東京・Zepp Tokyoで開催された「SHE’S Tour 2019 “Now & Then”」
切ないながらも温かみのあるドラマチック、かつエモーショナルなサウンドで人々の心をわしづかみにしている、次世代ロックバンドSHE’S。そんな彼らは、3rdアルバム『Now & Then』を掲げ、全14か所を巡ってきた。
“今とあの時”というコンセプトをもとに誕生した同アルバムでは、変化を求めて音楽を制作し続けているSHE’Sの挑戦的な一面と、昔から変わらないバンドの姿勢の二面性を意識した、バラエティー豊かな楽曲がふんだんに詰め込まれた作品となっている。
この日行われたツアーファイナルは、東京・Zepp Tokyoで行われた。バンド史上最大キャパという新たなステージに挑んだSHE’Sは、多くの観客を魅了した。
観客の盛り上がりに、井上竜馬も思わず「最高!」
会場の端から端まで満員になった会場を見渡しつつ、これまでのバンドの良さをさらに引き伸ばしたような「The Everglow」でスタートを切ったSHE’S。2つのミラーボールが無数のライトを放つ中、忘れられない記憶や人の思いについて歌い上げた。
続けて、共感や愛情などの“非科学的”なものを大切にしていきたいというメッセージが込められた「Un-science」へ繋げ、キーボード、ボーカルの井上竜馬が「最高!」と盛り上がる観客に向かって歓喜の声を上げる。そして、「東京、元気か?」と微笑みながら会場の温度を確かめると、続けざまに「Used To Be」に紡いだ。
井上竜馬「常に進化した姿を見せます」
「1年間より1か月前より1週間前より、常に進化した姿を見せます」という井上の意気込みとともに披露されたのは「Change」。曲中、井上は「頭の上で!」と観客に頭上で手をたたくよう指示すると、ステージの左端から右端まで移動しながら同曲を楽しそうに歌い上げていた。SHE’Sにとって挑戦的なダンスチューンとなった「歓びの陽」、過去の恋愛を歌った「Clock」、火花が散るサウンドとともに送られた「Set a Fire」で観客をすっかり酔わせたSHE’Sは、井上らが舵を取り、会場にいるみんなとともに新たな道を切り拓いていくような「Upside Down」、壁を壊して未来へと突き進むような「Night Owl」でさらに畳みかけていく。
そして「Flare」を演奏すると、MCへ。「ありがとうございます!」と感謝の気持ちを述べた井上は、「いやさー、全国14ヵ国回ってきましたけれど、いろいろ思い出作ったじゃないですか。各地で方言調べながら回っていました」と自分にとって気に入った方言を各地で探していたことを話し、優勝は福岡の「~ちゃん」だと明かす。
また、ドラムの木村雅人の笑い方をいじり、“メンバー愛”を見せる場面も挟みつつ、「Tonight」、「ミッドナイトワゴン」「Ghost」を立て続けに披露したSHE’S。続く「月は美しく (Album ver.)」では、天井に設置されたミラーボールに無数の光が当たり、幻想的な空間を作り出した。観客からは拍手が上がる。
レインボーちゃんが登場! 会場の盛り上がりもひとしお
その後のMCでは、木村が東京に上京してから現在までのことを振り返りながら「個人的に吉祥寺が好きで、都会だけど公園もあり、住めたら住みたいですね」と明かしたことを皮切りに、ギター・服部栞汰が「御茶ノ水ですかね」、ベース・広瀬臣吾は「秋葉原」とメンバーそれぞれ東京のお気に入りの場所を紹介した。
木村の「ここからもっと盛り上がっていけますか?」という掛け声とともに披露されたのは「Sweet Sweet Magic」。再び観客にSHE’Sの奏でる音色で魔法をかけていくと、「Over You」へと持ち込み、レインボーちゃんという着ぐるみがキレのあるダンスを披露した「Dance With Me」で会場を多幸感あふれるサウンドに包み込んだ。
レインボーちゃんはダンスだけでなく、飛び跳ねたり、おしりを振ったり、メンバーと一緒に写真を撮ったり、観客とも写真を撮ったりとやりたい放題。観客をさらに喜ばせた。中には、レインボーちゃんと一緒に踊る観客の姿も。
投げキッスでレインボーちゃんが場を後にすると、井上は「いやー、楽しい。ありがとうございます!」「むちゃくちゃ楽しかったです、ありがとうございます!」と何度も礼を述べる。また、音楽をやり続けている理由を打ち明けた。そして、「Stand By Me」でラストを飾った。
アンコールでは「新曲 (※タイトル未定)」、「Voice」、「Curtain Call」の3曲を披露したSHE’S。“今とあの時”での場面の変化や、光と影が交錯する様子が見事に描かれたセットリストと演出で、「SHE’S Tour 2019 “Now & Then”」ツアーファイナルを彩ったこの日の光景は圧巻だった。
TEXT ちゃんさき
PHOTO MASANORI FUJIKAWA