「待まち望のぞんでいた解放かいほうの時とき。
久々ひさびさにみる仲間なかま達たちの顔かおは、少すこしやつれているようで。
けれど、変かわらずそこにあった――――今いまも」
「ねぇ、嬉うれしいのに不自然ふしぜんにしか笑顔えがおを作つくれないんだ」
魔女まじょに矯正きょうせいされた 紛まがいモノの表情ひょうじょう
ah...魔女まじょの毒どくは 歓喜かんきの波なみも抑制よくせいするほど深ふかく
痛いたましい爪痕つめあとは消きえないかもしれないけど
恐おそる恐おそる控ひかえめながら 喜よろこびを分わかち合あう子供達こどもたちは
鎖くさりを外はずし 手てを取とり合あい生せいを確たしかめるように
碧あおに染そまるセカイで 産声うぶごえをあげるは
狩かり尽つくされて失なくしていた新あらたなる絆きずな
血ちよりも色濃いろこい絆きずなが いつか生うまれていた
強つよく結むすばれた仲間なかま これからを紡つむぐ幻想げんそう――――
「羨うらやましいな、彼かれらが……」
「ルクセインは、自分じぶんの役目やくめは終おわったとばかりにその場ばを離はなれ、繋つなぎ
がれている黒くろ狼おおかみ達たちを解とき放はなった。
そしてそのまま一言ひとことの別わかれさえ告つげずに、単身たんしんで古城こじょうを後あとにする。
白夜びゃくやの果はてへの旅たび。大切たいせつな首飾くびかざりを強つよく握にぎりなおして……」
「ねぇ、二人ふたりだけで逃にげ出だしたのに僕ぼくらを責せめはしないの?」
徴しるしかな後うしろ暗ぐらさ その想おもいを吐露とろした
「ルーク、例たとえキミがそのままどこか遠とおくへ逃にげたとしても
多分たぶん誰一人だれひとりとしてその行為こういを咎とがめやしない」
「そうさ。ここで辛苦しんく共ともにした家族かぞくみたいなものだ。
だから今いまは自由じゆうより、また生いきて逢あえたことがただ嬉うれしいんだ」
ah...残響ざんきょう瞬またたく 夜よるが明あけようと今いま
白しろ霧きりはただ霧散むさんした 遠とお鐘かね鳴なり響ひびいて
空うつろな光ひかりは彼等かれらを 導みちびくようにただ
碧あおに染そまったセカイを 凛りんと照てらし始はじめていた
「喜よろこびに抱だき合あう仲間なかま達たち。
けれど、彼かれらの表情ひょうじょうが次第しだいに心配しんぱいげに曇くもっていって……」
「ルークと私わたしの顔色かおいろが悪わるい?ううん、きっと疲つかれてるだけ」
「体からだが冷つめたいって?そんなことはない……よな?」
「……ッ!」
「面白おもしろい見世物みせものだったわ」
囁ささやいたのは、確たしかに死しに絶たえていた暴虐ぼうぎゃくの魔女まじょ――――
「悠然ゆうぜんと立たつ魔女まじょによって語かたられる真実しんじつ。
ルークとミリアは、遊戯ゆうぎに耐たえきれずに
とっくの昔むかしに命いのちを落おとしている存在そんざいであるということ」
「私わたしの力ちからで動うごいているだけ。
イレモノが綺麗きれいだったから再利用さいりようしてみたの」
「そんな……」
「いや……いやっ……いやぁぁぁぁぁぁっ!」
死しの残響ざんきょう 魂たましいなき亡霊ぼうれいのような
ルークとミリアは仲間なかまとフランチェスカヘと向むけ
救すくいを請こうような視線しせんを刹那せつな残のこして ah...
それがあるべき姿すがたであったかのように その動うごきを止とめた
もう二度にどとは動うごかぬ二人ふたりの残骸ざんがい ah...
どんなに強つよく揺ゆすれど 瞳ひとみに光ひかりは戻もどらない
"愉悦ゆえつ"を"歓喜かんき"を隠かくさず 深紅しんくの魔女まじょは哂わらう
夜よるを抜ぬけることのない 哀あわれなるそのレギオンを――――
「可愛かわいいお人形にんぎょうさん。ぜーんぶ思おもい通どおりに動うごいてくれちゃって。
城しろから逃にげ出ださせたのも、いずれは取とり残のこされたお友達ともだちを助たすけに
戻もどるようにと思考しこうを巡めぐらせたのも、みーんな私わたしの掌てのひらの上うえ。
思おもっていた以上いじょうに楽たのしめたわ」
「それは、少年達しょうねんたちの絶望ぜつぼうする表情ひょうじょうを見みたいがための新あたらしい遊戯ゆうぎ。
ルークとミリアは、まるで電源でんげんが切きれてしまったかのように動うごきを止とめ、
もう二度にどと動うごくことはなかった……」
「残のこされた少年達しょうねんたちはこれ以上いじょうないであろう絶望ぜつぼうに突つき落おとされる。
そんな中なかで、フランチェスカは狂くるったように兄あにの姿すがたを探さがし続つづけていて……。
魔女まじょはそれに気きづき、何気なにげない風かぜに告つげる」
「あんたの探さがしてる大好だいすきなお兄にいちゃんも、
もうとっくに死しんでここにはいないよ――――」
「待maちchi望nozoんでいたndeita解放kaihouのno時toki。
久々hisabisaにみるnimiru仲間nakama達tachiのno顔kaoはha、少sukoしやつれているようでshiyatsureteiruyoude。
けれどkeredo、変kaわらずそこにあったwarazusokoniatta――――今imaもmo」
「ねぇnee、嬉ureしいのにshiinoni不自然fushizenにしかnishika笑顔egaoをwo作tsukuれないんだrenainda」
魔女majoにni矯正kyouseiされたsareta 紛magaいiモノmonoのno表情hyoujou
ah...魔女majoのno毒dokuはha 歓喜kankiのno波namiもmo抑制yokuseiするほどsuruhodo深fukaくku
痛itaましいmashii爪痕tsumeatoはha消kiえないかもしれないけどenaikamoshirenaikedo
恐osoるru恐osoるru控hikaえめながらemenagara 喜yorokoびをbiwo分waかちkachi合aうu子供達kodomotachiはha
鎖kusariをwo外hazuしshi 手teをwo取toりri合aいi生seiをwo確tashiかめるようにkameruyouni
碧aoにni染soまるmaruセカイsekaiでde 産声ubugoeをあげるはwoageruha
狩kaりri尽tsuくされてkusarete失naくしていたkushiteita新araたなるtanaru絆kizuna
血chiよりもyorimo色濃irokoいi絆kizunaがga いつかitsuka生uまれていたmareteita
強tsuyoくku結musuばれたbareta仲間nakama これからをkorekarawo紡tsumuぐgu幻想gensou――――
「羨urayaましいなmashiina、彼kareらがraga……」
「ルクセインrukuseinはha、自分jibunのno役目yakumeはha終oわったとばかりにそのwattatobakarinisono場baをwo離hanaれre、繋tsunagi
がれているgareteiru黒kuro狼ookami達tachiをwo解toきki放hanaったtta。
そしてそのままsoshitesonomama一言hitokotoのno別wakaれさえresae告tsuげずにgezuni、単身tanshinでde古城kojouをwo後atoにするnisuru。
白夜byakuyaのno果haてへのteheno旅tabi。大切taisetsuなna首飾kubikazaりをriwo強tsuyoくku握nigiりなおしてrinaoshite……」
「ねぇnee、二人futariだけでdakede逃niげge出daしたのにshitanoni僕bokuらをrawo責seめはしないのmehashinaino?」
徴shirushiかなkana後ushiろro暗guraさsa そのsono想omoいをiwo吐露toroしたshita
「ルruークku、例tatoえeキミkimiがそのままどこかgasonomamadokoka遠tooくへkuhe逃niげたとしてもgetatoshitemo
多分tabun誰一人darehitoriとしてそのtoshitesono行為kouiをwo咎togaめやしないmeyashinai」
「そうさsousa。ここでkokode辛苦shinku共tomoにしたnishita家族kazokuみたいなものだmitainamonoda。
だからdakara今imaはha自由jiyuuよりyori、またmata生iきてkite逢aえたことがただetakotogatada嬉ureしいんだshiinda」
ah...残響zankyou瞬matataくku 夜yoruがga明aけようとkeyouto今ima
白shiro霧kiriはただhatada霧散musanしたshita 遠too鐘kane鳴naりri響hibiいてite
空utsuろなrona光hikariはha彼等kareraをwo 導michibiくようにただkuyounitada
碧aoにni染soまったmattaセカイsekaiをwo 凛rinとto照teらしrashi始hajiめていたmeteita
「喜yorokoびにbini抱daきki合aうu仲間nakama達tachi。
けれどkeredo、彼kareらのrano表情hyoujouがga次第shidaiにni心配shinpaiげにgeni曇kumoっていってtteitte……」
「ルruークkuとto私watashiのno顔色kaoiroがga悪waruいi?ううんuun、きっとkitto疲tsukaれてるだけreterudake」
「体karadaがga冷tsumeたいってtaitte?そんなことはないsonnakotohanai……よなyona?」
「……ッxtu!」
「面白omoshiroいi見世物misemonoだったわdattawa」
囁sasayaいたのはitanoha、確tashiかにkani死shiにni絶taえていたeteita暴虐bougyakuのno魔女majo――――
「悠然yuuzenとto立taつtsu魔女majoによってniyotte語kataられるrareru真実shinjitsu。
ルruークkuとtoミリアmiriaはha、遊戯yuugiにni耐taえきれずにekirezuni
とっくのtokkuno昔mukashiにni命inochiをwo落oとしているtoshiteiru存在sonzaiであるということdearutoiukoto」
「私watashiのno力chikaraでde動ugoいているだけiteirudake。
イレモノiremonoがga綺麗kireiだったからdattakara再利用sairiyouしてみたのshitemitano」
「そんなsonna……」
「いやiya……いやっiyaxtu……いやぁぁぁぁぁぁっiyaaaaaaaxtu!」
死shiのno残響zankyou 魂tamashiiなきnaki亡霊boureiのようなnoyouna
ルruークkuとtoミリアmiriaはha仲間nakamaとtoフランチェスカヘfuranchesukaheとto向muけke
救sukuいをiwo請koうようなuyouna視線shisenをwo刹那setsuna残nokoしてshite ah...
それがあるべきsoregaarubeki姿sugataであったかのようにdeattakanoyouni そのsono動ugoきをkiwo止toめたmeta
もうmou二度nidoとはtoha動ugoかぬkanu二人futariのno残骸zangai ah...
どんなにdonnani強tsuyoくku揺yuすれどsuredo 瞳hitomiにni光hikariはha戻modoらないranai
"愉悦yuetsu"をwo"歓喜kanki"をwo隠kakuさずsazu 深紅shinkuのno魔女majoはha哂waraうu
夜yoruをwo抜nuけることのないkerukotononai 哀awaれなるそのrenarusonoレギオンregionをwo――――
「可愛kawaiいおio人形ningyouさんsan。ぜzeーんぶnbu思omoいi通dooりにrini動ugoいてくれちゃってitekurechatte。
城shiroからkara逃niげge出daさせたのもsasetanomo、いずれはizureha取toりri残nokoされたおsaretao友達tomodachiをwo助tasuけにkeni
戻modoるようにとruyounito思考shikouをwo巡meguらせたのもrasetanomo、みmiーんなnna私watashiのno掌tenohiraのno上ue。
思omoっていたtteita以上ijouにni楽tanoしめたわshimetawa」
「それはsoreha、少年達syounentachiのno絶望zetsubouするsuru表情hyoujouをwo見miたいがためのtaigatameno新ataraしいshii遊戯yuugi。
ルruークkuとtoミリアmiriaはha、まるでmarude電源dengenがga切kiれてしまったかのようにreteshimattakanoyouni動ugoきをkiwo止toめme、
もうmou二度nidoとto動ugoくことはなかったkukotohanakatta……」
「残nokoされたsareta少年達syounentachiはこれhakore以上ijouないであろうnaidearou絶望zetsubouにni突tsuきki落oとされるtosareru。
そんなsonna中nakaでde、フランチェスカfuranchesukaはha狂kuruったようにttayouni兄aniのno姿sugataをwo探sagaしshi続tsuduけていてketeite……。
魔女majoはそれにhasoreni気kiづきduki、何気nanigeないnai風kazeにni告tsuげるgeru」
「あんたのantano探sagaしてるshiteru大好daisuきなおkinao兄niiちゃんもchanmo、
もうとっくにmoutokkuni死shiんでここにはいないよndekokonihainaiyo――――」