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【ライブレポート】神使轟く、激情の如く。「強がりで不器用な僕たちからのメッセージ」初の日本武道館公演で魅せた生きた証


神使轟く、激情の如く。目覚めのときだ!!

暗くなった場内。流れ出した映像に映し出されたのは、メンバーたちの姿。荒々しいSEと各メンバーを紹介する映像に乗せ、一人一人ゆっくりと舞台へ姿を現した。

「夜明けを待っていた、神使轟く、激情の如く。目覚めのときだ!!」。神使轟く、激情の如く。(以下、神激)のライブは、この地に訪れた人たちの心へ凛々しく。いや、最初から熱く奮い立つ想いを宣戦布告するように『宣戦布告』から幕を開けた。

彼女たちは、この空間を激しく揺らす轟音を突きつける。メンバーたちは、この地へ辿り着いた想い、この地に立つことの意味を、楽曲や吐き出す荒々しい言葉を通して伝えてきた。

これが、神激流の宣戦布告だ。何者も恐れない彼女たちに相応しいとても雄々しい姿と歌声だ。

6人の呼びかけに、フロア中の人たちも拳を突き上げ想いを返してゆく。メンバーは語っていた、始まった頃は「メンバーしか拳を上げることはなかった」と。

だけど今は、大勢の人たちが神激の気持ちに想いを重ね、みずからの魂も奮い立てるように拳を突き上げていた。お馴染み、2STEPする姿も凛々しくて格好いい。

「俺たちみたいな異端児についてきてくれたKABUKIMONOがこんなにいてくれたことを嬉しく思う。他じゃ味わえないものがここにあるから、ここにおるんやろ」

流れだしたのが、轟音シンフォニックロックの『神奏曲:テンペスト』。舞台の上を縦横無尽に駆けながら、それぞれの前にあるお立ち台に乗って、6人は観客たちに感情剥き出しで挑みかかる。

その姿に煽られた観客たちも、終始、振り上げた拳を高く突き上げ続けていた。メンバーと観客たちが身体を大きく折り畳む光景の、なんて壮観で壮絶だったことか。魂と魂をぶつけあう熱気が、早くも場内に渦巻きだしていた。

その曲は、つかみを持ったメロディアスな歌に乗せ、眩しい青春模様という景色を目の前に広げていた。『青瞬螢詠』が、僕らを青春物語の中へ連れてゆく…なんて甘いことは言わない。轟音と、彼女たちのエモい歌声が次第に絡むにつれ、見ている人たちの心を熱く騒がせる。

メンバーらの動きにあわせ、大きく手を振る観客たち。限界を超える勢いで6人と対峙しながら楽しむことや、ライブという熱狂に気持ちを燃やすことこそが、青春という言葉に相応しい光景だ。

MCになったとたん、ちょっと素に戻るところも神激らしさ??。「この武道館、全員友達ってことでいいですか」と語りながら、メンバーらは、緊張を楽しさに変えていた。

「この場所に生きてて思う。東京はぜんぜん冷たい場所じゃない。東京は冷たい場所と言う奴らって、ライブハウスのことを、神激のことを知らねぇだけじゃねえかって思う。ここに出会えた6人の熱がお前らに届くまで、この場所から叫ぶ」

スリリングでジャジーな音色に乗せて始まったのが、『神奏曲:アブソルートゼロ』。だがすぐに、楽曲は轟音を従え、爆走するように凄まじい速度で駆けだした。メンバーらの熱い煽りに刺激を受け、感情が高ぶり続ける。

メンバーらの歌声や轟く楽曲の変化にあわせ、限界など忘れ、身や心を奮い立て続ければいい。彼女たちが現状をぶっ壊し、新しい道を築きあげてゆくからこそ、僕らも6人の切り開いたデコボコの道を走りながら、その背中を全力で追いかけたい。

「躍れ!!」、神激は、さらに激しさと速度を上げながら重厚で極上なデジロックナンバーの『オキシバギー』を突きつけた。ノイズにも似た轟音が渦巻く中、メンバーらが、自分の道は自分で決めろと、吐き捨てるようなラップに乗せ、生き様を示してきた。

キャッチーなサビ歌に心地よく身体を揺らしながら。でも、現状をぶち壊し、自分たちの生きる道を示す彼女たちの叫び声に触れ、魂を熱く高ぶらせずにいれなかった。

たった1回きりの人生、好きなもののために、君のために捧げたい

MCでは、声を出せない観客らと深いコミュニケーションを取ろうと、6人は、声と手拍子のやりとりを交わし、互いの熱く高ぶる気持ちを分かちあっていた。

「ここを選んでくれた君の心に、命を歌います」。これまでの体感的な衝動から少し色を塗りかえるように、神激は『夏声蝉時雨』を歌い、言葉を、想いを、見ている人たち一人一人の心へ響かせた。

だけど、次第に熱と速度と重厚さを増す楽曲へ感情を寄り添えながら、何時の間にか、何時ものように声を張り上げ「負ける気がしない」と高らかに声を張り上げていた。世間が自分たちをどう捉えようと、そんなの関係ない。信じた強い意思へ導かれるまま、全力で歌い叫べばいい。

その熱情がたくさんの人たちの心へ響いたからこそ、神激は今、日本武道館という大きな舞台に立っている。メンバーらの煽りにあわせ、フロア中の人たちがくるくると手や手にしたサイリウムを振り回す光景や、メンバーらと一緒に2STEPを踏む姿も圧巻だ。

「たった1回きりの人生、好きなもののために、君のために捧げたい」。ふたたび超絶な轟音が会場中を激しく浸食してゆく。神激は、激烈な『神奏曲:インフェルノ』を歌い叫びながら、日本武道館を激しく揺らしていた。滾るこの感情を全力で燃やし尽くそうと、6人はライブという戦いを挑んでいた。

互いに限界を越えた先で一つになれる仲間たちだとわかっているからこそ、誰に遠慮することもなく、「自分の明日を信じて突き進め」と熱い声を上げていた。彼女たちは,この日が最後だとしても後悔のない姿をつねに見せてゆく。その気迫が、見ている人たちの心をいつも熱く揺さぶる。

「生まれ変わっても自分になりたい」と彼女たちは叫んでいた。神激のメンバーとして生きることに自信と誇り、喜びと希望を覚えているからこそ、6人は『生まれ変わっても自分になりたい』を通し、自分たちの生き様を高らかに示していた。

なんて主張を持った逞しい歌声だ。その声に、このままずっと導かれていたい。途中のブレイクポイントでは、メンバーが「過去があったから今がある。自分に自信がなくて何でもあきらめてきた。そんな過去があったから今の自分がいる、今の神激がある。わたしは生まれ変わっても自分になりたい。それは、君たちかいてくれたから、神激以外の人生なんて考えられない。君らが最高の生き方を教えてくれたから」と語っていた。

その言葉を受け、ふたたび彼女たちは「いつか生まれ変わっても自分でいよう」と歌っていた。プライドを持てるその生き方には、素直に憧れる。そんなあなたたちのように、僕らもなれるだろうか。そんな姿に僕らを導いてくれるだろうか…。

この日は、メンバー一人一人がMCや曲中のMCを通して、今、感じている素直な気持ちを述べていた。「誰かの普通を信じなくて良かったと思うよ」と、かぶいた生き方をしてきた自分や自分たちに6人は誇りを持っている。枠にあてはまらない生き方に彼女たちは自信を持っている。その気持ちを届けるように、「誰かの考えた勝手な常識なんて、この音でぶっ壊してやるから」と叫んでいた。

6人はその想いを、高ぶる轟音ロックな『神奏曲:ガイア』に乗せ、力強く歌いだした。自分たちの歩んできた生き方に自信と誇りを持っているからこそ、6人は、この地に足を運んだ人たちの生き方を肯定し、もっともっと自分の魂を開放させようぜと、絶叫とエモーショナルな歌を響かせていた。

一瞬のブレイク。「すべてを叫びに変えて武道館に捧げます」。凄まじいスクリームを合図に歌ったのが『喪失のカタルシス』だ。彼女たちは、「誰がお前のことを信じてくれる?」「結局は、お前自身を信じるしかないだろ」と声を上げていた。

荒々しいラップと胸熱く騒ぐ轟音に乗せ、6人は、ここでも自分を信じた生き方を示していた。「ライブは、何時だってわたしと君との一対一です。この生きた証を日本武道館という場所に刻んでいこう」という言葉も交え、6人はほとばしる熱情を荒ぶる声や、震わせる心の声に乗せ、響かせていった。

MCでは、「じっくり妄想」コーナーを設置。ここで、実久里ことのが、じっくりと妄想のトークを繰りひろげてゆくが…。

これが神激の作り上げる、誰もたどりつけない境地だ

「とびきりの神激からのデザートをお届けします。むさぼりつくせ」の声を合図に届けたのが、重厚な激リフが炸裂したラウドナンバーの『BAD CAKE』。甘さを持っているのはつかみを持ったメロディーのみ。

他は、身体を震撼する轟音ですべてをデコレート。そこが、神激らしさ。轟音の洗礼が最高に刺激的だ。途中ジャジーな表情を見せるなど、1曲の中へ多様な面を見せゆくところも味わい深い。

「ここはライブハウス武道館です。本気でぶつかりあっている時間が好きです。だからこそ、もっと遊びたい。この衝動をもっと追い詰めたいと思います。残っているものあるんだったら全部吐き出せ」

続く『自己都合主義メタモルフォーゼ』でも6人は、今にも客席へ飛び下りんばかりの気迫と勢いで観客たちをけしかけていた。とても激しくエモい姿に煽られ、フロア中の人たちが「神激バンザイ」と心の声を上げ、メンバーらと同じ動きをしながら、会場中に一体化した熱狂の景色を描き続けていた。6人のエモーショナルな歌に、気持ちを熱く揺らしていた。

「これが神激の作り上げる、誰もたどりつけない境地だ」。6人は高らかに、激しく駆けだす『合法トリップ:ボイルハザード』を突きつけ、フロア中の人たちを熱く跳ねさせる。爆走する楽曲に高ぶる感情をシンクロしながら、6人は、込み上がる情熱を全力でぶつけていた。

衝動を止められない。その衝動が止まらないなら、そのまま爆裂し続ければいい。理性など塗りつぶし、思うがままに自分を開放するのが神激のライブだ。フロア中がオレンジの色に包まれた光景にも胸が熱くなった。

「フロアの熱量を感じるたびに、やっぱり声が聞きたい。あんたらと一緒にわたしも歌いたい。だからさ、もう一回武道館をやろうよ。47都道府県ツアーもやろうよ。毎週ホームに集まろうよ」

「今の自分たちの限界を超える曲を作りました」「超えような、あんたらとなら超えられるよ」。彼女たちは限界を超える勢いで『神奏曲:ライトニング』をぶちかました。「もし限界だからと逃げ出して、それでいいの?!限界さえぶっ飛ばしていけ」と、6人は熱情した想いで強い生きざまを突き刺してゆく。

彼女たちは何時だって限界を突破しては、その限界をさらに塗り重ねてきた。自分たちの生きざまを、「限界なんかぶっ壊していけ」という自分たちらしい生きざまを、メンバーらは張り裂けんばかりの声に乗せて突きつける。それを感じるからこそ、嬉しくて魂が震える。この日にしか感じれない感情を、彼女たちは何時だって目の前で見せてくれる。

これが強がりで不器用な僕たちからのメッセージ


「書いた歌詞に勇気もらえた、救われたって、いろんな嬉しい言葉をもらう。神激の音楽が愛されているなって感じる。わたしはさ、ずっと弱くて、自分に自信がなくて、強がりでしか言葉が言えなかった。理想の自分を歌詞に映したかった。自分の言葉を信じて歌い続けた。そうしたら、何時の間にか強がりで吐いた言葉が現実になったんだよ。武道館も、言葉にしてきたら、今、武道館に立っているんだ。最初は強がりだっていい。絶対に自分を言葉にしていけよ。その強がりで吐いた言葉が、いつか君の見せる世界を変えていくからさ。何時だって自分の未来は、その手の中にある。これが強がりで不器用な僕たちからのメッセージ」

飛び出したのが、『不器用HERO』だ。自分たち自身の不器用な生き方を肯定するように、彼女たちは一人一人がヒーローになっていけるんだと歌っていた。これは神激の、そして、不器用な僕らが生きていくための、魂を奮い立たせるテーマ曲。

激しく煽る6人に向け、無数の拳が高らかに、心の声を上げるように場内中から突き上がっていた。メンバーの歌へ掛け合うように、大勢の人たちが心の声を張り上げ、一緒にヒーローになっていた。

「ゼロから神激を作りあげてくれたあなたがいて、どんなときもあきらめなかったあなたがいて、そんな私たちを見つけてくれたあなたがいて、やっとわたしたちはこの場所に立てました。この想いは、今、胸の中にあるこの想いは、確かにあなたに向けたラブソングです」

メンバーたちの歌声を合図に、神激は最後にシンガロングナンバー『Super nova』を温かい声で歌っていた。胸の内に抱えていたいろんな感謝を込めた気持ちを、ここに集まった仲間たちとすべて分かち合おうと、心の声を響かせるように歌っていた。

ここに描いた景色を、神激はまたこの先へと繋げていく。終盤、メンバーらが肩を組み合い歌う姿に、終わらない夢を抱えた温かい歌声に触れ、満面の笑顔を浮かべ6人を見つめていた。

次の大きな挑戦は、2023年5月28日、幕張メッセ国際展示場でのワンマンだ。その日の景色を、楽しみにしていたい。



TEXT 長澤智典

セットリスト

01.「宣戦布告」
02.「神奏曲:テンペスト」
03.「青瞬螢詠」
04.「神奏曲:アブソルートゼロ」
05.「オキシバギー」
06.「夏声蝉時雨」
07.「神奏曲:インフェルノ」
08.「生まれ変わっても自分になりたい」
09.「神奏曲:ガイア」
10.「喪失のカタルシス」
11. 「BAD CAKE」
12. 「自己都合主義メタモルフォーゼ」
13. 「合法トリップ:ボイルハザード」
14. 「神奏曲:ライトニング」
15. 「不器用HERO」
16. 「Super nova」

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