新年しんねん早々そうそうの車くるまの中なかで
うとうとと聴きいていたラジオドラマ
気付きづけば私わたしは真剣しんけんに
耳みみを傾かたむけていた
ラジオを愛あいする青年せいねんの
儚はかない恋こいの物語ものがたり
画像がぞうの無ない新鮮しんせんな世界せかいに
想像そうぞうを膨ふくらませた
彼かれは彼女かのじょに一途いちずだった
彼女かのじょも彼かれに恋こいをしていた
けれど彼かれらには苦難くなんがあった
想おもい合あう二人ふたりを仕切しきる厚あつい壁かべ
この話はなしを五十ごじゅう年ねんも後あとに耳みみにしている
自分自身じぶんじしんがこの憎にくたらしい壁かべを
壊こわせればいいのにと思おもった
戦後せんご間まもない情勢じょうせいの中なかで
彼かれはひたむきにラジオ放送ほうそうの
台本だいほんを書かき続つづけていた
ペンだこが出来できるほど
彼女かのじょは上流じょうりゅう階級かいきゅうで
貧まずしさを知しらぬ裕福ゆうふくな生活せいかつ
貧乏びんぼうな彼かれとの結婚けっこんは
両親りょうしんが許ゆるさなかった
彼かれは彼女かのじょに距離きょりを置おかれた
彼女かのじょは彼かれを想おもって泣ないた
彼かれらをつなぐ唯一ゆいいつのものは
彼かれの声こえが流ながれ出だすラジオ放送ほうそう
聴きいてくれている事ことを願ねがう者ものと
その声こえを耳みみの奥おくに焼やき付つける者ものは
離はなれていても繋つながれていた
悲かなしくも
彼女かのじょは見合みあい相手あいてと結婚けっこんすることになった
けれど彼女かのじょは
彼かれを忘わすれる事ことは出来できなかった
彼かれとの駆かけ落おちも望のぞんだけれど…
彼かれは仕事しごとに追おわれていたから
その場ばをどうしても離はなれられない
でも愛あいする人ひとの夢ゆめを壊こわして本当ほんとうに
自分じぶんが幸しあわせになれるのかといったら
そうではないと悟さとった
ラジオから流ながれる彼かれの声こえを聴ききながら
一歩いっぽ一歩いっぽ新あらたな道みちを進すすんでゆく
私わたしも前まえへ 進すすんでゆくよ…
新年shinnen早々sousouのno車kurumaのno中nakaでde
うとうととutoutoto聴kiいていたiteitaラジオドラマrajiodorama
気付kiduけばkeba私watashiはha真剣shinkenにni
耳mimiをwo傾katamuけていたketeita
ラジオrajioをwo愛aiするsuru青年seinenのno
儚hakanaいi恋koiのno物語monogatari
画像gazouのno無naいi新鮮shinsenなna世界sekaiにni
想像souzouをwo膨fukuらませたramaseta
彼kareはha彼女kanojoにni一途ichizuだったdatta
彼女kanojoもmo彼kareにni恋koiをしていたwoshiteita
けれどkeredo彼kareらにはraniha苦難kunanがあったgaatta
想omoいi合aうu二人futariをwo仕切shikiるru厚atsuいi壁kabe
このkono話hanashiをwo五十gojuu年nenもmo後atoにni耳mimiにしているnishiteiru
自分自身jibunjishinがこのgakono憎nikuたらしいtarashii壁kabeをwo
壊kowaせればいいのにとserebaiinonito思omoったtta
戦後sengo間maもないmonai情勢jouseiのno中nakaでde
彼kareはひたむきにhahitamukiniラジオrajio放送housouのno
台本daihonをwo書kaきki続tsuduけていたketeita
ペンpenだこがdakoga出来dekiるほどruhodo
彼女kanojoはha上流jouryuu階級kaikyuuでde
貧mazuしさをshisawo知shiらぬranu裕福yuufukuなna生活seikatsu
貧乏binbouなna彼kareとのtono結婚kekkonはha
両親ryoushinがga許yuruさなかったsanakatta
彼kareはha彼女kanojoにni距離kyoriをwo置oかれたkareta
彼女kanojoはha彼kareをwo想omoってtte泣naいたita
彼kareらをつなぐrawotsunagu唯一yuiitsuのものはnomonoha
彼kareのno声koeがga流nagaれre出daすsuラジオrajio放送housou
聴kiいてくれているitekureteiru事kotoをwo願negaうu者monoとto
そのsono声koeをwo耳mimiのno奥okuにni焼yaきki付tsuけるkeru者monoはha
離hanaれていてもreteitemo繋tsunaがれていたgareteita
悲kanaしくもshikumo
彼女kanojoはha見合miaいi相手aiteとto結婚kekkonすることになったsurukotoninatta
けれどkeredo彼女kanojoはha
彼kareをwo忘wasuれるreru事kotoはha出来dekiなかったnakatta
彼kareとのtono駆kaけke落oちもchimo望nozoんだけれどndakeredo…
彼kareはha仕事shigotoにni追oわれていたからwareteitakara
そのsono場baをどうしてもwodoushitemo離hanaれられないrerarenai
でもdemo愛aiするsuru人hitoのno夢yumeをwo壊kowaしてshite本当hontouにni
自分jibunがga幸shiawaせになれるのかといったらseninarerunokatoittara
そうではないとsoudehanaito悟satoったtta
ラジオrajioからkara流nagaれるreru彼kareのno声koeをwo聴kiきながらkinagara
一歩ippo一歩ippo新araたなtana道michiをwo進susuんでゆくndeyuku
私watashiもmo前maeへhe 進susuんでゆくよndeyukuyo…