あふれる感謝とサプライズで魅せた新たな景色
今年7月7日にデビュー7周年を迎える7人組ダンスヴォーカルグループ・原因は自分にある。が、神戸・東京を回る『ARENA TOUR 2026 仮ノ現』を開催。7月4・5日に有明アリーナで3公演を行い、彼ら初のアリーナツアーを完走した。6月27・28日の神戸・ワールド記念ホールでの3公演を合わせ、全6公演すべてがソールドアウトとなり、計5万人を動員した今回のツアーでは、春のホールツアーと同じく生バンド演奏によるパフォーマンスや、バックダンサーを招いてのコラボという初の試みも。
代表曲・人気曲を集めたキャッチ―なメニューと、彼ららしいディープな世界観を両立させたステージで観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)の期待に応え、最終公演の終演後には11月11日に5thシングルをリリースすることも発表し、未来への新たな道しるべを示した。
超特急やM!LKらが所属するEBiDANの一員として2019年に始動して以来、二次元と三次元を行き来するヴァーチャルな存在感や、哲学的・文学的な歌詞の世界観を武器にしてきたゲンジブ。
そんな彼らにとって、はかない現世、無常であるこの世、といった意味の仏教用語である『仮ノ現』は、実に似つかわしいツアータイトルであり、そこで今回、彼らが表したのは、最先端AIを用いた仮想世界「GEN(GNJB Extended Noosphere)」の物語だ。

近未来的フォルムのサングラスをかけたメンバーが、幻想的な空間でGENを創造していくオープニング映像に続き、ステージにはボルドー地に金の装飾が入ったナポレオンジャケットを身に着けた7人が、椅子に腰かけたまませり上がりで登場!

長野凌大と吉澤要人の同級生コンビはリムレスメガネをかけるなど、まるでおとぎの国に迷い込んだかと錯覚するような端麗なビジュアルに、1stシングル「原因は自分にある。」でのオープニングから、客席は7色のペンライトで一気に沸き上がる。満面の笑顔からくるりと振り向き、一瞬で感情の見えない真顔になるサビでは、各メンバーの表情管理に悲鳴の嵐が。
さらに「有明いけますか! 最高に楽しい夜にしましょう」とリーダーの吉澤が号令しての2ndシングル「嗜好に関する世論調査」では“2択”の歌詞を観測者と大合唱。
彼らのイメージを決定づけた哲学的ピアノロック2連発で、難解な世界観を胸躍るエンタメに昇華し、研ぎ澄まされたパフォーマンス力を証明してみせる。
ここから7人はゲンジブの多彩な音楽的引き出しを披露。
大倉空人の「かますぜ!」という煽りから「Joy to the world」でエレクトロにスイングし、場内のペンライトを縦に揺らしながら花道を進んで、たどり着いたセンターステージで小泉光咲が歌い始めたのは「ラベンダー」。
軽快なジャズピアノアレンジで切なさが増したラブソングを、円を描くようにステージを囲んだ7本のスタンドマイクから、7人は360度の客席に向かってそれぞれ情感豊かにに歌い上げていく。ここで背後のLEDに映し出されていたのは、コロナ禍の2020年7月にオンラインで行われた彼ら初の単独ライブ『仮想げんじぶ空間』の映像。今回の冒頭ブロックのセットリストは、実はこの6年前のプログラムと同一であり、デビュー直後のフレッシュな彼らと成長した今の彼らが、ノスタルジックなナンバーで交錯するという粋な計らいに、場内の観測者もステージに見入って拍手を贈った。
さらに「まだ声出せるよね⁉」と大倉が呼びかけての「ギミギミラブ」では、観測者のコールとクラップがダンサブルに弾け、火花がスパークする中で床が上昇するステージのLED演出により、まるで7人が宙に浮かんでいるかのような視覚効果で見る者の目を奪う。

シェイクスピアの名言をロマンティックに盛り込んだ「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」では、花びら舞う映像を背にメンバー同士が寄り添い、初日に杢代和人に頬にキスされた武藤潤が、翌日お返しとばかりにキスし返そうとする。
2部公演では無事に武藤が杢代の頬にキスしてリベンジを果たしたりと、多彩なラブソングを並べて観測者を楽しませながら、笑顔の絶えない空間を作り上げていく。
再びGENを操作する7人がLEDに映し出され、ここからはゲンジブのライブ史上初となるバックダンサーを迎えてのブロックに。
「Yeah, are you ready?」と呟いた吉澤要人に、「We are GNJB!」と叫び上げた大倉空人と、センターステージで2人が挑発して始まったのは「in the Fate」。続いてメインステージに杢代和人、桜木雅哉、武藤潤、小泉光咲と、それぞれがダンサーを2人ずつ引き連れて登場し、最後に長野凌大がせり上がりのステージで現れると、総勢21人のシンクロダンスで場内を席巻していく。

全身黒レザーのハードなスタイルに身を包み、マシンガンの様にラップをぶっ放すアッパーチューンで作る世界は、まさに“paranoia”の歌詞の通り病みつきになるものだ。
続く「Paradox Re:Write」では4つ打ちビートを鳴らしながら、荘厳なサウンドに乗せたパワフルなダンスブリッジで魅せ、メンバー7人がそれぞれにダンサーと並び立ってパラドックスを体現していくのも熱い。間髪いれず「余⽩のための瘡蓋狂想曲」をサイバーにリミックスしたトラックで、桜木、小泉、吉澤、杢代、大倉、長野、武藤と、順にタフなソロダンスで躍動すれば観測者は熱狂。
そこにダンサー陣も加わり、長野が「有明、見とけ!」と合図すると、21人による圧巻パフォーマンスが繰り広げられ、客席をどよめかせまくった
初日のMCでは「どこ見ても人がいますね」と桜木が4階建ての客席を隅々まで見渡し、観測者の声の大きさに大倉は「マジやべぇ!」と歓喜。
武藤が「周波数で天井割れるんじゃないか」と理系男子の一面を覗かせれば、杢代はゲンジブライブ初参戦の人々に「初めてだからって緊張しないで。幸せにして帰すんで」と心のイケメンぶりをアピールしてみせた。
2日目の1部では、家族愛あふれるエピソードを披露。
最終公演の2部では7月12日に吉澤要人が、7月16日に長野凌大が23歳の誕生日を迎えるということで、誕生祝いをサプライズで実施。吉澤は「先も長いということで……今年も頑張りたいと思います」と驚きすぎて言葉を失い、去年7月12日のライブでは吉澤のみが祝われたため、かなり怒っていたという長野は「嬉しい!」と喜びを爆発させた。さらに、長野がケーキのエアローソクを吹き消した瞬間、クラッカー代わりの青い銀テープが飛ぶというスペシャルな仕掛けも。
自身のメンバーカラーである青色のペンライトに染まった客席を見渡し、長野は「俺、日本代表かと思ってきました。22歳はニャンニャンの年、猫の年って言われてたんですけど、23歳はニイサンの年なので。お兄さんになります! 成長して、皆さんの前に胸を張って立てるように、ちゃんとした大人になろうと思います」と抱負を語った。

メンバー間の仲の良さがヒシヒシと伝わるトークのあとは、7月から放送開始したTVアニメ『鉄鍋のジャン!』のオープニング主題歌「⽕宴」を今ツアーで初披露。
ダンサブルなビートに激しいラップと東洋的な香りを織り交ぜた和洋折衷曲で、ステージには火炎が噴き上がり、間奏では長野をセンターに置いたダンスでもエネルギッシュに魅せていく。アニメのバトル感ともつながる燃え上がる炎のような熱は、以降ヒートアップの一途。桜木が「まだまだ!」と気迫を見せ、タイトルの通りアッパーに駆け抜けるなかで観測者のコールが湧く「疾走」から、大倉と吉澤の掛け合いで雪崩れ込んだ「ケイカクドヲリ」ではシニカルなラップが炸裂し、小泉はノーブレスで吠える。場内にはレーザー光線も派手に飛び交い、観測者との一体感は最高潮に達して、GENの物語は“計画通り”に完璧な世界を構築しつつあるように見えた。
だが、高まりすぎた熱はショートの引き金だったのかもしれない。青から赤へと色を変えた空間の中でエラー音が鳴り、動揺する7人の映像から、ヴァーチャルな仮想世界はリアルな現実へと変貌していく。ステージ上に黒衣のバックダンサー、続いて白衣のメンバーが現れ、紗幕の向こうに4ピースの生バンドが登場。

彼らが奏でるシンフォニックなサウンドで全員がシアトリカルに舞うと、センターステージで7人が投下したのは昨年、川谷絵音が提供したシングル「パラノイドランデブー」だ。
現代社会のネガティブな一面にフォーカスしつつ理想世界への逃避行を目指す、ネガをポジに反転させた彼ららしいナンバーは、生バンドの演奏によって豊かにグルーヴ。
さらに「俺たちが最高のグループ、原因は自分にある。だ!」と大倉が高らかに宣言した「因果応報アンチノミー」は出色だった。
LEDに歌詞の文字を映し出して次元の狭間に漂うような仮想感を醸しながら、生ドラムのビートが地を揺らし、スラップベースの低音が唸ってメンバーと観測者をフィジカルに刺激して、パフォーマンスの高揚感は相乗効果で高まり続ける。
そこから7人がメインステージに戻ると、せり上がったステージの上で踊り、階下のバックダンサーたちとシンクロするという、生身とヴァーチャルの絶妙な融合はゲンジブならでは。彼らの新たな真骨頂で圧倒し、曲中では杢代和人が「俺たちから離れんなよ」「愛してるぜ」「幸せにしてやるよ」と公演替わりの決め台詞でトドメを刺してみせた。

一転、メンバーカラーのジャンパーにぬいぐるみが縫いつけられたキュートな衣装に着替えてからは、アリーナ席の通路を7台のトロッコで行進。
甘いラブソングの「推論的に宇宙⼈」や「チョコループ」、メンバー出演ドラマの主題歌で青春の瑞々しさを感じさせる「トレモロ」や「NOW」といった日替わり曲で、観測者とリアルなコミュニケーションを楽しんでいく。
そんな客席に「みんな最高の笑顔をしてるよ!」と吉澤は声をあげ、「マジで生きてて良かったよ!」と杢代が思いをほとばしらせて届けた「GOD 釈迦にHip-Hop」では、歌詞に合わせた観測者の“頂戴!”の大合唱に、7人は自身のぬいぐるみを投げ入れ。
さらに、曲終わりには小泉が大倉のリクエストに応えて投げキスを贈った。
そんな究極のキュートを示してからは、シックな黒ジャケットに一瞬で着替え、生バンドのグルーヴィーな演奏と共に、大人のムードたっぷりなメドレーを展開。
「愛無常」では全員が手にした黒いステッキを操り、「美しい⼈」ではグラスを傾け、ビリヤードに興じる彼らの様子をステージ上のカメラが捉える。「フィナーレ」では上昇するステージの上から、階下のダンサーと動きをリンクさせて、色気あるエモーションで酔わせていった。
次々に方向性を変えるステージのベクトルはついに振り切れ、センターステージに場を移した彼らがノイズ音に導かれて投下したのは「Mania」。
頭上に降下したトラスから放たれる光の檻に囚われ、拘束を彷彿させるデザインの衣装で狂おしく踊り、緩急ある生演奏と融合して濃密な執着を表していくが、クライマックスでは檻を蹴り壊して見事に脱出してみせた。そして、GENの街にたたずむメンバーのエラー体が光の粒子になって消えていく幻想的な映像が流れると、スクリーン上の数字が303からカウントダウン。
その間、センターステージでは和気藹々のMCタイムが繰り広げられ、初日には杢代の発案で客席がウェーブをしたり、2日目の1部では「美しい人」でビリヤードに初挑戦することになった吉澤が練習してきたことを告白する場面も。また、2部で杢代が「近い将来、日本中を騒がせる男たちになろうぜ」と意気込めば、最年少の桜木が「日本を超えて世界っしょ!」と宣言しするなど、年少コンビの豪胆ぶりも頼もしい。

カウントが0になると場内が暗転し、映像の中のメンバーがGENのシステムを再起動。そして、エレガントな白衣装で再登場した7人は「ニヒリズムプリズム」でラストブロックを幕開けた。彼ららしいピアノロックを奏でる生演奏は、弾けるシンバルにうねるべース、斬り込むようなギターと音の波動が見えるようで、7人とバックダンサー陣のステージングも、より鮮烈な“生”の息吹をにじませていく。
桜木が“急に晴れたね”の曲中台詞を発すると、LEDに目の覚めるような青空が広がり、生音と共に7人のユニゾンが場内に鳴り響くダイナミズムは感涙もの。さらに「ラストスパートだぞ! 何回でも言ってやるよ。俺たちはライブに命を懸けてる。見とけよ!」という大倉の号令から突入した「遊戯的反逆ノススメ」では、7人の歌声も生々しい歪みを増して、ダンサーと共に総勢21人の大ボリュームで迫力のフォーメーションダンスを見せつける。
そのパフォーマンスからはグループ活動への決意と覚悟がにじみ、「向かうところ敵なしだ!」(杢代)、「ずっと側にいてやるよ!」(大倉)、「俺らが幸せにしてあげるからな」(吉澤)など、高ぶる感情のままリアルな思いを観測者に伝え、極めつけにヘヴィロック曲「Museum:0」をド迫力の生演奏で投下。
レーザー光線が鮮やかに場内を彩るなか、ステージからは火の玉が打ち上げ花火のように勢いよく噴き出し、ゲンジブ特有の濃厚かつ壮麗な世界観を叩きつけていく。「おいおい、一番熱いな」とラップを放つ大倉、そして吉澤を先頭にセンターステージへと堂々進み、武藤を筆頭に朗々たる熱唱で“何処にもないなら 描いてしまえばいい”という己の自信を歌い切る彼らのたくましさを、観測者も拍手喝采で称えた。

一転、ピアノの優しい音色が鳴って光が射し、贈られたのは王道バラード「貴方らしく」。難解な歌詞の多い彼らにしては珍しく、観測者やメンバーへの思いを綴ったようにも取れる素直なリリックをLEDに映し、センターステージから3組に分かれて“らしく生きていこう”とメッセージを届けていく。
そこからメインステージに戻り、カラフルなペンライトが揺れる客席を見渡しながら、1人ずつスポットライトを浴びて歌い継いでいく歌唱構成も感動的だ。曲の最後にはメンバーが日替わりでメッセージを告げ、4日の公演では桜木が「こうして楽しいのも、素敵なステージに立てるのも本当に観測者のおかげです。また、このライブに来たいと思ったら、ぜひ次のライブに来てください」、5日の1部では吉澤が「みんながいてくれる限り、俺たちは命かけてステージに立ち続けます。また会える日を楽しみに、一緒に頑張って毎日を生きていきましょう」、2部では長野が「ライブが終わったら、僕たちも貴方もそれぞれの生活に戻ります。これから、たぶんいろんなこと起きます。
でも、貴方は貴方らしく、僕たちは僕たちらしく、貴方と僕たちで、僕たちらしく、これからも生きていきましょう」と思いを込めて伝えた。僕たちらしく――それはゲンジブらしく、自分を信じて自由に生きていこうということに他ならない。
全員で手を繋いで一礼すると、「これが最後の曲です!」(大倉)と「ネバーエンドロール」でフィナーレへ。7人は互いにじゃれ合いながら、ステージを隅々まで駆け回って観測者に手を振り、大倉と武藤は“すきだよ”の歌詞を声を合わせて“愛してるよ!”に歌い替え、曲後半からLEDに流れたエンドロールの最後には、しっかり“SPECIAL THANKS 観測者”と映し出される。
バンド演奏が続くなか「皆さんがいつも観測し続けてくれるからこそ、僕たちはこの大きなステージに立ててます。また皆さんに会えることを楽しみに待っています」と武藤が感謝すると、メンバーは「みんな、またね!」「絶対また会おうね」「観測者、愛してるぞ」と口々に約束。『仮ノ現』と大きく書かれたパネルの向こうに、満面の笑みを浮かべて7人は姿を消した。
昨今は世界観で魅せ切り、挨拶なしでライブを終えることの多かったゲンジブ。そんな彼らにしては珍しく、観測者への愛を精一杯伝えたエンディングに胸は温かくなるが、タイトルの通りエンドロールは終わらない。
LEDに“OBSERVATION IS CONTINUING(=観測は続いている)”の文字が浮かび、幻想世界の7人がこちらを振り向いた最後に“ARE YOU STILL WATCHING?(=まだ観ているの?)”と表示された次の瞬間、音玉が爆発して火花がスパーク!
観察者の度肝を抜くサプライズな締めくくりに、場内は拍手に満たされた。また、最終公演の終演後には、昨年10月の「パラノイドランデブー」以来、約1年ぶり通算5枚目となるシングルが11月11日にリリースされることも映像上で告知。
詳細は近日発表されるという、このゲンジブの“NEXT SCENE”から、目を離してはならない。
原因は自分にある。
「ARENA TOUR 2026 仮ノ現」セットリスト 2026.07.04〜2026.07.05 @有明アリーナ
1.原因は⾃分にある。
2.嗜好に関する世論調査
3.Joy to the world
4.ラベンダー(ピアノVer.)
5.ギミギミラブ
6.シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
7.in the Fate
8.Paradox Re:Write
9.余⽩のための瘡蓋狂想曲
10.⽕宴
11.疾⾛
12.ケイカクドヲリ
13.パラノイドランデブー
14.因果応報アンチノミー
15.チョコループ (7/5 1部公演)/ 推論的に宇宙⼈(7/4公演・7/5 2部公演)
16.NOW(7/5 1部公演) / トレモロ (7/4公演・7/5 2部公演)
17.GOD 釈迦にHip-Hop
18.愛無常〜美しい⼈〜フィナーレ
19.Mania
20.ニヒリズムプリズム
21.遊戯的反逆ノススメ
22.Museum:0
23.貴⽅らしく
24.ネバーエンドロール