『すとろべりーめもりー Vol.Next!!!!』 福岡初日公演をレポート
莉犬、ジェル、さとみ、るぅと、ころん、ななもり。からなる6人組ユニット、すとぷり。彼らの初のドームツアー『すとろべりーめもりー Vol.Next!!!!』が、1月9日(日)、福岡PayPayドームからスタートした。今回の『すとろべりーめもりー Vol.Next!!!!』は、全国のドーム会場を回るグループにとって史上最大規模のライブツアー。
観客を会場に迎えて開催するライブとしては、2019年にメットライフドームで2日間開催した初のドーム公演「すとろべりーめもりーvol.10」以来約2年4ヵ月振りとなる。
ここ数年のすとぷりは、新型コロナウイルスの影響でライブエンターテインメントの在り方が大きく変わる中で、 2020年にナゴヤドームで開催予定だった「すとろべりーめもりーvol.Next!!」、同年の東京ドーム公演、翌年の日本武道館での3rdフルアルバム発売記念ライブや、「すとろべりーめもりー Vol.Next!! in メットライフドーム」といった公演の中止を何度も経験してきた。
そのたびに、メンバー全員が前を向きながらも、同時に言葉の端々から悔しさを滲ませていたことは、リスナーならばよく知っていることだろう。
とはいえ、すとぷりはただでは終わらなかった。6人はコロナ禍でも自分たちならではの「楽しい」を届ける新たな方法を模索し、2020年には中止になった2つのドーム公演に代わって無観客ライブを配信。
2021年にはコロナ禍以前から進めていたVR/AR技術を使ったバーチャル空間からの配信ライブシリーズ「すとろべりーめもりー in バーチャル!」もスタートさせた。
加えて、地上波のTV番組への出演や日々の配信活動もより積極的に行っている。
この約2年数か月間は、すとぷりが自分たちだけではどうしようもない史上最大のピンチを経験しながらも、その中で新たな方法を模索し、自分たちの魅力をさらに多くの人々へと伝えていった期間だったと言えるのかもしれない。
そんな日々の中で、ずっと欠けていた“本来あるはずのピース”。それが有観客でのライブパフォーマンスとなる。
今回の福岡PayPayドーム公演は、6人と会場にいる全ての人が一緒になって、止まっていた時計の針を力強く動かすような、リスナーにとって待望の公演となった。
ツアーはまだはじまったばかりのため、セットリストや詳しい公演内容は控えるが、会場でライブに参加して感じたのは、これまで以上にエンターテインメント性を追求して生まれた巨大なスケールの多幸感。
「やっと会えたね。やっとだね!!」と2年4ヵ月振りの再会を噛み締めてはじまった全編は、6色のメンバーカラーを効果的に使ったレーザーが織りなす光のスペクタクルや、会場の隅から隅まで観客ひとりひとりのもとへと向かうための様々な工夫、そして一層エンターテイナーとしての魅力を増した6人のパフォーマンスによって、すとぷりならではの「楽しい」の形を全力で表現するような雰囲気が印象的だった。
終盤には、生バンドの演奏に合わせてメンバーが新たな王子様衣装で登場。
そしてはじまった「プロポーズ」では、ドームの巨大スクリーンに映されたバーチャルな姿のすとぷりと、ステージ上にいる現実のすとぷりとがシンクロするようにダンス。
続く「Prince」では、階段状のセットで歌いはじめたあと、後半からは高台の上に陣取ったバンドに合流。「きみ」へのストレートな気持ちを歌う楽曲で会場をさらに盛り上げていった。
アンコールでは、メンバーそれぞれツアーにかける想いを語った後、ななもり。が「まだはじまったばかりだから! また会えるから。未来たくさん作るから。みんなで楽しいをつくって行きましょう!」と伝えて、5月4日(水・祝)、5日(木・祝)の東京ドーム公演の予定を発表。
一度は中止せざるを得なかった公演の会場に、ふたたび立つことを伝えて会場が特大の拍手に包まれた。
終始印象的だったのは、様々なジャンルを横断しながらポップでカラフルな音やパフォーマンスが飛び出すひたすら楽しいライブ空間。
結成から5年以上を経て、自分たちらしさはそのままにますますエンターテインメントのど真ん中へと突き進む今のすとぷりを、ぜひその目で確かめていただきたい。
文=杉山仁 撮影=林晋介、東美樹、原田圭介