露地ろじに飛とび出でりゃ 夜空よぞらの星ほしが
駒こまに見みえるよ この目めには
馬鹿ばかよ阿呆あほうと 言いわれても
将棋しょうぎばかりが なぜ止とめられぬ
「わいは今いま 女房にょうぼうや子供こどもにわかれるか
将棋しょうぎの駒こまにわかれるか
ギリギリ結着けっちゃくのとこまで来きてしもてるんや」
小春こはる済すまぬな 夫おっとのために
愚痴ぐちもこぼさず 苦労くろうする
浪花なみはな根性こんじょうを 二人ふたりして
明日あしたの勝負しょうぶに かけよやないか
「今日きょうの将棋しょうぎはわてが勝かったんやない。
関根せきねはんの方ほうで負まけてくれはったんや…
八はち年ねん間かんなにくそなにくそと思おもいもて来きた
相手あいてに勝かちながら
ちっとも嬉うれしいことあらへん」
西にしの坂田さかたと もてはやされて
行いけばきびしい 茨いばら道みち
どこにこころの 駒こまがある
神かみよ仏ほとけよ 教おしえておくれ
露地rojiにni飛toびbi出deりゃrya 夜空yozoraのno星hoshiがga
駒komaにni見miえるよeruyo このkono目meにはniha
馬鹿bakaよyo阿呆ahouとto 言iわれてもwaretemo
将棋syougiばかりがbakariga なぜnaze止toめられぬmerarenu
「わいはwaiha今ima 女房nyoubouやya子供kodomoにわかれるかniwakareruka
将棋syougiのno駒komaにわかれるかniwakareruka
ギリギリgirigiri結着ketchakuのとこまでnotokomade来kiてしもてるんやteshimoterunya」
小春koharu済suまぬなmanuna 夫ottoのためにnotameni
愚痴guchiもこぼさずmokobosazu 苦労kurouするsuru
浪花namihana根性konjouをwo 二人futariしてshite
明日ashitaのno勝負syoubuにni かけよやないかkakeyoyanaika
「今日kyouのno将棋syougiはわてがhawatega勝kaったんやないttanyanai。
関根sekineはんのhanno方houでde負maけてくれはったんやketekurehattanya…
八hachi年nen間kanなにくそなにくそとnanikusonanikusoto思omoiもてmote来kiたta
相手aiteにni勝kaちながらchinagara
ちっともchittomo嬉ureしいことあらへんshiikotoarahen」
西nishiのno坂田sakataとto もてはやされてmotehayasarete
行iけばきびしいkebakibishii 茨ibara道michi
どこにこころのdokonikokorono 駒komaがあるgaaru
神kamiよyo仏hotokeよyo 教oshiえておくれeteokure