沢田知可子「終活は『会いたい』を歌って来た私だからこそ向き合うべきテーマなんです」
昨年デビュー30周年を迎え、精力的に活躍中の沢田知可子が6月27に発表したニューアルバム「LIFE~シアワセの種~」の発売を記念して東京丸の内のコットンクラブにてライブ「沢田知可子special night こころうた~シアワセの種~」を行なった。ニューアルバム「LIFE~シアワセの種~」は、熟年を迎えた夫婦の生き方そして死に方という50代を迎えた多くの恋人たち、夫婦たちが直面するリアルな課題を、同じ課題を抱える沢田が綴った、いわゆる愛の終活短編集になっている。どんな夫婦でも恋人でも人間である限り抱える、ある意味重いテーマに敢て挑んだ形だ。
沢田知可子自身もミュージシャン小野澤篤と結婚し、今年で結婚23年目。二人三脚で音楽活動を展開している。一日のうちほぼ24時間活動を共にし、プライベートも仕事も大切なパートナーとして活動している沢田。しかしながら彼女も、人間である限りこのテーマを避けて通ることは出来ない。「死」というテーマと真摯に向き合うことにより生まれてきたのがこのアルバムである。すでにデビュー3年目の1990年には「会いたい」で恋人のリアルな「死」を歌った沢田。31年目を迎えた今年、改めて自分自身にリアルなテーマに挑んでいる。
ステージ上には、人生の残り時間を象徴的に表したような大きな砂時計が置かれた。ドラム、ベース、キーボード、ギターにバイオリンというバンド編成で、最新アルバムから「いつか思い出になるまで」「背中越しの砂時計」そして「シアワセの種」は自ら手話を付けて披露。さらに代表曲「会いたい」そして、終活のエンディングテーマとも言える「ありがとう」など全9曲を歌った。
「2004年、長岡での震災復興のイベントで『会いたい』を歌わせて頂いた時にそれが鎮魂歌なのだという事に気づきました。それが大きな転機となって今も歌い続けています。どうぞこの曲を聴きながら人生で出会った大切な人を思い出して人生の時間旅行に出かけてみてください。」
「今回のアルバムのテーマ『愛の終活』といっても人それぞれでいろいろな形があると思います。隣でキーボードを弾いている私のパートナー小野澤篤と私の個人的なテーマでもあります。彼がもし居なくなったらと考えると立っていることもできません。でも今回はそんなテーマに敢えて挑んでみました。『会いたい』を歌ってきた私だからこそ向き合うべきテーマだと思ってます。今日はこのアルバムから中心に聴いていただき、人生に終わりがあるからこそ今この瞬間が奇跡なんだなと感じてもらえれば嬉しいです。そして家庭やパートナーをより大切に思う新たなきっかけにしてもらえるよう、全力で丁寧に歌わせていただきます」と語った。
沢田は現在、中西圭三、中西保志、辛島美登里、杉山清貴らと「Around 40 memories concert」と称して自分たちと同世代と共有できるコンサートを全国で実施し好評を得ている。
写真:青木信之