ガールズバンド「82回目の終身刑」が1stツアーで見せる景色
今大阪で話題のガールズバンド「82回目の終身刑」を知っているだろうか。2017年8月に大阪でソロシンガーとして活躍していた「葉月」が発起人となり、関西を中心に活動していたメンバーを集め活動を開始した「牢獄発囚人ガールズバンド」だ。
メンバーにはミスiDを受賞しSNSを中心に美少女と話題の「てのひらえる」、ヤングマガジンに掲載されるなどグラビア活動を中心に様々なジャンルで活躍している「鈴原優美」をはじめとし、いずれおとらぬ精鋭が集まっている。
そんな彼女たちのステージは、バンドでありながらダンサーの魅せ場や、同期サウンドを生かし多種多様な遊び心に溢れている。曲調は歌詞中に人が死ぬダークなものから全員での振り付けを交えたPOPなものまで様々。デスメタルや歌謡曲を融合させた飛び抜けた曲もある。
活動約1年で関西最大級のフェスである「COMING KOBE」をはじめとした大型フェスをいくつも経験、大手ライブハウス主催の次世代スターが生まれるといわれているバトルコンテストでは100組近い出演者の中で見事特別賞を受賞し、関西ガールズバンド業界で今最もライブハウスがブッキングしたがるバンドの1つにまで成長している彼女たちが、この秋から初のツアーとなる「脱獄ツアー」を東京・名古屋・大阪・神戸の4大都市、そして台湾での開催する。
10月12日ツアーの封切りとなる神戸公演「脱獄ツアー1st〜開港宣言〜」が開催された。
ゲストには、コザック前田率いる「Theサード」が出演、神戸の重鎮による熱いライブに観客は熱狂、後輩バンド82刑へエールを送った。
82回目の終身刑の登場は通常のライブとは異なる「警報音」で始まった。
脱獄ツアーのタイトル通り、終身刑になっている彼女たちが刑務所を「脱獄」したというストーリーで始まったライブは「覚」からはじまり、普段のライブではなかなか聞けないワンマンならではのセットリストで序盤から観客を興奮させる。
後半は、この日デビューとなった新ドラムのソロからスタート。
技巧を見せつけるとともにフロアも巻き込み盛り上がる「メシアライザー」へと続いた。
この日、私がもっとも印象に残ったのは、葉月の歌唱力が光る名曲「MEMENTO」
静かで儚い葉月歌声とメロディから始まるこの曲では他の楽曲とは違った82刑の一面をみることができた。
最後は代表曲「八つの大罪」を披露、完成度の高い楽曲と趣向を凝らしたステージパフォーマンス、謎を秘めたストーリー展開で神戸の観客を沸かせた。待ちきれぬファンからすぐに始まったアンコールの声に再登場したメンバー、歓声があがる中ボーカル葉月はここから始まる1stツアーへの意気込みを語った。
「前に進んだり、時には後ろに進んだりすることもあるけれど、全員一緒にBIGCATを目指していきたい」
82回目の終身刑は「アイドルバンド」と揶揄されることもある、しかし彼女たちはそんな言葉も強みにして進んでいる。【アイドル】【バンド】そんな垣根を超えて彼女たちはジャンルも、常識もぶち壊す最高のライブを見せてくれている。
期待よりさらに先の未来へ、ここからはじまるツアーで彼女たちはどんな景色を見せてくれるのだろうか、楽しみで仕方ない。