シェリルとランカがライオンに重ねる想い
国内外で広く愛される、日本の豊かなアニメソングカルチャー。
青春時代に胸を熱くした一曲が、今も心に残り続けているという方は少なくないはずです。
そうしたアニメソングの名曲のひとつに、2008年にリリースされたMay'nと中島愛によるデュエットシングル『ライオン』があります。
菅野よう子がプロデュースし、Gabriela Robin名義で作詞作曲も手がけた『ライオン』は、TVアニメ『マクロスF(フロンティア)』の後期オープニングテーマです。
巨大な宇宙移民船団「フロンティア」を舞台に、可変戦闘機(バルキリー)のパイロット候補生である早乙女アルトと対照的な2人の歌姫、シェリル・ノームとランカ・リーによる三角関係の物語と戦闘アクションが見どころ。
ヒロインたちが織り成すハーモニーと疾走感あふれるドラマチックなメロディが楽しめるため、『ライオン』は作品を代表するデュエット曲として愛されています。
一方で、歌詞の表現が複雑なため、パッと聴いただけでは意味を捉えにくい部分も。
歌い手であるシェリル・ノーム(May'n)とランカ・リー(中島愛)、それぞれの視点や心情がどう描かれているのか、さっそく紐解いていきましょう。

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星を廻せ 世界のまんなかで
くしゃみすればどこかの森で蝶が乱舞
君が守るドアのかぎ デタラメ
恥ずかしい物語
舐め合っても ライオンは強い
≪ライオン 歌詞より抜粋≫
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1番冒頭から、タイトルにもなっている「ライオン」のフレーズが出てきます。
百獣の王と称されるライオンは古くから勇気や力の象徴とされてきたため、この楽曲でも勇敢で憧れる存在として用いられていると考えられるでしょう。
ライオンはサバンナという「世界のまんなか」にいて、「くしゃみすればどこかの森で蝶が乱舞」するほどの影響力を持っています。
「星を廻せ」という表現も、ライオンのように力強く物事を動かす存在になりたいという想いが込められているのではないでしょうか。
つづく「君が守るドアのかぎ デタラメ」のフレーズは特に解釈が難しい部分です。
「君」という呼び方は後半の歌詞にも使われていることから、アルトを指していると考えてみましょう。
彼がバジュラと戦うなか、世界を守る突破口(かぎ)となるのが、シェリルとランカの歌声です。
それは世界を守るために突破口を開く「かぎ」ともいえるでしょう。
2人は自分がその「かぎ」を持っているはずなのにうまく使えず、守りたいものを守れないことを嘆いていると解釈できます。
だから決して揺るがない強さを持つライオンのように、過去のトラウマや自分の弱さにも負けない強さが欲しいと思っていると考えられます。
対照的な2人に共通する勇気と力を求める気持ちが垣間見えるでしょう。
生き残りたいから歌い続ける

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生き残りたい
生き残りたい
まだ生きてたくなる
星座の導きでいま、見つめ合った
生き残りたい
途方に暮れて
キラリ枯れてゆく
本気の身体 見せ付けるまで
私 眠らない
≪ライオン 歌詞より抜粋≫
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サビではこの戦いで「生き残りたい」という願いが力強く歌われています。
さらにシェリル目線で見れば死の病に打ち勝つことと、生きた証である歌をやめたくないという想いも込められているように感じます。
シェリルとランカが苦しい状況にあっても「まだ生きてたくなる」のは、アルトと出会ったからです。
自らの過酷な運命に悩み「途方に暮れて」いるうちに、少しずつ枯れていく涙。
単に涙が尽きるまで泣いたという事実だけでなく、「何が何でも生き残る」という執念によって、自ら涙を拭い去った姿が目に浮かぶのではないでしょうか。
また、「私 眠らない」という言葉の背景には、大いなる力を秘めながらも未だ目覚めぬ“眠れる獅子”のイメージが存在していると考えられます。
自分のなかに眠る可能性をすべて解き放つまでは絶対に立ち止まらない。
そんな歌姫たちの熱い覚悟が、このフレーズから丁寧に表現されているのです。

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風はやがて東へ向かうだろう
高気圧 この星の氷河を襲う
さそい水を飲んだ胸がつらい
遠巻きな物語
かじり合う 骨の奥まで
≪ライオン 歌詞より抜粋≫
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太陽が昇る東の方角は、明るい希望の象徴といえるでしょう。
自分を取り巻く状況が「氷河」のように絶望的でも、風が「高気圧」を連れて来れば晴れるように、やがて良い方向へ向かっていくはずだという考えが伝わってきます。
次の「さそい水を飲んだ胸がつらい」のフレーズは、ランカの心情を歌っているようです。
自分の歌がバジュラを倒すために必要だとはわかっていても、バジュラを敵と見られないランカにとって「さそい水」として歌うのは胸が痛んだことでしょう。
シェリルもランカも、心身をすり減らしながら歌い続けます。
愛する人と共に生きていきたい

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何しに生まれたの
何しにここにいる
生き残りたい
埋まらない傷
光 恐れてた
許されたい生命がいま、引かれ合った
さまよい果てて
君のとなりで ほてり鎮めたい
本気の身体 見せつけるまで
私 眠らない
≪ライオン 歌詞より抜粋≫
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極限の状況のなか、自分は何のために生まれ何のためにここにいるのかと自問します。
その答えは結局、「生き残りたい」というシンプルな想いに繋がります。
過去のトラウマは決してなくならず、幸せが近づいても失うことを恐れて手を伸ばせずにいたシェリルは、歌姫としてではない本当の自分を誰かに認められたいと思っていたのでしょう。
また、ランカもトラウマによる記憶の消失やフラッシュバックに悩まされながら、自分を肯定してくれる存在を求めていたはずです。
だからどちらも、自分を認めてくれたアルトに惹かれました。
どれほど迷ったり苦しんだりしても、最後は愛する人のそばにいたいという気持ちが表れています。

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生き残りたい
がけっぷちで良い
君を愛してる
目覚めたい生命がいま、引かれ合った
狂気に代えて
祈り捧ぐよ
君を愛してる
星座の導きで・・・
生き残りたい
まだ生きてたい
君を愛してる
本気のココロ見せつけるまで
私 眠らない
≪ライオン 歌詞より抜粋≫
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心から愛する人がいるから、「がけっぷち」でも生き残れる道を選びたいと強く思っています。
本気で愛していることを伝えるまでは、絶対に眠れません。
混乱する世界に降り注ぐ2人の歌は祈りです。
敵を倒すことではなく、愛する人と共に生きる未来への願いを込めた前向きな想いが状況を動かします。
これはサバンナの中心で世界を動かすライオンの姿のようだといえるのではないでしょうか。
2人の内面の強さが感じられますね。
「ライオン」を聴いてヒロインたちの想いを感じよう
May'nと中島愛が歌う『ライオン』は、数奇な運命に巻き込まれながら同じ人を愛したシェリルとランカの愛と生への想いがあふれる楽曲です。愛する人と出会えたから生き残りたいんだという純粋かつ深い想いが伝わって来て、懸命に生きる様子に勇気をもらえるのではないでしょうか。
ぜひヒロインたちの心情を想像しながら、改めてじっくりと聴いてみてくださいね。
