故に其の疾きこと風の如く 歌詞 陰陽座 ふりがな付

数かぞえば 幾許いくばくも 無なき
現人うつせみに 時ときの間まの 天命てんめい
瞬またたく 暇いずまに 罷まかる
陰縫かげぬいを 仕上しあぐも 骨ほね

余饒じょうの 名残なごり 仔し虫ちゅうが 老おゆる
追おひ次すがふは 虚きょ耗こうと 露命ろめいに

嘆なげかふ 諦あきらむ 恨うらみる なれど 際きわに
重かさねし 跡形あとかた 誇ほこりて 眠ねむり 逝いくを 支かふ

諭さとせば 解わからぬを 知しる
墜おつ 蝉せみは 若為いかに 生おい 去さり逝いく
痴おこめく 如ごとくに ゆかし
笹ささの葉はの さやぎも 断たつ

余饒よじょうの 名残なごり 仔し虫ちゅうが 老ろうゆる
叶かなうならば 五ご情じょうを 此この 風かぜに 覓とむる

嘆なげかふ 諦あきらむ 恨うらみる なれど 際きわに
重かさねし 跡形あとかた 誇ほこりて 眠ねむり 逝いくを 支かふ

広ひろがる 死しせる 風かぜの 墓ぼ上じょう
生命いのちに 在あるは 現在いま

嘆なげかふ 諦あきらむ 恨うらみる なれど 際きわに
早はやきを 愛おしみて 謝しゃす故ゆえ 風かぜの如ごとく 疾とかれ