、
結衣ゆいちゃんが幼稚園ようちえんで笑わらわれたら可哀想かわいそうでしょ!
まず母親ははおやの貴女あなたから気きをつけなさい!」
「でも、今いまのところ幼稚園ようちえんではいじめられてもいませんし…、
逆ぎゃくに…おもしろいって人気にんきなんですよ」
「違ちがうわよ、バカにされてるのが、分わからないの?結衣ゆいちゃんが可哀想かわいそう!」
「それはお義母かあさんが私わたしらの大阪弁おおさかべんをバカにしてるんと違ちがいますか?」
「そんなことないわ」
「私わたしはおばあちゃん子こやったんで…
でもこれでもちょっとずつ直なおしてるんです!」
「そう、それじゃ、せいぜいがんばってちょうだい」
「なあ…、お前まえ…、
俺おれは前まえから智子ともこさんや結衣ゆいの大阪弁おおさかべんは愛嬌あいきょうがあっていいと思おもうがなぁ…」
「あなたは孫まごや嫁よめに甘あまいんですよ、
私わたしは二人ふたりのために言いってるんですから」
「そのうちこっちの暮くらしにも慣なれるさ、
あせらずゆっくり待まってやったらどうなんだ」
東京とうきょう生うまれの うちの子こと
大阪おおさか育そだちの この人ひとが
縁えんあり二人ふたり 夫婦ふうふになった
別べつに反対はんたい するのじゃないが
何なにかにつけて 気きに障さわる
知しらない土地とちで 寂さみしいだろうに
困こまった時ときにも 頼たよってこない
大事だいじな息子むすこを 愛あいしてくれて
今いまじゃ可愛かわいい 孫まごもいる
あなたを決けっして 嫌きらいじゃないが
なぜか言葉ことばが すれ違ちがう
「俊夫としおさん、今日きょうもまた、お義母かあさんに大阪弁おおさかべん注意ちゅういされてん…」
「おかしいなぁ~そんなことを言いうお袋ふくろじゃないのになぁ~、
大丈夫だいじょうぶだよ、きっとそのうち智子ともこのことをわかってくれるさ」
「そんならえぇねんけど…」
「智子ともこさん!結衣ゆいが、結衣ゆいちゃんが車くるまにひかれたんですって?」
「お義母かあさん!どうしたらえぇんでしょう、
結衣ゆいが病院びょういんに運はこばれたって連絡れんらくもろて、私わたし…うちの人ひと出張しゅっちょうやし、
とにかくお義母かあさんに来きてもらいとうて電話でんわしましてん…
今いまレントゲン撮とってるらしいんです…」
「頭あたまでも打うってたら大変たいへん、結衣ゆいちゃんに何なにかあったらと思おもうと…」
「どないしょう…結衣ゆい、結衣ゆい…」
「落おち着つくのよ、きっと大丈夫だいじょうぶ。泣ないてどうするの」
「そやかて、なんやお義母かあさんの顔かおを見みてたら、
安心あんしんして…涙なみだが出でてしもて…」
「そう!私わたしが一緒いっしょにいますからね…さぁ、涙なみだを拭ふいて」
「ありがとうお義母かあさん。いっつもすいません、可愛かわいげのない嫁よめで…」
「いいえ、慣なれない土地とちでよくがんばっているじゃないの。
とにかく、あなたは私わたしの大事だいじな家族かぞくなのよ。もっと甘あまえてくれたらいいの」
「お義母かあさん…おおきに…」
「ママ!おばあちゃん!あれどうしたん、ママ?ママ泣ないてたん?」
「ううん、おばあちゃんがな、ママにやさしい言葉ことばを…
結衣ゆいちゃん、大丈夫だいじょうぶなん?どこ怪我けがしたん?」
「あのな、お友達ともだちと鬼おにごっこしててな、自転車じてんしゃにぶつかってん」
「えっ?車くるまやのうて自転車じてんしゃかいな?」
「でも走はしる自転車じてんしゃも危あぶないわよ。怖こわかったでしょ?結衣ゆいちゃん」
「おばあちゃん違ちがうねん。止とまってた自転車じてんしゃにな結衣ゆいがぶつかってん、
ほんで、お医者いしゃさんがな、結衣ゆいのデボチンに薬くすり塗ぬってくれてん」
「デボチンて…おでこと言いいなさい。ほかに痛いたい所ところはないねんな。
あぁ良よかった。うちてっきり自動車じどうしゃにぶつかったと…
ほんまえらいすいません、
うちがすかたん聞きいてたばっかしにお義母かあさんにご心配しんぱいかけてしもて…」
「いいの、無事ぶじが何なにより」
「ほんまおおき…いえ、ありがとうございました」
「いいえ大阪弁おおさかべんって…聞ききなれると何なんだか暖あたたかくて味あじがある言葉ことばね。
でも…デボチンって…どこのこと?」
生うまれ育そだちは 違ちがえども
縁えんあり家族かぞくに なった仲なか
子こはかすがいと 言いうけれど
孫まごもかすがい 皆みんな幸しあわせに
澄すんだ瞳ひとみに みつめられ
はじける笑顔えがお 見みるたびに
大事だいじなこの子こに 幸しあわせを
朝あさな夕ゆうなに 祈いのります
明日あすに続つづく 命いのちの絆きずな
孫まごの可愛かわいさ 宝たからに勝まさる
(おばあちゃんobaachan おばあちゃんobaachan 大好daisuきki)
遠tooくku忘wasuれたreta 幼子osanagoのno
ほのかなhonokana匂nioいi 懐natsuかしくkashiku
愛itoしさたまらずshisatamarazu 抱daきki寄yoせるseru
このkono日hiこのkono時toki このkono姿sugata
時tokiのno流nagaれよreyo 止toまれとmareto願negaうu
孫magoのno可愛kawaiさsa わがwaga子koにni勝masaるru
初hajiめてmete出会deaったtta 子育kosodaてにteni
戸惑tomadoいi悩nayaむmu 若wakaいi親oya
忘wasuれていませんreteimasen 私watashiとてtote
孫magoのno未来miraiのno ためならばtamenaraba
無理muriもmo聞kiきますkimasu 力chikaraにもなるnimonaru
孫magoのno可愛kawaiさsa わがwaga身miにni勝masaるru
「おばあちゃんobaachan、こんにちはkonnichiha」
「あらara、結衣yuiちゃんchan、いらっしゃいirassyai」
「見miてte見miてte、おばあちゃんobaachan。これkoreママmamaにni買koうてもろてんでutemorotende」
「まぁmaa、可愛kawaiいおio洋服youfukuねne」
「あのなanona、おo店miseでdeバbaーゲンgenしててんshiteten。せやからseyakaraママmamaがga買koうてくれてんutekureten、
なna、ママmama、これkore安yasuかったもんねkattamonne」
「かなんなぁkanannaa…、おばあちゃんにそんなことまでobaachannisonnakotomade言iわんでええのwandeeeno」
「いいからいいからiikaraiikara。結衣yuiちゃんchan、今度kondoはおばあちゃんがhaobaachanga、
もっとmotto上等joutouでde綺麗kireiなおnao洋服youfukuをwoデパdepaートtoでde買kaってあげますからねtteagemasukarane」
「そんなsonna…結構kekkouですdesu!」
「あらara?私watashiがga孫magoにni、何naniかka買kaってあげたらtteagetaraダメdameってtte言iうのuno?」
「そso、そんなsonna意味imiやないんですけどyanaindesukedo…贅沢zeitakuなもんはちょっとnamonhachotto…」
「あぁaa、そうですかsoudesuka。でもねdemone智子tomokoさんsan、
結衣yuiちゃんのchanno大阪弁oosakabenだけはdakeha何nanとかしてもらわないとねtokashitemorawanaitone、
私watashiにはもうじれったくってnihamoujirettakutte…まるでmarude冗談joudanのようにnoyouni聞kiこえるのkoeruno。
こちらにkochirani来kiてte一年ichinenもmo経taつのにtsunoni、
結衣yuiちゃんがchanga幼稚園youchienでde笑waraわれたらwaretara可哀想kawaisouでしょdesyo!
まずmazu母親hahaoyaのno貴女anataからkara気kiをつけなさいwotsukenasai!」
「でもdemo、今imaのところnotokoro幼稚園youchienではいじめられてもいませんしdehaijimeraretemoimasenshi…、
逆gyakuにni…おもしろいってomoshiroitte人気ninkiなんですよnandesuyo」
「違chigaうわよuwayo、バカbakaにされてるのがnisareterunoga、分wakaらないのranaino?結衣yuiちゃんがchanga可哀想kawaisou!」
「それはおsorehao義母kaaさんがsanga私watashiらのrano大阪弁oosakabenをwoバカbakaにしてるんとnishiterunto違chigaいますかimasuka?」
「そんなことないわsonnakotonaiwa」
「私watashiはおばあちゃんhaobaachan子koやったんでyattande…
でもこれでもちょっとずつdemokoredemochottozutsu直naoしてるんですshiterundesu!」
「そうsou、それじゃsoreja、せいぜいがんばってちょうだいseizeiganbattechoudai」
「なあnaa…、おo前mae…、
俺oreはha前maeからkara智子tomokoさんやsanya結衣yuiのno大阪弁oosakabenはha愛嬌aikyouがあっていいとgaatteiito思omoうがなぁuganaa…」
「あなたはanataha孫magoやya嫁yomeにni甘amaいんですよindesuyo、
私watashiはha二人futariのためにnotameni言iってるんですからtterundesukara」
「そのうちこっちのsonouchikotchino暮kuらしにもrashinimo慣naれるさrerusa、
あせらずゆっくりaserazuyukkuri待maってやったらどうなんだtteyattaradounanda」
東京toukyou生uまれのmareno うちのuchino子koとto
大阪oosaka育sodaちのchino このkono人hitoがga
縁enありari二人futari 夫婦fuufuになったninatta
別betsuにni反対hantai するのじゃないがsurunojanaiga
何naniかにつけてkanitsukete 気kiにni障sawaるru
知shiらないranai土地tochiでde 寂samiしいだろうにshiidarouni
困komaったtta時tokiにもnimo 頼tayoってこないttekonai
大事daijiなna息子musukoをwo 愛aiしてくれてshitekurete
今imaじゃja可愛kawaiいi 孫magoもいるmoiru
あなたをanatawo決kextuしてshite 嫌kiraいじゃないがijanaiga
なぜかnazeka言葉kotobaがga すれsure違chigaうu
「俊夫toshioさんsan、今日kyouもまたmomata、おo義母kaaさんにsanni大阪弁oosakaben注意chuuiされてんsareten…」
「おかしいなぁokashiinaa~そんなことをsonnakotowo言iうおuo袋fukuroじゃないのになぁjanainoninaa~、
大丈夫daijoubuだよdayo、きっとそのうちkittosonouchi智子tomokoのことをわかってくれるさnokotowowakattekurerusa」
「そんならえぇねんけどsonnaraeenenkedo…」
「智子tomokoさんsan!結衣yuiがga、結衣yuiちゃんがchanga車kurumaにひかれたんですってnihikaretandesutte?」
「おo義母kaaさんsan!どうしたらえぇんでしょうdoushitaraeendesyou、
結衣yuiがga病院byouinにni運hakoばれたってbaretatte連絡renrakuもろてmorote、私watashi…うちのuchino人hito出張syutchouやしyashi、
とにかくおtonikakuo義母kaaさんにsanni来kiてもらいとうてtemoraitoute電話denwaしましてんshimashiten…
今imaレントゲンrentogen撮toってるらしいんですtterurashiindesu…」
「頭atamaでもdemo打uってたらttetara大変taihen、結衣yuiちゃんにchanni何naniかあったらとkaattarato思omoうとuto…」
「どないしょうdonaisyou…結衣yui、結衣yui…」
「落oちchi着tsuくのよkunoyo、きっとkitto大丈夫daijoubu。泣naいてどうするのitedousuruno」
「そやかてsoyakate、なんやおnanyao義母kaaさんのsanno顔kaoをwo見miてたらtetara、
安心anshinしてshite…涙namidaがga出deてしもてteshimote…」
「そうsou!私watashiがga一緒issyoにいますからねniimasukarane…さぁsaa、涙namidaをwo拭fuいてite」
「ありがとうおarigatouo義母kaaさんsan。いっつもすいませんittsumosuimasen、可愛kawaiげのないgenonai嫁yomeでde…」
「いいえiie、慣naれないrenai土地tochiでよくがんばっているじゃないのdeyokuganbatteirujanaino。
とにかくtonikaku、あなたはanataha私watashiのno大事daijiなna家族kazokuなのよnanoyo。もっとmotto甘amaえてくれたらいいのetekuretaraiino」
「おo義母kaaさんsan…おおきにookini…」
「ママmama!おばあちゃんobaachan!あれどうしたんaredoushitan、ママmama?ママmama泣naいてたんitetan?」
「ううんuun、おばあちゃんがなobaachangana、ママmamaにやさしいniyasashii言葉kotobaをwo…
結衣yuiちゃんchan、大丈夫daijoubuなんnan?どこdoko怪我kegaしたんshitan?」
「あのなanona、おo友達tomodachiとto鬼oniごっこしててなgokkoshitetena、自転車jitensyaにぶつかってんnibutsukatten」
「えっextu?車kurumaやのうてyanoute自転車jitensyaかいなkaina?」
「でもdemo走hashiるru自転車jitensyaもmo危abuないわよnaiwayo。怖kowaかったでしょkattadesyo?結衣yuiちゃんchan」
「おばあちゃんobaachan違chigaうねんunen。止toまってたmatteta自転車jitensyaになnina結衣yuiがぶつかってんgabutsukatten、
ほんでhonde、おo医者isyaさんがなsangana、結衣yuiのnoデボチンdebochinにni薬kusuri塗nuってくれてんttekureten」
「デボチンdebochinてte…おでことodekoto言iいなさいinasai。ほかにhokani痛itaいi所tokoroはないねんなhanainenna。
あぁaa良yoかったkatta。うちてっきりuchitekkiri自動車jidousyaにぶつかったとnibutsukattato…
ほんまえらいすいませんhonmaeraisuimasen、
うちがすかたんuchigasukatan聞kiいてたばっかしにおitetabakkashinio義母kaaさんにごsannigo心配shinpaiかけてしもてkaketeshimote…」
「いいのiino、無事bujiがga何naniよりyori」
「ほんまおおきhonmaooki…いえie、ありがとうございましたarigatougozaimashita」
「いいえiie大阪弁oosakabenってtte…聞kiきなれるとkinareruto何nanだかdaka暖atataかくてkakute味ajiがあるgaaru言葉kotobaねne。
でもdemo…デボチンdebochinってtte…どこのことdokonokoto?」
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縁enありari家族kazokuにni なったnatta仲naka
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孫magoもかすがいmokasugai 皆minna幸shiawaせにseni
澄suんだnda瞳hitomiにni みつめられmitsumerare
はじけるhajikeru笑顔egao 見miるたびにrutabini
大事daijiなこのnakono子koにni 幸shiawaせをsewo
朝asaなna夕yuuなにnani 祈inoりますrimasu
明日asuにni続tsuduくku 命inochiのno絆kizuna
孫magoのno可愛kawaiさsa 宝takaraにni勝masaるru