「国くにが管理かんりする孤児院こじいんで生活せいかつする少女しょうじょ。
年上としうえの孤児こじたちは一人ひとり、また一人ひとりと順番じゅんばんに貰もらわれていく。
笑顔えがおで新あたらしい家族かぞくに迎むかえ入いれられる彼かれらに、羨望せんぼうの眼差まなざしを向むけて……」
「きっと、生うまれ変かわるみたいに何なにもかもが変かわるんだ」
「次つぎは、彼女かのじょの番ばん――――」
誕生日たんじょうびには 枢機卿すうききょう【Cardinal】様さまの
娘むすめとして引ひき取とられることになった
でも喜よろこべない 彼かれの舐ねぶるような視線しせんに不安ふあんが募つのる
悩なやみを月つきに吐露とろした
その夜よるに意図いとせず立たち聞ぎきしてしまう
「あの方々かたがたの趣味しゅみも困こまったものだわ……」
「記憶きおくも瞳ひとみも 手足てあしでさえも
全すべて別べつの子供こどものものを組くみ合あわせることで、理想りそうの娘むすめを造つくる。
養子ようしでも、まだ幼おさない恋人こいびとでもある愛玩あいがん人形にんぎょう。
人ひとを人ひととして見みない、偽いつわりの博愛はくあい主義者しゅぎしゃ……!」
「猊下げいかは、あの子この美うつくしい瞳ひとみが欲ほしいそうなの」
「その瞳ひとみからは、綺麗きれいな粒つぶの涙なみだが静しずかに流ながれて――――」
この瞳ひとみだけ欲ほしいというなら
いっそ自分じぶんで潰つぶしてしまいたい
けれどそんな怒いかりも どこか空虚くうきょなまま諦観ていかんに沈しずんでゆく
先さきに引ひき取とられていった
この孤児院こじいんの義姉ぎし達たちは生いきているの?
幸しあわせになっていると思おもってたのに――――
長ながい夢ゆめをみた 蒼白そうはくの夢ゆめ
永遠えいえんと紛まがうような深ぶかくて優やさしい夢ゆめを
揺ゆすられて目めを覚さましたら
孤児院こじいんの教師きょうし達たちは残のこらず死体したいになっていた
「あのね、魔女まじょがみんな壊こわしていっちゃった……。
こわかったよぅ……」
「枢機卿すうききょう【Cardinal】も殺ころされたらしい、と義妹ぎまいが泣なく」
「どうして……?まさか、私達わたしたちのため……?」
用ようは済すんだ、と この孤児院こじいんから立たち去さろうとしている魔女まじょを追おって跪ひざまずく
「何なにかしら。あなたも死しにたい?」
その問といに無言むごんのまま ただ首くびを強つよく振ふった
楽たのしげに興味深きょうみぶかげに
微笑ほほえんだ 蒼白そうはくの魔女まじょは試ためすように囁ささやく
「そう。なら、ついてきなさい。戻もどらぬ覚悟かくごがあるなら……」
「少女しょうじょは過去かこを想おもい返かえしながら、返かえり血ちに濡ぬれた髪かみをみる」
「確たしかに、あの日ひ一度いちど生うまれ変かわったのかもしれない」
「感傷かんしょうを捨すてて、魔女まじょの傍かたわらに跪ひざまずく。
それだけが小女こおんなの――――シルエラの、存在そんざい理由りゆうだと言いうように」
「国kuniがga管理kanriするsuru孤児院kojiinでde生活seikatsuするsuru少女syoujo。
年上toshiueのno孤児kojiたちはtachiha一人hitori、またmata一人hitoriとto順番junbanにni貰moraわれていくwareteiku。
笑顔egaoでde新ataraしいshii家族kazokuにni迎mukaえe入iれられるrerareru彼kareらにrani、羨望senbouのno眼差manazaしをshiwo向muけてkete……」
「きっとkitto、生uまれmare変kaわるみたいにwarumitaini何naniもかもがmokamoga変kaわるんだwarunda」
「次tsugiはha、彼女kanojoのno番ban――――」
誕生日tanjoubiにはniha 枢機卿suukikyou【Cardinal】様samaのno
娘musumeとしてtoshite引hiきki取toられることになったrarerukotoninatta
でもdemo喜yorokoべないbenai 彼kareのno舐nebuるようなruyouna視線shisenにni不安fuanがga募tsunoるru
悩nayaみをmiwo月tsukiにni吐露toroしたshita
そのsono夜yoruにni意図itoせずsezu立taちchi聞giきしてしまうkishiteshimau
「あのano方々katagataのno趣味syumiもmo困komaったものだわttamonodawa……」
「記憶kiokuもmo瞳hitomiもmo 手足teashiでさえもdesaemo
全subeてte別betsuのno子供kodomoのものをnomonowo組kuみmi合aわせることでwaserukotode、理想risouのno娘musumeをwo造tsukuるru。
養子youshiでもdemo、まだmada幼osanaいi恋人koibitoでもあるdemoaru愛玩aigan人形ningyou。
人hitoをwo人hitoとしてtoshite見miないnai、偽itsuwaりのrino博愛hakuai主義者syugisya……!」
「猊下geikaはha、あのano子koのno美utsukuしいshii瞳hitomiがga欲hoしいそうなのshiisounano」
「そのsono瞳hitomiからはkaraha、綺麗kireiなna粒tsubuのno涙namidaがga静shizuかにkani流nagaれてrete――――」
このkono瞳hitomiだけdake欲hoしいというならshiitoiunara
いっそisso自分jibunでde潰tsubuしてしまいたいshiteshimaitai
けれどそんなkeredosonna怒ikaりもrimo どこかdokoka空虚kuukyoなままnamama諦観teikanにni沈shizuんでゆくndeyuku
先sakiにni引hiきki取toられていったrareteitta
このkono孤児院kojiinのno義姉gishi達tachiはha生iきているのkiteiruno?
幸shiawaせになっているとseninatteiruto思omoってたのにttetanoni――――
長nagaいi夢yumeをみたwomita 蒼白souhakuのno夢yume
永遠eienとto紛magaうようなuyouna深bukaくてkute優yasaしいshii夢yumeをwo
揺yuすられてsurarete目meをwo覚saましたらmashitara
孤児院kojiinのno教師kyoushi達tachiはha残nokoらずrazu死体shitaiになっていたninatteita
「あのねanone、魔女majoがみんなgaminna壊kowaしていっちゃったshiteitchatta……。
こわかったよぅkowakattayou……」
「枢機卿suukikyou【Cardinal】もmo殺koroされたらしいsaretarashii、とto義妹gimaiがga泣naくku」
「どうしてdoushite……?まさかmasaka、私達watashitachiのためnotame……?」
用youはha済suんだnda、とto このkono孤児院kojiinからkara立taちchi去saろうとしているroutoshiteiru魔女majoをwo追oってtte跪hizamazuくku
「何naniかしらkashira。あなたもanatamo死shiにたいnitai?」
そのsono問toいにini無言mugonのままnomama ただtada首kubiをwo強tsuyoくku振fuったtta
楽tanoしげにshigeni興味深kyoumibukaげにgeni
微笑hohoeんだnda 蒼白souhakuのno魔女majoはha試tameすようにsuyouni囁sasayaくku
「そうsou。ならnara、ついてきなさいtsuitekinasai。戻modoらぬranu覚悟kakugoがあるならgaarunara……」
「少女syoujoはha過去kakoをwo想omoいi返kaeしながらshinagara、返kaeりri血chiにni濡nuれたreta髪kamiをみるwomiru」
「確tashiかにkani、あのano日hi一度ichido生uまれmare変kaわったのかもしれないwattanokamoshirenai」
「感傷kansyouをwo捨suててtete、魔女majoのno傍katawaらにrani跪hizamazuくku。
それだけがsoredakega小女koonnaのno――――シルエラshirueraのno、存在sonzai理由riyuuだとdato言iうようにuyouni」