酒さけも呑のめなきゃ 女おんなも抱だけぬ
そんな どアホは死しになされ
この世よは呑のん兵衛べえが 引ひき受うけた
あの世よはあんたに まかせたぜ
男おとこ浮名うきなの エー 春団治はるだんじ
「わいは女おんなが好すきゃ ほんまに好すきゃー、
世間せけんの奴やつらはわいのことを女おんなたらしとか
後家ごけ殺ごろしとか云いうけど
アホぬかせ女おんなもこしらえんと金かねばっかりためる奴やつは一人前いちにんまえの
芸人げいにんとは云いわんわいうまいもん喰くうて飲のみたいもん飲のんで女おんなが惚ほれてきたら
こっちも惚ほれたるこれがほんまの芸人げいにんや…
何なんやて税金ぜいきん払はらわんよって差押さしおさえに来きたてか
ああ何なんぼでも押おさえてやけど云いうとくで
そこらの品物しなものにぎょうさん紙かみはっても無駄むだなこっちゃはるんやったらな
わいの口くちに一枚いちまいはった方ほうが ねうち有あるでわいはなァ
この春団治はるだんじはなァ口くちが身上しんじょうや」
人情にんじょう小咄こばなし おいろけばなし
口くちも八丁はっちょう 手ても八丁はっちょう
女房にょうぼうは捨すてても 捨すて切きれぬ
八方破はっぽうやぶれの 寄席よせ太鼓たいこ
いのち捨身すてみの エー春団治はるだんじ
「どいつもこいつもわいの心こころのわかる奴やつは一人ひとりも居おらへん
女房にょうぼうまであいそつかして出でて行ゆきくさった
えーわい春団治はるだんじのねうちのわからん様ような女房にょうぼうなんかいらんわい
わいは高座こうざに命いのちを賭かけてるんや
女房にょうぼうがなんじゃい子供こどもがどないしたちゅんじゃい
わいの女房にょうぼうは落語らくごじゃい」
拗すねてせばめた 浪花なにわの空そらに
何なんで丸まァるい 月つきが出でる
ほろ酔よい気嫌きげんの 屋台やたい酒ざけ
よろけてひと足あし また三足さんぞく
ホロリ涙なみだの エー 春団治はるだんじ
酒sakeもmo呑noめなきゃmenakya 女onnaもmo抱daけぬkenu
そんなsonna どdoアホahoはha死shiになされninasare
このkono世yoはha呑noんn兵衛beeがga 引hiきki受uけたketa
あのano世yoはあんたにhaantani まかせたぜmakasetaze
男otoko浮名ukinaのno エeー 春団治harudanji
「わいはwaiha女onnaがga好suきゃkya ほんまにhonmani好suきゃkyaー、
世間sekenのno奴yatsuらはわいのことをrahawainokotowo女onnaたらしとかtarashitoka
後家goke殺goroしとかshitoka云iうけどukedo
アホahoぬかせnukase女onnaもこしらえんとmokoshiraento金kaneばっかりためるbakkaritameru奴yatsuはha一人前ichininmaeのno
芸人geininとはtoha云iわんわいうまいもんwanwaiumaimon喰kuうてute飲noみたいもんmitaimon飲noんでnde女onnaがga惚hoれてきたらretekitara
こっちもkotchimo惚hoれたるこれがほんまのretarukoregahonmano芸人geininやya…
何nanやてyate税金zeikin払haraわんよってwanyotte差押sashiosaえにeni来kiたてかtateka
ああaa何nanぼでもbodemo押osaえてやけどeteyakedo云iうとくでutokude
そこらのsokorano品物shinamonoにぎょうさんnigyousan紙kamiはってもhattemo無駄mudaなこっちゃはるんやったらなnakotchaharunyattarana
わいのwaino口kuchiにni一枚ichimaiはったhatta方houがga ねうちneuchi有aるでわいはなrudewaihanaァa
このkono春団治harudanjiはなhanaァa口kuchiがga身上shinjouやya」
人情ninjou小咄kobanashi おいろけばなしoirokebanashi
口kuchiもmo八丁hatchou 手teもmo八丁hatchou
女房nyoubouはha捨suててもtetemo 捨suてte切kiれぬrenu
八方破happouyabuれのreno 寄席yose太鼓taiko
いのちinochi捨身sutemiのno エeー春団治harudanji
「どいつもこいつもわいのdoitsumokoitsumowaino心kokoroのわかるnowakaru奴yatsuはha一人hitoriもmo居oらへんrahen
女房nyoubouまであいそつかしてmadeaisotsukashite出deてte行yuきくさったkikusatta
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わいはwaiha高座kouzaにni命inochiをwo賭kaけてるんやketerunya
女房nyoubouがなんじゃいgananjai子供kodomoがどないしたちゅんじゃいgadonaishitachunjai
わいのwaino女房nyoubouはha落語rakugoじゃいjai」
拗suねてせばめたnetesebameta 浪花naniwaのno空soraにni
何naんでnde丸maァaるいrui 月tsukiがga出deるru
ほろhoro酔yoいi気嫌kigenのno 屋台yatai酒zake
よろけてひとyoroketehito足ashi またmata三足sanzoku
ホロリhorori涙namidaのno エeー 春団治harudanji